出版業界用語の拡材、今回はこの「拡材」の意味や種類、注意点などを紹介します。

拡材とは

拡材とは、拡販材料(または拡張材料)の略称で、販売促進を目的に作成するポスターやのぼりなどを指します。新聞契約営業において新規購読者に提供する景品も拡材と呼ばれます。

元々は新聞の新規営業時に配られる景品を指す言葉でしたが、出版業界でも広く浸透しました。

拡材は販売促進のために出版社が作成します。出版業界の売上のメインは書店経由での書籍売上ですから、拡材の大半は書店での販売部数アップを狙って作られます。拡材にはさまざまな種類があり、最適な拡材を用意することが大切です。

拡材の種類

店頭販売促進に使われる拡材の主な種類を以下にまとめました。

  • 店頭POP
  • 店頭什器
  • モニターPOP
  • デジタルサイネージ
  • のぼり
  • タペストリー
  • ポスター
  • バナー
  • パネル
  • 横断幕

拡材の種類は多岐に渡ります。拡材の代表的なものは店頭POPです。書影やおすすめポイント、紹介文などを記載したハガキサイズの用紙で、商品の近くに設置します。

店頭什器とは商品やサンプルを陳列するためのラックや棚、ショーケースなどのことです。書籍やテーマに合わせたデザインを施し、キレイに陳列することで高い販促効果を期待できます。

最近はデジタルサイネージやモニターPOPが使われるケースも増えています。デジタルサイネージは電子看板のことで、ディスプレイ上で情報発信をします。液晶モニターに映像を流して訴求するのがモニターPOPです。

他にも、のぼりやタペストリー、ポスター、バナー、パネル、横断幕など多種多様な拡材があります。

拡材は誰が用意するの?

拡材を用意するのは出版社です。出版社が書店に拡材を送って、書店が送られた拡材を設置して活用します。ただし、書店員が自作で拡材を用意するケースも多いです。書店の売上を伸ばすために工夫を凝らしたPOPなど、店頭で見かけたことがあると思います。

自費出版書籍を書店に置いてもらう際、著者自身が拡材を用意するケースがあります。通常は著者から出版社が預かり、出版社が書店へ配布します。
品質の低い拡材は書店が設置しないだけでなく、迷惑になる場合もあるため、出版社に事前確認を入れると良いでしょう。

拡材作成時の注意点

拡材を用意する際には見やすさを重視することが大切です。色使いは3~4色程度に抑えて、文字は変形させません。イラストは明るめの色を使用して描くと良いでしょう。文章量は少なめにして、ひと目でわかるようにします。

また、嘘や誇大表現を用いないことが重要です。(法令遵守は当然に)No.1という表現は非常にリスクが高い表現です。景表法違反のリスクがある表現は立入検査のリスクが伴います。コンプライアンスを重視することが大事です。

新聞契約における拡材

新聞の新規契約の際に景品を付けることを拡材と呼びます。
本来は新聞契約をしてくれたことへのお礼の意味で拡材を用意していました。しかし、拡材を無理やり押し付けて新聞契約を迫るケースが出てきて社会問題となりました。
新聞の拡材については、購読料半年分の8%が上限と定められています。詳しくは新聞公正取引協議会のルールを確認しましょう。

まとめ

書籍の販売部数を伸ばすために準備される資材が拡材です。書店に行けば、店頭POPやのぼり、ポスターなどさまざまな種類の拡材が活用されています。書店での売上を伸ばすために、拡材は重要な存在です。