一年間で何冊(何タイトル)くらいの書籍が発売されているのか

1年間には、どれくらいの書籍が販売されているのでしょうか。総務省統計局によると、平成29年には75,412冊の新刊書籍が出版されています。

書籍は、日本十進分類法によってあらゆる分野を9つの基礎分野とどの部門にも属さない総合的なものを含め10種類の「類」からなっています。この分類に児童書と学習参考書を加えた12分類それぞれの出版点数は次のとおりです。

部門平成29年新刊書籍出版点数
点数(点)全体に占める割合(%)
総数75412
総記16672.20%
哲学39195.20%
歴史45226.00%
社会科学1420118.80%
自然科学67068.90%
技術762910.10%
産業31994.20%
芸術1235216.40%
言語17152.30%
文学1317917.50%
児童書50586.70%
学習参考書12651.70%

内訳を見ると、「社会科学(18.8%)」、「文学(17.5%)」、「芸術(16.4%)」の割合が高いことが分かります。社会科学は政治、法律、経済、社会、教育など、いわゆるビジネス書と呼ばれる書籍が主に分類される部門です。また、文学はその名の通り、小説が主に分類される部門です。

それらを出版している出版社は何社くらいあるのか

では、これらの新刊書籍を出版する出版社は何社あるのでしょうか。経済産業省の平成30年特定サービス産業実態調査によると、企業数は3,058社もあります。このうち、新刊書籍を発行した企業数は2,134社であり、全体のうち約70%の企業にあたります。

新刊書籍を定期的に発刊していない出版社には、既刊の販売管理を主に行っている出版社や不定期に新刊を発行しているなど、様々な理由が挙げられます。

新刊書籍を定期的に発行している出版社は、1ヶ月あたり何タイトルの新刊を発行しているのでしょうか。

いわゆる超大手出版社の場合、100タイトル前後(年1200タイトル)です。月2タイトル以上(年24タイトル以上)となると上位20%~25%に位置する中堅出版社となります。多くの中小出版社は月ではなく年で1~3タイトルほどが多くなります。

その中で自費出版を取り扱っている会社は何社くらいあるのか

書籍を出版するには、大きく分けて自費出版と商業出版の形態がありますが、1年間に発行される新刊のうち、自費出版の割合はどれくらいなのでしょうか。

実は、新刊の出版に関して、自費出版か商業出版かを判断するためのデータはなく、具体的な数は算出できません。

ただ推定になりますが、自費出版の想定市場規模、自費出版における平均的な印刷製本原価率、返本率から計算すると書店に並ばない書籍も含め、年1万~1.5万タイトルほどの自費出版書籍が、400社前後の出版社(+流通させない自家用書籍を印刷会社が請け負う)より販売されているものとなります。

自費出版の看板を掲げていなくても自費出版をしている会社がある

また、自費出版の定義が出版社によって若干異なることもあり、多くの出版社が自費出版に類似する出版形態で出版を行っています。

ここでは、自費出版を「著者が出版にかかる費用を全額負担する」場合を指していますが、共同出版や協力出版等、費用の一部を著者が負担するものを含めるとより該当書籍タイトル数は増えるでしょう。

他にも、初版の印税は全額広告宣伝費等に充当されるケースや、著者の一部買取、企業出版等も含めるとより割合は高まるでしょう。

※本記事は言葉の定義を考える目的ではないため、これ以上は言及しません。

このため、広義に捉えると1年間に発行される新刊のうち、相当数が自費出版による出版であることが考えられます。

まとめ

出版業界全体が不況の現代にあたっては、著者が費用負担を行うことは少なくないのが現状だと考えられます。

本を出版するだけで生活の糧にするのは難しく、出版を通じて知名度の向上や講演会などの機会創出など、二次的な利益機会の創出の手段として活用することが多くなっているのではないでしょうか。