自費出版し、本が売れると収入が発生します。この売上は副業に該当するのでしょうか?本記事では自費出版は副業に含まれるのか、どういった点に注意するべきなのか紹介します。

副業とは

副業とは本業とは別に収入を得ることです。主な収入源が本業であり、それ以外の収入源はすべて副業に含まれます。副業は明確に定義されたものではなく、副収入を得るための仕事と考えれば良いでしょう。
そのため、本業とは別に自費出版をして収入を得ているのであれば、自費出版は副業に含まれます。 (実際のところ、所属する企業などにより副業の扱いが異なります。この点は後述します。)

ただし、副業は継続して収入を得るための仕事を指しますから、自費出版を副業として収入面で成立させるには、定期的に新しい自費出版本を販売して利益を得る必要があります。

そもそも副業はしても良いの?

副業はしても良いことなのか紹介します。

副業を縛る法律はない

副業を縛る法律は存在しないため、自由に副業をできます。ただし、会社の規定で副業が禁止されているケースがあるため注意しましょう。

基本的に社内規定を守ることに同意した上で入社しています。そのため、社内規定で副業を禁止されていたことを知らなかったと言い訳するのは許されません。トラブルに発展する可能性があるため、社内規定で副業がどのように扱われているか事前に確認しておきましょう。

アルバイトは禁止、個人事業主は許可?

本業とは別の企業や団体と雇用契約を結び、アルバイトやパートとして働く場合には、副業での労働時間を合算し、労働基準法でいう40時間ルールを守る必要があります。 一方、個人事業主として副業を行う場合、雇用契約がない状態ですから、この40時間ルールは適用されません。

以上のことから、土日に飲食店や小売店でアルバイトすることを禁止し、個人事業主として案件単位で働くことは許可する企業もあります。ここでの自費出版は個人事業主としての副業に該当します。

自費出版は印税ではなく売上

副業を禁止する企業の中には、講演や執筆活動に限定し、許可制をとっている企業があります。一般的に執筆活動は、原稿料または著作物使用料として報酬を得ます。

一方、自費出版は制作した書籍を販売し、その売り上げが収入です。厳密には違いがある点を認識しましょう。

公務員の副業は?

公務員が副業をするならば事前に申請が必要です。申請をせずに副業をするとトラブルになります。過去に申請せずに自費出版本を販売して問題になった事例があります。公務員の副業によるトラブルがニュースとして報道されたこともあります。

リスクのある行動を避けるためにも、事前に正しく申請しておきましょう。申請をすれば、公務員が自費出版本を販売することに特に問題はありません。

(小規模農業に従事するケース等と同様に、執筆活動も申請し許可を得ることで可能です。実際に執筆活動の許可を取り、書籍を発売された公務員を多数見てきましたし、許可が下りなかったケースにも遭遇したことはありません。)

自費出版の副業は内緒で始めるとバレる?

売上が一定額あり、住民税が増える場合には、企業の担当者が認識できる場合があります。 労働契約に基づくアルバイトではないため、社保の額が変わることは原則ありません。

副業を始める際の注意点

副業を始める際にどんな点に注意が必要なのか紹介します。

副業にも確定申告が必要

一定の所得がある場合は確定申告が必要になります。副業の場合は副収入が20万円を超えると確定申告が必要です。この場合の収入は所得のことであり、売上から経費を差し引いた金額が20万円を超えると確定申告しなければいけません。確定申告をしないと脱税したことになるため注意しましょう。

当サイトは税務申告の支援を目的としていないため、簡単に触れますが、「売上から経費を引いて、在庫分を棚卸しして計算する」ことが原則です。 他の記事 自費出版を実施した場合の会計処理、勘定科目。個人の確定申告についても も参考にしてください。

本業をおろそかにしないこと

副業はあくまでも副業であり、本業ではないことを意識しましょう。本業がメインの仕事であることを意識して、本業をおろそかにしないことが大切です。自費出版本の執筆と仕事の両立ができないのであれば、いずれかをやめる必要があります。

所属企業の秘密情報に当たらないか

執筆する原稿が、本業の勤務先が保有する秘密情報でないかは十分に配慮しましょう。これは副業の許可(執筆の許可)を得ていても、当然守るべき点です。

自費出版本は副業として儲かるの?

仮に自費出版本を1冊1,000円で販売するとします。費用が1,000円を超えれば赤字です。1冊あたりの費用が500円の場合は、1冊売る度に500円の利益が発生します。

たとえば、自費出版本を100部作って費用が10万円かかったとします。この場合は1冊あたりの費用が1,000円のため、1,000円以上の価格設定にしなければ利益は出ません。1,000円の価格設定で100部売れれば売上が10万円のため、費用の元を取れます。1,100円であれば、1万円の利益です。

ただし、自費出版本で印刷した本がすべて売れるケースは稀です。したがって、自費出版で利益を出すことは簡単ではないといえるでしょう。

自費出版本を副業にするメリット

副業として自費出版本の販売をするメリットを紹介します。

副業の形が残る

自費出版本を販売すれば単に利益が出るだけではなく、本という形で現物を残せます。自分の趣味の成果が残り、自分の作品を所有してくれる人がいることになるのです。自費出版本を販売することで大きなやりがいや達成感を得られるでしょう。

趣味の延長として稼げる

趣味として自費出版をしているならば、趣味として楽しめて稼ぐことができるのがメリットです。小説や和歌集、写真集、絵本、漫画などさまざまなジャンルで自費出版本を出せます。あまり利益は得られないかもしれませんが、好きなことに取り組む楽しさはあるでしょう。

副業に電子出版

副業として自費出版をしたいならば電子出版も一つです。 (当サイトを運営する書籍づくり本舗は、紙の書籍を得意とする会社のため、弊社のスタンスとしては、強く電子書籍を推奨するものではありません。)

電子出版の場合は印刷する必要がないため、その分だけ費用を節約できるのがメリットです。電子出版の場合は価格を低く設定したとしても、利益を出すことができます。在庫を抱える必要がなく赤字のリスクが少ないのもメリットです。電子出版であれば、日本中の人達をターゲットにして本を売り出すことができます。

本を作る様々な副業

自費出版以外にも本を作る仕事で副業はできます。

たとえば、挿絵を描いたり、翻訳をしたりすることで副収入を得ている人は大勢います。デザインや校正、キャッチコピーを考えるといった仕事もあります。他人が本を作る部分的なサポートをすることで副業ができるのです。

まとめ

自費出版を副業として取り組めば、自分の趣味を本という形に残すことができ、なおかつ利益を得られます。ただし、会社で副業が禁止されているか確認することを忘れないでください。