本の形態の1つとして新書があります。書店では多くの新書が書棚に並んでいて、人気が高いです。本記事では新書について、特徴や種類などを紹介します。
新書とは
新書とは叢書の一種であり、新書判(105×173mm)のサイズの本を指します。
叢書とは特定のテーマについていくつかの書物や著作をまとめたものです。また、出版社が同じ体裁で定期的に刊行する書籍を指して叢書と呼ぶケースもあります。本のシリーズのことを叢書と考えれば良いでしょう。
叢書の中には文庫や新書、選書が含まれています。その中でも新書は新書判のサイズの本の総称であり、新しく刊行された本という意味ではありません。あくまでも新書とは本のサイズによる分類です。
(新書は1000円以下の定価であるというイメージを持つ方が多く、ルールではないですが安価な書籍が中心です。※最近の物価高で1000円を超える新書も増えつつあります。)
また、新書と同一のサイズの本としてブックスやノベルズという呼称が使われるケースもあります。ノンフィクションは新書やブックスと呼ばれ、フィクションはノベルズと呼ばれるケースが多いです。新書版のコミックスについては、通常は新書の分類に含まれません。
日本の新書の歴史は1938年に創刊された岩波新書がスタートです。戦後に多くの出版社で新書が出版されてブームになりました。その後も定期的に新書はブームになり、近年では2000年代に新書がブームとなって数多く出版されています。今でも書店へ足を運べば、書棚に多数の新書が並んでいて人気の高いジャンルです。
新書判が使われる本の種類
新書判が使われる本の種類として新書やノベルズがあります。
いわゆる新書として出版される本には実用書や専門分野の入門書などが多いです。あらゆるジャンルについての新書が出版されています。
近年では新書は雑誌化したと指摘されています。健康ノウハウやビジネスノウハウなどを取り上げた新書が出ているからです。かつての新書は専門的な分野についての本が多く、簡単に読み通せないものもありました。近年の新書は多くの人に手に取ってもらうために平易な内容のものが多く、空き時間で気軽に読めるようなものが主流です。
ノベルズとは新書サイズで出版されている小説を指します。1959年に創刊したカッパ・ノベルスが新書サイズで小説を出してベストセラーを連発し定着しました。また、ハヤカワ・ポケット・ミステリもノベルズの普及に貢献しています。主にミステリー小説でノベルズが多く出ているのが特徴です。ただし、ノベルズの刊行数は減少傾向にあります。
新書以外の叢書
新書以外にもさまざまな叢書があります。主な叢書を以下にまとめました。
叢書の種類 | サイズ | 本のジャンル |
文庫 | 105×148mm | 小説、古典、詩集など |
選書 | 130×188mm | 学術書、専門書 |
単行本 | 128×182mm、128×188mm | 一般書籍、小説など |
菊判 | 150×220 | 学術書、専門書、小説など |
文庫本とは叢書を小型化したものです。サイズは主に105×148mmのA6判であり、片手で持ちながら楽に読めます。日本の文庫本の中でも特に歴史があるのは岩波文庫です。他にも新潮文庫や角川文庫、講談社文庫などさまざまな出版社から文庫本が出されています。主に小説や古典、詩集、エッセイなどが文庫本で出版されることが多いです。
選書とは130×188mmのサイズで出される叢書を指します。新書と比較すると専門性や独自性の高い内容のものが多いです。学術的な内容の論説をまとめたものなどが選書として出されています。
単行本は厳密にいえば単独で出版された本を指すのですが、叢書でも単行本と呼ばれるケースはあります。単行本のサイズは128×182mmや128×188mmなどが主流です。
菊判のサイズは150×220mmであり、このサイズで出版されている叢書もあります。学術書や専門書、海外のファンタジー小説などです。
新書以外にもさまざまなサイズの叢書が出されていて、それぞれ需要があります。
まとめ
新書は叢書の一種であり、本のサイズによって分類されたものです。さまざまな新書サイズの本が刊行されていて人気を集めています。今後も新書は出版業界を支えていくでしょう。