書店では商品回転率が重要になります。それでは商品回転率とは何なのでしょうか。本記事では商品回転率の求め方や何がわかるのか紹介します。

商品回転率とは

商品回転率とは在庫回転率とも呼ばれます。一定期間内に在庫がいくつ売れたのか、その割合を示す指標です。商品回転率が大きければ、短い期間に商品がたくさん売れていることを示します。

商品回転率を調べるメリット

商品回転率を調べることで在庫の動きがわかるのが大きなメリットです。個別に在庫数量を見ているだけでは在庫の動きがわかりません。商品回転率を調べることで在庫の動きを把握できます。

また、商品回転率を調べることで適切な在庫管理ができるのもメリットです。過去の商品回転率と比較することで、在庫状況が適切かどうか判断できます。

顧客のニーズを掴むためにも商品回転率は重要です。商品ごと、ジャンルごとに商品回転率を確認すれば、人気の高い商品やジャンルがわかります。商品回転率を調べることで将来の需要予測の判断にも活用できるでしょう。

商品回転率の計算方法

商品回転率の計算方法を紹介します。

金額での求め方

商品回転率を金額から計算するには、「商品の売上金額(1年間)÷平均在庫金額」の計算式を用います。上記の商品の売上金額とは売れた商品の原価です。原価を用いて計算しないと正しい数値を算出できません。

平均在庫金額は、期首と期末時の在庫金額を足し、2で割って求めます。

個数での求め方

個数から商品回転率を計算するには「出庫した総数÷平均在庫数」の計算式を用います。たとえば、1年間に倉庫から出庫された個数が1,000個、平均在庫数が50個であれば、在庫回転率は20です。

(ここでの平均在庫数も平均在庫金額と同様に、期首期末のそれぞれ在庫数を足し、2で割った数です。)

一般的には金額を用いて商品回転率を計算します。ただし、個数で求めた方がわかりやすいため、個数で商品回転率を計算するケースもあります。

資本を効率的に使った仕入れ、販売ができているか確認したい場合や商品ごとに金額差がある場合には金額を用いて計算し、欠品を防ぐべき商品を特定したい場合や取り扱い商品の種類が少なく、金額差も小さい場合には個数を用いて計算すると良いでしょう。

商品回転率が高いということは?

商品回転率が高いということは、商品の回転が良くて、次々と在庫が売れていることを示します。小売店にとっては商品回転率を高めることが大切です。書店にとっても商品回転率は重要な指標になります。

ただし、商品回転率はとにかく高ければ良いというわけではありません。適正値を維持していることが重要です。適正値であれば、在庫を過剰に抱えているわけではなく、在庫が不足しているわけでもありません。業種によって適正な商品回転率の数字は異なっています。(値引きセールを頻繁に実施すると回転率は高まります。商品の発注から入荷までの日数も適正な回転率を考える上で重要です。)

本の委託期間はいつまで?

日本の出版業界では売れなかった本を出版社に返本するのが一般的です。出版社が書店に本の販売を委託する仕組みになっています。

本の返品期限は週刊誌が45日、隔週刊・月2回刊誌と月刊誌は60日、隔月刊誌は90日、季刊誌は120日です。雑誌の商品回転率を計算する場合は上記の返品期限までの期間を参考にして計算します。

(雑誌の追加仕入れをほぼ行わない場合には、そもそも計算する必要性が薄いので注意が必要です。)

他に書店が気にする割合は?

書店では商品回転率以外にもさまざまな指標に注目しています。どのような指標を書店は気にしているのか紹介します。

売筋欠品率

売筋欠品率とは、全国の書店における売れ筋ランキング上位の商品が書店の売り場でどれだけ欠本しているのかを示すものです。売筋の商品の欠本が多ければ、多くの販売機会を損失しています。

ただし、書店の規模や立地状況により、売筋欠品率の意味合いは変わります。たとえば、駅前の好立地にある書店であれば、売筋の本を多数揃えることは大切です。一方、郊外の店舗であれば、定番書をより多く揃えた方が需要に合います。

非稼動在庫率

非稼動在庫率とは売れていない商品がどのくらいの割合で存在するのかを示したものです。売れていない商品とは、入荷から指定日数経過した商品を指します。入荷から経過した日数を非稼働日数と呼び、店舗の規模や立地によって設定は変わってきます。たとえば、駅前店の場合は非稼働日数を少なめに設定することが多いです。

(30日を超えると非稼働在庫とする場合もあれば、6か月を線引きにするなど多様です。)

まとめ

書店が売上アップを目指すためには、さまざまな指標を用いて分析することが大切です。その際に商品回転率や売筋欠品率、非稼働在庫率といった指標が用いられます。出版不況が続いていく中で、書店はさまざまな指標を活用して経営改善していくことが重要になるでしょう。