印税の定義、仕組み、相場

印税とは、本や音楽、絵などの著作物を複製して販売する際に、発行部数や販売部数に応じて著作権者に支払う著作権使用料の通称です。

いわば、印税は権利による収益です。例えば、本の場合、出版社が版権を持ち、著者が著作権を持っているとします。

1冊の本が書店で売れ、売上が出版社に入ります。

その売上の一部を著者と契約している著作権料率(=印税率)で著者に振り込むのが一般的な仕組みです。

本に限ったことではありませんが、定価で販売されているものは様々な経費をあわせた金額となっています。

例えば、1,000円で販売されている本の場合、印刷費・編集部人件費(出版にかかる費用全般)は500円(50%)程度、出荷・倉庫保管費が50円(5%)、出版社の利益が50円(5%)程度、取次店(書籍や雑誌を全国の書店に流通させる会社)の利益が80円(8%)程度、書店の利益が残りの250円(25%)程度となります。

もちろんそれぞれの費用は前後しますので、あくまで一例です。他にも著者への印税や返本にかかる費用が必要です。

印税の相場はどれくらいなのでしょうか。一般的な印税の相場としては、5〜10%の範囲内に収まることが多いと思います。

商業出版の場合は、著者の他にライターがいる場合がありますので、その場合は印税を分配するため、1人あたりの印税率が低くなります。

自費出版における印税は、印税ではなく売上金

では、自費出版の場合にはどのくらいの印税が支払われるのでしょうか。実は、自費出版の場合には、印税ではなく、売上金という言葉を使います。

これは、自費出版と商業出版の出版形態の違いからくるものです。

商業出版は、出版社が著者やライターの著作を使用することから、その手数料として印税を支払っています。

一方で、自費出版は、出版社に本の製作を行い、制作した本を書店へ流通させ、売上や在庫の管理を委託する形となるため、著作を使用しているわけではないのです。

自費出版の場合、1,000円で販売されている本を例に上げると、著者への分配金は500円(50%)程度、出版社の必要経費(流通にかかる事務費用、著者への報告作業費)は80円(8%)程度、返本にかかる費用分の控除が70円(7%)程度、出版社の利益が20円(2%)程度、取次店(書籍や雑誌を全国の書店に流通させる会社)の利益が80円(8%)程度、書店の利益が残りの250円(25%)程度となります。

1冊あたりの著者の受取額(割合)は上記のようになります。

実際にいくら支払いがあるのか

もちろん、出版するときには多額の費用をかけているので、利益を上げるには何冊売ればよいのでしょうか。

例えば、1,000部の本を制作するのに100万円かかったとします。(弊社ではここまで高額になりませんが、一般的な相場から例にしています。)

この本を1,000円で販売すると、全ての本が売れた場合でも、500円(1冊当たりの著者の受取額)×1,000冊=500,000円となります。額だけみると、結構な金額となりますが、本の制作費をまかなうことが出来ていません。

このように、自費出版の場合は、本の製作時点で著者が制作費用を払っているので、利益を上げるためには、多くの本を売る必要があるのです。

儲かる(黒字にする)ためには、自費出版においても他のビジネスと同様で、仕入れを安く、高く売り、売れ残りを減らすの3点が重要です。

弊社のような安価な価格帯のサービスを利用する場合であれば、1000部以下の刷り部数でも定価を1,200円~1,400円ほどに設定することで黒字の計算ができる場合もあります。

まとめ

今回は、自費出版の場合の利益(儲かるか)について説明しました。自費出版で大きな利益を上げることはなかなか難しいのが現状です。

ただ、自費出版であっても、大切な3点を意識することで小さな赤字、または僅かな黒字を目指せる場合があります。

自らの軌跡や表現したいものを、自費出版を通じて、是非とも実現してみてはいかがでしょうか。