本の種類の1つとしてソフトカバーと呼ばれるものがあります。また、ソフトカバーと似た言葉としてペーパーバックという呼称も存在します。本記事ではソフトカバーやペーパーバックの特徴やハードカバーとの違いついて紹介します。
ソフトカバーとは
ソフトカバーとは、並製本とも呼ばれる書籍の製本方法の一種です。表紙が柔らかく曲がり、表紙の用紙サイズと本文用紙サイズが同じです。製造コストが安く、書店に並ぶ書籍の多くはソフトカバーを採用しています。ご近所の書店で、新書コーナーやコミックコーナーを見渡すと、ソフトカバー書籍が大半かと思います。
ペーパーバックとソフトカバーの違い
ペーパーバックとソフトカバーは基本的に同じ意味です。ただし、使い分けている場合があり、一例としてカバーがついていな洋書をペーパーバックと呼ぶ場合があります。日本で一般的にペーパーバックと呼ぶ場合には、薄くて柔らかいカバーが付いているのが特徴です。(ここでの柔らかいとは、弾力性を指すものではなく、用紙が薄く折り曲がりやすい材質であることを指します。)
ペーパーバックもソフトカバーも、安価に作ることができ、軽くて扱いやすいといった点では共通しています。大衆向けに大量生産される本でペーパーバックやソフトカバーが採用されることが多いです。
ソフトカバーの作り方
ソフトカバーの書籍を作るには、本文を印刷し、印刷された用紙を折り、本文ページをボンドなどの接着剤で接合し、表紙用紙でくるみます。最後にカバーでくるみ完成します。
ソフトカバーに限らず、書籍を作る際には、大きな用紙に複数ページ分の本文を印刷し、折って使用します。本文用紙をひとつに接合する方法は、無線綴じと呼ばれる方法がメジャーで、糸や針を用いず糊やボンドで接着することが特徴です。
詳細は割愛しますが、大きな用紙で作成した本文や表紙は、「断ち」と呼ぶ工程で余分な部分を裁断します。
ハードカバーとの違い
ソフトカバーとハードカバーの違いは表紙の厚み・固さ、それと表紙と本文の用紙サイズの違いです。
ソフトカバーの場合は柔らかい表紙紙が採用されます。一方、ハードカバーの場合は、ボール紙を表紙紙に接着させた上で、本文と表紙を接着します。
(ボール紙は種類がありますが、厚み2mm~3mm程度のチップボールを貼合した紙を用いることが多いです。)
ソフトカバーの場合はカバーと表紙が本文用紙と同じ大きさになります。一方、ハードカバーの場合は、カバーと表紙が本文用紙よりも大きくなる点が特徴です。
ソフトカバーのメリット
本を作る際にソフトカバーを採用するメリットを紹介します。
費用が安い
ソフトカバーは作成する際の費用が安い点がメリットです。ハードカバーよりも制作コストを抑えることができるため、販売価格も安価に設定できます。(ボール紙の原価がかからないこと、ハードカバーと比較し製本工程数が少ないこと、完成書籍が軽く配送費が抑えられること)
ソフトカバーの本はハードカバーの本と比較すると定価が半分以下になるケースも少なくありません。安価で出版して、多くの人に手に取ってもらいたい場合にはソフトカバーが選ばれるケースが多いです。
軽くて扱いやすい
ソフトカバーはハードカバーと比較し軽いため、扱いやすい点がメリットです。読者の視点でも本の重量が軽くなるため、持っていても疲れにくくなります。持ち運びをする際に便利であり、ページめくりもしやすいです。ソフトカバーの本であればカバンの中に入れて、どこでも気軽に持ち運んで本を読むことができます。
ソフトカバーのデメリット
ソフトカバーはカバーとして用いられる表紙が柔らかい紙でできているため、ハードカバーの本と比較すると耐久性に劣る点がデメリットになります。ソフトカバーのカバーは本文の用紙と同じ大きさのため、長く使っていると本文がいたみやすいです。また、ソフトカバーの本は気軽に持ち運ぶケースが多いため、カバンの中に入れているだけでもどんどん傷んでいくでしょう。長期間保管したい場合には、ソフトカバーは適していないといえます。
ソフトカバーがおすすめなジャンル
ソフトカバーの本として出版されることが多いジャンルとしては実用書やビジネス書、小説、コミックなどがあります。たとえば、通勤や通学の際に電車の中で気軽に読めるようなジャンルの本はソフトカバーに向いています。
また、安価で提供したいジャンルの本についてもソフトカバーはおすすめです。たとえば、シリーズものの漫画の場合は次々に刊行されていくため、大量に印刷して安価で提供するケースが多く、ソフトカバーが採用されます。
まとめ
ソフトカバーは柔らかい紙を表紙に採用しているのが特徴です。軽くて持ち運びやすく、制作コストが安くて売価も安価に提供されます。ソフトカバーとハードカバーの違いを理解しましょう。