書店で使われることが多い用語の1つが帳合です。出版業界以外の人にとっては帳合と聞いても意味がよくわからない人が多いでしょう。本記事では帳合の意味や実際の用例などについて紹介します。

帳合とは

帳合とは、書店の取引先取次を指します。帳合の読み方は「ちょうあい」です。

(書店は取次店と呼ばれる業者から書籍を仕入れます。一般的に書店は1社の取次店と契約しており、全ての書籍はこの取次店を経由して仕入れます。)

帳合という言葉の利用シーンとして、出版社が書店から注文を受けた際に、書店に対してどの取次店と取引しているのか確認しなければいけません。そのため、出版社が書店から問い合わせを受けると、書店員に対して「帳合」という言葉を使う機会は多いです。

帳合は必ずしも書店員が知っているとは限りません。たとえば、書店で働いているアルバイトやパートなどの場合は、帳合という言葉を知らないケースがあります。相手が帳合を理解していない場合は取次と言い直します。

また、取引関係があることを帳合と表現するのは出版業界だけではなく他の業界でも事例が多いです。たとえば、卸売や小売業界では自社と取引関係にあることを帳合取引と言います。流通業界において帳合は幅広く使われている言葉です。

帳合の使い方

実際の会話の中で帳合が使われる例として「◯◯書店はトーハン帳合」という言い方があります。「トーハン帳合」や「日販帳合」という言い方をすれば、その書店がどこの取次と取引をしているのかがわかります。

また、出版社が書店に対して帳合を確認する際には「帳合はどこですか?」のような聞き方をする場合が多いです。

基本的に多くの書店は取引をしている取次が1社のみとなっています。取次1社とのみ契約している場合は「1本帳合」という言い方をします。

ただし、特定の取次と継続して契約する必要はなく、さまざまな理由から取次を変更するケースも珍しくありません。たとえば、取引条件に不満を抱いたため、現在の取次との契約を解除して新しい取次と契約するケースがあります。

取次が変更になる場合もあるため、出版社は書店に対して帳合を確認することが大事です。

本来の意味

もともと、出版業界で帳合は製本における用語として使われていました。帳合(丁合)とは、本が1ページから最後のページまで順番通りになるように揃えることを指します。帳合が上手くいかなければページがバラバラになってしまうため、帳合はとても大事です。

また、帳合は出版業界特有の用語ではなく、他の業界でも使われています。帳合の本来の意味は会計用語であり、帳簿合わせをすることです。帳簿合わせとは帳簿と現金などを照合して、帳簿上の数字の正誤を確認する作業を指します。

帳合取引のメリット

帳合取引とは、小売店が特定の卸業者を定めて取引をすることです。出版業界における帳合取引とは、書店が特定の取次と契約をして書籍の納品を受けることを指します。

出版業界においては、基本的に各書店は特定の取次を定めて帳合取引をしています。特定の取次と継続して契約をすれば、定期的に安定して書籍の仕入れができるからです。

また、出版社にとっても帳合取引はメリットがあります。書店が特定の取次と契約をして本を仕入れるルートが確立されているからです。そのため、出版社は取次を経由して日本各地の書店に自社の書籍を納本させることができます。

取次は単に納本するだけではなく、書店への代金請求と回収、書店への本の配送なども担当しています。取次がいるおかげで出版社は本の流通をスムーズに進められるのです。

まとめ

帳合は物流でよく使われる用語であり、出版業界では書店が特定の取次と取引をしていることを指します。帳合取引が行われているおかげで出版社は取次を経由して日本全国の書店に自社の本を流通させられます。今後も出版業界において帳合取引は重視されるでしょう。