「自費出版書籍を発刊する予定があるけど、費用の内訳を理解していないから知りたい。」

「それぞれの内訳項目に関して、よく理解していないから解説してほしい。」

自費出版を検討している人の多くは、このような悩みを持っているのではないでしょうか。今回は自費出版における原価構造やコスト構造に関して深堀していきます。

費用内訳を紹介していくとともに、それぞれの項目に関する詳しい解説をしていきます。本記事を読めば、費用に関して抱いていた不安を解消できることでしょう。

はじめに、自費出版における費用の内訳を網羅的にピックアップしました。その後で、それぞれの項目の内容を解説し、相場もご紹介します。そして最後に、ある出版社にてかかる費用のモデルケースも掲載していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

自費出版の費用内訳

書籍を制作するのにかかる費用の内訳は以下の通りです。

  • 編集者の人件費
  • 書籍のデザイン費(本文レイアウトのデザインやカバーのデザインなど)
  • 校正費(てにをは、などの文章修正。内容自体の精査も必要になる)
  • イラスト、図版費(これはイラスト等を入れる場合に含まれる費用)
  • 印刷費
  • 用紙代
  • 著者が受け取る売上金(印税)
  • 営業担当者の人件費
  • 部戻し費用(取次に支払う手数料)
  • 棚代
  • 倉庫代

となります。
次の章では、各項目に関して詳しく見ていきます。

各項目ごとの説明

編集者の人件費

一般的に、編集者一人で月に一冊の書籍を作るペースで動いています。その編集者の人件費を40万~50万円だと仮定すると、出版社が負担したければならない費用はその1.5倍の60万~75万円となります。(福利厚生・社会保険料の会社負担等)

人件費の一般的な相場は、出版社によるところが大きいのですが、40万~50万円と考えられています。

書籍のデザイン費(本文レイアウトのデザインやカバーのデザインなど)

本文レイアウトデザインの相場は4万~8万円ほどです。また、カバーデザインの相場は、10万円ほどとなっています。

また、雑誌のようにページによってデザインが変わってくるものは、もっと相場が上がります。

組版の費用は、元々はページ単位で計算されることが多いとされてきました。その際の相場は1ページ当たり1000円ほどだったと言います。

最近の傾向としては、1ページ300円ほどで請け負うDTP会社もあります。

今回は書籍を200ページ前後と仮定しておくとして、その場合の組版の相場は20万円となります。

校正費(てにをは、などの文章修正。内容自体の精査も必要になる)

校正費の一冊当たりの相場は、5万~10万円ほどと言われています。

校正者にどこまでチェックしてもらうかによるところがありますが、「てにをは」などの文体のチェックに関していえば、1冊数万円と言えるでしょう。

イラスト、図版費(これはイラスト等を入れる場合に含まれる費用)

イラストは1点ごとに○○円と決まることが多いです。そしてこの値段はどのイラストレーターに頼むかによるでしょう。大御所イラストレーターに頼めばそれだけ値段は高くなります。自費出版においてはそれほどイラストを入れることをあまりしないので、今回のケースでは最大でも10万円前後と言えるでしょう。

印刷費と用紙代

ソフトカバーにして、四六判で、1万部を印刷する場合、印刷代と用紙代を合計すると、140万円~160万円ほどとなります。

この費用に関しては、ソフトカバーにするのか、ハードカバーにするのか、また、サイズはどのサイズにするのかで大きく変動していきます。

営業担当者の人件費

自費出版のケースでは、営業担当者である人間が書店営業をすることはあまりありません。チラシやFAXDM、新刊リストに載せることはあったとしても、自費出版書籍のために営業することは稀です。従って、この費用は数万円程度になります。

部戻し費用

取次を経由して書籍を流通させる場合、最初の段階で流通手数料が発生します。会社によって変動しますが、一般的に「流通部数×書籍定価×5%」となります。

しかし、自費出版に特化した会社の場合、最初の流通部数は多くても数千部ほどなので、費用は10~15万円が妥当でしょう・

(大手出版社が実施している自費出版のケースでは、初回の流通量を5000部ほどに増やすことも多いです。)

棚代

自費出版に特化した出版社の一部で、全国にある各書店と個別で書籍を並べてもらう契約を結んでいることがあります。ある出版社の書籍を置くスペースというのを書店から買取ることでその棚に自社の書籍を並べるというようにしています。

棚のスペースを購入するのに、各書店でばらつきはありますが、1か月で10万円ほどが妥当です。そこに自社書籍を、50冊前後一気に並べることが多いので、負担は少ないと考えられています。

上記のケースで、あるモデルケースを作成すると以下のようになります。

  • 編集者のための人件費 60万~75万円
  • 書籍のデザイン、組版費 約35万円
  • 校正費 最大で10万円
  • イラスト費 10万円前後
  • 印刷費と用紙代 140万~160万円
  • 営業担当者の人件費 0円
  • 部戻し費用 10~15万円ほど
  • 棚代(一年だと仮定してこの一冊当たりのスペース分) 2.5万円ほど

合計すると、約270~300万円となります。

上記は原価ですから、ここに利益等を上乗せた金額がユーザーの支払金額になります。

もちろん各出版社によって変動する金額と言えるので、上述した金額より高くなったり、低くなったりもするかと思います。

※弊社サービスのように、半額程度の料金体系としている場合もありますので非常に幅がある点には注意が必要です。

費用の内訳に関しては大体これらがベースとなるので、参考にしていただければと思います。

まとめ

これまで「自費出版の原価構造・コスト構造」に関して解説してきました。

自費出版を検討している人の中には、こういった費用の内訳を正しく理解していない人も多かったのではないでしょうか。

これらをある程度頭に入れて契約を結ぶなり、進めていかないと、後々トラブルになる可能性も否定できません。

また、どれにどのくらいかかるかを、担当者と話すことをおすすめします。

自分の書籍を発刊するのにあたっての費用についても正しく理解しておけば、とても安心できるのはないでしょうか。

以上、「自費出版の原価構造・コスト構造」でした。