出版業界における専門用語として「宛名紙」があります。本記事では宛名紙の意味、内容や注意点などについて紹介します。

宛名紙とは

宛名紙とは、取次(出版社)から書店へと本を送品する際に作成する宛先を明記した紙のことです。梱包物に宛名紙を貼り付けます。宛名紙は頭紙と呼ばれることもあります。

たとえば、書店に本を送る際には、ダンボールに本を梱包した上で側面に宛名紙を貼り付けるのが一般的です。また、送品表が入っている場合には、「伝票在中」と記載します。

宛名紙と宛名書きは同じ役割を果たすものです。宛名書きは、荷物の送付先を示すために記載します。ただし、宛名紙は単に送付先を記載するだけではなく、送付する荷物に関する詳細な情報を含めなければいけません。宛名紙にはさまざまな項目を記載する必要があるため、事前に確認しておくことが大切です。

宛名紙の内容

宛名紙には以下の内容が含まれることが一般的です。

  • 定期地区
  • 書店名
  • 運送会社名
  • 送品年月日
  • 伝票(伝票荷物の場合)
  • 合計冊数
  • 書店コード
  • 商品種別
  • 個数―番目
  • 銘柄名

それぞれの項目について詳しく解説しましょう。

定期地区

定期地区名を記載します。

書店名

荷物の送付先の書店名を記載します。書店名の後には様をつけるのが一般的です。

運送会社名

書店に荷物を送付する際に利用する運送会社名を記載します。運送会社名は省略して記載することが多いです。

送品年月日

荷物を送品した年月日を記載します。実際に運送会社が荷物を受け取った日を記載しましょう。

伝票

伝票荷物の場合には、送品表が含まれていることを示すために伝票と記載します。送品票とは、荷物の商品名が記載されたものです。送品票と実際に梱包された荷物を照らし合わせることで、正しい商品が送品されているかどうか確認できます。

合計冊数

ダンボールの中に含まれている書籍の合計冊数を記載します。異なる種類の書籍が含まれている場合は、すべての書籍の冊数を合計したものを記載しましょう。

書店コード

それぞれの書店ごとに割り振られた書店コードを記載します。書店コードは各書店ごとに個別に割り振られているのが特徴です。チェーンの書店の場合は、各支店ごとに書店コードが異なっているため注意してください。

商品種別

ダンボールの中に梱包されている商品の種類を記載します。たとえば、一般誌や週刊誌などです。

個数-番目

書店に複数のダンボールを送付する場合には、個数と何番目のダンボールなのかを伝える必要があります。個数-番目の項目に、ダンボールの個数とダンボールが何番目のものなのかを記載しましょう。

銘柄名

銘柄名とは書籍の正式なタイトルのことです。たとえば、コミックスのタイトルや雑誌の名前などを記載しましょう。また、付録が含まれている場合には「付録1点」などのように記載します。

宛名紙の注意点

宛名紙は本に直接貼り付けはしません。ダンボールなど梱包材の上から貼り付けます。一般的にはダンボールの側面に貼り付けることが多いです。

(雑誌を一個出しする場合など、直接貼り付けたケースを見たとの話も。)

宛名紙については、出版業界において共通のフォーマットが存在するわけではありません。取次ごとに異なるフォーマットの宛名紙が使用されているケースがあります。そのため、宛名紙に記載する具体的な項目や内容については、それぞれのルールに従うことが大切です。(とはいえ、記載内容はほぼ同じです。)

まとめ

出版業界で使われている「宛名紙」。書店に本を送る際には必ず宛名紙を作成します。中に含まれる本の個数やタイトル、送付先など正確な情報を伝える役割を果たすものです。出版業界で働く予定があるならば、宛名紙について正確に理解しておきましょう。