自費出版を依頼する場合、出版社に頼むのが一般的です。実は印刷会社でも自費出版に対応するケースはあります。本記事では、自費出版を印刷会社に依頼できるのか、依頼するメリットは何なのか解説しましょう。

自費出版は印刷会社からでもできる

印刷会社でも自費出版に対応しています。主な事業は印刷であり、印刷業に関連した事業として自費出版の編集や校正などにも対応している場合があります。また、流通ルートの確保にまで対応している印刷会社もあります。

出版社と印刷会社は何が違うの?

自費出版を依頼する場合に出版社と印刷会社で何が違うのか紹介しましょう。

出版社を選ぶメリット

自費出版で出版社を選ぶメリットは主に以下の通りです。

  • 組版や編集対応に強い
  • 流通ルートを確保できる

出版社であれば、編集や組版に強みがあり、プロの編集者が在籍しているため、質の高い仕事を期待できます。また、本の流通ルートを確保できるため、書店に本を並べるまでのサポートも受けられます。

印刷会社を選ぶメリット

印刷会社に自費出版を依頼する場合、出版社よりも費用が安くなるのがメリットです。しかし、出版社と比較すると編集などでのサポートは最低限に留まります。それでも、費用が抑えられるため、予算を抑えたい場合は印刷会社を選択肢に入れると良いでしょう。

印刷会社だと出版できないジャンルは?

印刷会社に自費出版を依頼できないジャンルがあるのか紹介します。

出版ジャンルは不問

基本的に、印刷会社はどのようなジャンルの出版にも対応しています。小説やエッセイなどから写真集や短歌集まで、幅広いジャンルに対応可能です。印刷の際には、細かく指定することができ、柔軟な対応を受けられます。

ただし、自社保有の機器で印刷製本することを前提にしたサービスの場合、フルカラー印刷や特殊製本には対応しない会社もあります。

印刷会社なら同人誌も出版できる

印刷会社に同人誌の出版を依頼することができます。同人誌とは、出版物の作成をすべて自分で行い、レイアウトや装丁のデザイン、印刷の手配なども自分で行ったものです。印刷会社に依頼すれば、同人誌の印刷を頼むことができます。

印刷会社だと少部数出版は難しい?

印刷会社であっても少部数出版に対応してくれる企業はあります。企業にもよりますが、一冊からの印刷に対応する場合もあります。ただし、大量に印刷してもらうよりも一冊あたりの価格は高くなるため注意しましょう。

印刷会社だと手書き原稿は受け取らない?

印刷会社に依頼する場合は、手書き原稿をそのまま印刷するのであれば受け付けてくれます。しかし、手書き原稿の電子化には多くの印刷会社が対応していません。電子データにしたい場合は、自分で手書き原稿を電子化する作業が必要です。

自費出版の費用

自費出版にかかる費用相場を、印刷会社と出版社で比較すると以下の通りです。

印刷会社に依頼した際、かかる費用(100ページ100部で依頼した場合)6万円~10万円
出版社に依頼した際、かかる費用(100ページ100部で依頼した場合)10万円~20万円

100ページの本を100部印刷する場合、印刷会社であれば6万円から10万円程度で対応してくれます。一方、出版社の場合は10万円から20万円程度かかるでしょう。

ただし、費用に含まれる内容がそれぞれ異なるため、必ず見積もりをとり、内容も確認しましょう。

自費出版の流れ

自費出版するための流れを紹介します。

相談・契約

まずはどの企業に依頼するのかを決めて相談をしましょう。具体的な契約内容について話し合いを行い、問題がなければ契約します。トラブルを避けるためにも契約内容は細かくチェックしましょう。

打ち合わせ・編集

自費出版では打ち合わせがとても重要です。打ち合わせでは本のサイズや組版、用紙、スケジュールなど細かな点を話し合います。希望を伝えて、仕上がりのイメージを確認することも大事です。

実際に原稿を入稿した後は編集作業を進めます。プロの編集に依頼できる場合は、希望を伝えれば、要望通りに編集してくれるでしょう。プロに頼む場合でも編集の結果を自分で確認して、細かな部分を修正してもらうことは大切です。

校正

校正とは文字や文章の誤りを正していく作業です。業者に校正を任せる場合も、自分で最終確認をします。プロに任せたとしても、自分の要望通りに校正されているとは限らないからです。校正が正しいかどうかの最終確認は著者が行います。

印刷・納品

編集や校正を終えて問題がなければ、印刷です。印刷会社であれば、そのまま印刷の作業に対応してくれます。出版社に依頼する場合は、印刷会社へ印刷の発注をしてくれるでしょう。

印刷の際にも、事前にきちんと希望を伝えて確認することが大切です。事前にサンプルをもらい、問題がなければ実際の印刷に取り掛かってもらいます。製本された本が納品されれば、自費出版は完了です。後は本を自分で販売するか、業者に頼んで書店に並べてもらいます。

※試し刷りに対応していない会社があったり、試し刷りは別途費用がかかったりする場合があります。

大ロットでオフセット印刷の契約でも、試し刷りはオンデマンド印刷とする場合が多いです。若干の仕上がり差がある点、注意しましょう。

自費出版できる大手印刷会社

自費出版に対応できる大手印刷会社として、以下の2社を紹介します。

  • ニシダ製本印刷
  • オリンピア印刷

それぞれの会社の特徴を簡単に紹介します。

ニシダ製本印刷

「ニシダ製本印刷」は、文芸書や自叙伝、詩集、同人誌などの自費出版に対応しています。特徴は、最短3営業日での発送が可能なことです。A4サイズで30ページ100部の場合、費用は20,599円となっています。また、アナログ入稿とデータ入稿に対応しており、データチェックから印刷・製本まで一括して依頼することができます。

オリンピア印刷

「オリンピア印刷」は、創業50年を超え、これまで30万冊以上の実績を誇る印刷会社です。自社ビル内で一貫生産を行っており、自費出版を高品質かつ迅速に行うことができるのが特徴です。原稿の手直しについては、無償でサポートしてくれます。価格の目安は、モノクロA4サイズで100冊32ページの場合、35,432円となります。

まとめ

自費出版をするためには、出版社以外にも印刷会社が選択肢としてあります。印刷会社であれば、費用を抑えることができます。自費出版を検討する場合は、印刷会社に依頼することも一つの方法です。