自費出版で売れた本・成功事例

誰でも知っている有名な作家の方の中には、自費出版から作家人生をはじめたというケースもあります。

今回は、自費出版からベストセラー作家となった方の事例をいくつか紹介します。

内田重久著「それからの三国志」(文芸社)

蜀の軍師、諸葛孔明の死後の約100年について書き記した歴史小説です。自ら出版社に持ち込んで、初版は800部からスタートしましたが、単行本と上下2巻の文庫を合わせて累計17万部の大ヒットとなりました。

著者は、75歳の時にこのタイトルを出版したのみで、現在は小説の執筆をしていないようです。

山田悠介著「リアル鬼ごっこ」(文芸社、幻冬舎)

西暦3000年の医療技術や科学技術、機械技術が著しく発達した時代を舞台として、500万人を超える「佐藤」姓を効率的に抹殺するために計画された「リアル鬼ごっこ」に巻き込まれる佐藤姓を描いたホラー小説です。

著者が引きこもりだった時期に小説を書き続け、少なくとも自分で何かやろうとした、といった経緯から、親が自費出版に掛かる費用を出したそうです。

自費出版となる初版では、日本語や話のつじつまが合わないなど文章力に問題があったようですが、内容がとにかく注目を浴び、幻冬舎からそれらを修正した改訂版が販売されることとなったのです。

このデビュー作は、初版は1000部であったものの、累計200万部の大ベストセラーとなり、その後、漫画、映画、テレビドラマ、ゲーム作品など幅広く展開されます。ベストセラー作家となった現在も、コンスタントに作品を発表しています。

天野節子著「氷の華」(幻冬舎ルネッサンス、幻冬舎、幻冬舎文庫)

ある専業主婦が、夫の子どもを身ごもった不倫相手を殺害したつもりだったが、殺したのが本当に夫の不倫相手だったのか疑心暗鬼になり、殺めた女性の正体を探りはじめる長編ミステリー小説です。

2006年9月に60歳でのデビュー作です。当初は別の出版社で発売予定でしたが、直前に出版社が倒産してしまいましたが、著者は別の出版社から発行することを決めたそうです。

初版や累計部数の詳細は不明ですが、初版発行から2ヶ月足らずで6版発行となっていることから、相当のペースで売れていることが伺えます。テレビドラマや漫画にもなり、当時は話題になった作品です。

著者は、その後も継続的に作品を発表していますが、デビュー作ほどのインパクトは残せていないようです。

まとめ

この他にも、夏目漱石著の「こころ」(岩波書店)や島田洋七著「佐賀のがばいばあちゃん」、山田真哉著「女子大生会計士の事件簿」(英知出版)、Jamais Jamais(じゃめじゃめ)著「B型自分の説明書」(文芸社)などが、自費出版からベストセラーになった本として挙げられます。

こうした事例をみてみると、当時、既に何らかの形で有名だった方が著者の場合もありますが、今回具体的に挙げた3つの事例は、デビュー当時は全くの無名と言っても過言ではない方です。

本を売るためには、多くの人に手にとってもらうための広告や宣伝をすることは間違いなく必要ですが、何より宣伝する本の内容があってこそです。

本当に良いものは、過度な広告や宣伝を必要とせず、口コミによって自然と広がっていくものです。

本を売る戦略も必要ですが、出版を検討するに当たっては、しっかりと本の内容を検討することが一番重要となります。