自費出版と商業出版の見分け方は？

自分で費用を出して本を出版するのが自費出版です。一方、プロの作家が出版社を通じて商業目的で出版する場合は商業出版と呼ばれます。自費出版と商業出版の本をどのように見分ければいいのか気になる方は多いでしょう。本記事では自費出版と商業出版の見分け方や違いについて詳しく解説します。

自費出版と商業出版の違い

自費出版と商業出版にはどのような違いがあるのか紹介します。

自費出版とは

自費出版とは著者が自身で出版費用を負担して本を出すことです。自費出版の本は、出版社を通じて書店に流通されるケースがあります。あるいは、著者自身がイベントなどに参加して直接販売するケースも珍しくありません。

出版までの全行程を著者自身が行うケースもあります。しかし、通常はあまりに労力がかかり難しい作業も多いため、出版社の自費出版サービスを利用する方が多いです。出版社に協力してもらうことで、自費出版本の装丁や校正、編集、流通などをプロに任せられます。

商業出版とは

商業出版とは出版社が費用を負担し本を出すことです。商業出版の場合は、出版社がデザインや印刷製本、販促活動を行い、それら費用はすべて出版社が負担するのが特徴です。

商業出版は出版社が主導で進める場合が多く、著者の希望が必ずしも通るとはかぎりません。商業出版は出版社が費用を負担するため、本が売れない時には損失が生じます。そのため、商業出版の企画は通りにくいとされています。

主な違い

商業出版と自費出版の主な違いを紹介します。

出版の目的

商業出版と自費出版の大きな違いは出版の目的です。商業出版は出版社が本の売上から利益を得ることを目的として出版します。一方、自費出版の場合は、著者が本を出したいから出版する点が違いです。

自費出版であっても、著者が利益を得ることを目的として本を出版するケースはあります。それでも、実際には思い出作りや記念として自費出版をするケースも少なくありません。場合によっては、採算度外視で自費出版をするケースもあります。自費出版は著者の希望を叶えることが大きな目的となります。

印税

商業出版の場合は、本が売れると出版社から印税が支払われます。印税率は3～10％と相場に幅があります。実績がないケースや知名度が低い場合は印税も低くなることが多いです。一方、実績がある著者の場合には、印税率が10％を超えるケースも出てきます。商業出版では、本を出すためにかかった費用のすべて出版社が負担するため、著者の取り分は低くなっています。

自費出版の場合は、制作や在庫保管にかかる費用を著者が負担するため、商業出版よりも売上に対する取り分の割合は高くなります。

出版社のサポートを受けて自費出版する場合でも、本の売上から流通経費を除いた大部分は著者が得られるのが特徴です。一般には売上の40%～50%ほどです。

自費出版の利益は分配金から費用を差し引くことで求められます。

自費出版と商業出版の見分け方

商業出版と自費出版の両方を手がけている出版社があるため、会社名だけでは見分けるのは難しいです。基本的に一見しただけでは見分けることが難しいことを前提に、自費出版と商業出版の見分け方を紹介しわりあいましょう。

出版社を確認する

たとえば、自費出版のみを手がけている出版社の本であれば、それが自費出版本であるとわかります。出版社名をネットで検索して、出版社のサイトをチェックすれば、自費出版を専門とするかどうかわかるでしょう。たとえば、JIBUN出版やクラフト舎は自費出版専門の出版社です。

幻冬舎ルネッサンス（書籍での表記は幻冬舎MC）のように、グループ内の自費出版専門会社・レーベルがあるケースも出版社を確認することで自費出版であることが確認できるケースです。

多くの出版社は自費出版も商業出版も手がけています。両方を扱っている出版社の場合は、自費出版と商業出版を見分けるのが難しいでしょう。

（当サイトの運営元も発売書籍の9割は商業出版、1割ほどが自費出版です。）

ISBNコードの有無

商業出版であればISBNコードが取得されています。ISBNコードは本の裏表紙に記載されている文字列です。国際標準図書番号のことであり、13桁の数字によって本を特定できます。ISBNコードによって、出版地域や出版社を特定できます。

ISBNコードは世界中の書籍に用いられています。日本では日本図書コード管理センターがISBNコードの登録や管理を行っており、図書関係者に情報が共有されています。

ただし、自費出版本であっても、ISBNコードを取得することはできます。書店で販売するためにはISBNコードが必要なため、自費出版本を書店に並べたいと考えているならば、ISBNコードの取得を考えましょう。

したがって、書店に並んでいる本を自費出版か商業出版か見分ける際に、ISBNコードの有無は関係ありません。自費出版本でも書店で販売する際には、ISBNコードが裏表紙に記載されています。

まとめ

自費出版か商業出版かを見分ける方法は少なく、自費出版専業の出版社やレーベルのケースを除くと見けることは難しいでしょう。

商業出版のタイトルは少数、大多数のタイトルが自費出版の出版社も多くあります。「おそらく自費出版」との見分けであれば、より多くの出版社で可能でしょう。