「自費出版書籍をリリースすることになったけど、イマイチ本屋に並ぶまでのイメージが湧かない。」

「どのようにすれば書店でいい棚に置かれたり、コーナーに取り上げられたりするのだろうか?」などの疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、自費出版書籍の流通の流れを解説していきます。加えて、どのようにしたら良い棚に並べてもらえるのか、著者自身でやれることはあるのかなどに関しても深堀していきます。

書籍が本屋に陳列されるまでの流れ

自費出版で委託販売した際の製本依頼からの書店流通の流れは以下のようになります。

  1. 著者が出版社で希望冊数の製本をお願いする。
  2. 出版社が製本をし、取次店に流通を依頼する。
  3. 取次店がどの書店にどのくらい書籍を置くかを判断する。
  4. 書店は到着した書籍を各店の判断で陳列する。

次にそれぞれの項目を深堀していきます。

1について

この段階では出版社と契約を結んだ際に決めていた冊数の印刷製本のお願いをします。この段階では、入稿する本文や表紙などは完成していることになります。また、実際の書籍の本文や表紙が完成した後で、出版社から希望冊数を聞いて印刷製本することもあります。

2について

出版社が依頼された分の冊数を提携している印刷所などにお願いして、印刷製本を行います。書籍の仕様に合わせて、それぞれ得意とする印刷所で印刷製本を行うことが一般的です。製本が済むと、取次店へ何部の流通をお願いしたいと連絡を入れます。

3について

出版社からの依頼部数をもとに、取次店がどの書店に何冊書籍を置くかを(書店の希望等を考慮し)判断します。

この取次店が非常に重要な役目を担っています。というのも、書籍が「どの書店に何冊送られるか」ということは売れ行きを左右する重要な事項だからです。

例えば出版社に対して1000冊の印刷製本を委託したとしましょう。印刷製本された後、取次店に渡されると、取次店は「X書店には50冊」「Y書店には30冊」「Z書店には・・・」といったようにどのくらの冊数を配本するのが最も良いかを判断します。

この部数を決める権限が取次店にあるため、書店に配本される部数が著者の希望数に満たないこともあります。書籍流通において取次店の役割はとても大きいものと言えるでしょう。

流通部数は契約段階で出版社の人とすり合わせができると良いでしょう。

4について

書籍は各書店に配本され、書店の倉庫に入り、その後棚に陳列されます。売り場に並んだ書籍は消費者の判断によって購入されるか、されないかが決まっていきます。

本屋に並べるための必須条件

本屋に並べてもらうために必ずしなければならないことがあります。それは書籍JANコード・ISBNコードを付けることです。

書籍JANコードとは本の流通に必須な書籍専用の2段のバーコードを指します。

1段目はISBNコードといい、どの国で、どの出版社から出された、何番目の書籍かを特定するための番号をバーコード化したものです。

2段目は日本オリジナルの図書分類と本体価格(税抜き)を表したものになります。図書分類とはジャンル、発行形態、内容を表したものです。

良い棚に置いてもらうには

自費出版を印刷製本して、書店に配本されて安心する著者さんも多いかと思います。しかし、次に頭の中を駆け巡るのが、「どれだけ売れるか」だと思います。配本された後、書店において人の流れがある良い棚に並ぶことでより売れやすいという傾向があります。それぞれの書店において良い棚に置いてもらう、あるいはより売れるような工夫を施してもらうために必要なことなどを次に説明していきます。

配本の重要性を意識する

上記でも説明したように、配本数を決定するのは取次店です。その中でも仕入部というところが具体的な配本リストを作成します。

数百部の流通を考えている場合には、さほど気にする必要はありませんが、数千部から1万部の流通を考えている場合では、各書店からの注文数を積み上げていく活動が重要になります。

発売前の書店からの注文数が多いタイトルは、初回の部数決定でも優位に働きます。

著者自身による書店への営業

基本的には書店への営業は出版社が行います。(多くの自費出版サービスでは書店営業のオプションがあろうかと思います。)

著者自身での書店営業をNGとしている出版社もあるようですが、書籍を多く売るためには有効に働くこともあります。

まず前提として、どの書店でも著者営業を受け付けているというわけではありません。これに関しては実際に営業をかけてみないとわからないでしょう。しかし、書店によっては著者の営業は喜ばしいものとされる場合があります。なぜなら、コーナーを作成する際の材料となることがあるからです。

書店員の役目として、「コーナー作り」や「棚作り」があります。

一般的に「新刊コーナー」は有名ですが、それ以外にも様々なコーナー作りや棚作りをして売上を上げるように工夫しています。

「書店のオススメ書籍ランキング」などのコーナーは、多くの場合、書店員の判断で決まることが多いです。しかし、書店員の方も「どのようなコーナー作りをしようか」と頭を悩ませているのが実情です。

そこで有効になるのが、著者による書店営業です。実際に自費出版の著者の方が営業に行き、コーナーとなったケースは多々あります。

ですので、ダメで元々という気持ちで書店営業にチャレンジしてみるのも良いでしょう。

ただし、次の点には十分配慮しましょう。

一つは、注文を受けた場合に、配本できるだけの十分な在庫があるかを事前に確認すること。一つは、多くの書店で契約のある日販・トーハンとの取次契約があること。最後に書店員の方々は大変忙しい中で営業対応をしてくださいます。手短にマナーある対応を心がけましょう。

まとめ

自費出版書籍を書店に流通していくまでの流れや、どのようにすればよい棚に置いてもらえるかと言うことに関してこれまで説明してきました。書籍が完成した後に書店に並ぶまでの一連の流れがわからなかったという人も多かったのではないでしょうか。

本記事が、本が完成した後の販促に関しても意識的に行動できるようなきっかけとなれば幸いです。

以上「自費出版書籍を本屋においてもらうには?」でした。