本記事では欠本や欠品の意味、品切れとの違いについて説明します。

欠本とは

欠本(けっぽん)とは、複数冊で構成されるシリーズのうち、一部商品が店頭にない状態を言います。漫画でイメージすると分かりやすいです。1~10巻まで刊行されているものの5巻だけが店頭にない場合(売り切れている場合)この状態を「5巻が欠本」と言います。

シリーズものや双書ではなく、一般的な新刊が売り切れた場合も「欠本」と呼ぶことがあります。

書店では定期的に店員が欠本チェックし、売れ行きの良い本を随時補充します。(システムが売れたものを自動補充する仕組みも整いつつあります。)

欠本チェックするのは書店員だけでなく、出版社の営業担当者が担当書店を回って書棚をチェックする場合もあります。自社商品が欠本になっている場合は、販売機会を逃すことになるためです。

似た言葉に「欠品」があります。欠本とほぼ同義ですが、欠品は書籍に加え開発品など(カレンダーやカード、キャラクター商品など)の売り切れに対しても使用し、やや対象が広いです。

欠本(欠品)と品切れの違い

欠本(欠品)はあくまで店頭に商品が陳列されていない状態を示します。そのため、別の系列店舗や自社倉庫、バックヤードに在庫が残っている可能性があります。一方、品切れとは商品を売りきった状態であり、在庫が残っていない状態です。系列店舗や倉庫などにも在庫が残っていない状態を品切れといいます。

品切れになった場合は、出版社に追加発注します。現在品切れであっても、出版社(や取次)に在庫が残っている場合は発注後、書店に届き、書棚に並べることはできます。ただし、出版社にも在庫が残っていないケースでは、重版を待たなければいけません。あるいは返品待ちの状態になることもあります。重版の予定がない場合は絶版となり、本が入荷されることはなくなります。

(出版社に在庫なし、重版予定なし、絶版と微妙に異なる言葉です。詳細は別記事で紹介します。)

欠本発生をカバーする導入システム

書店に欠本が生じると、人気のある本の販売機会を失います。そこで、欠本発生期間を短くするため、さまざまな補充システムが開発されています。補充システムの導入を進めることで欠本の補充をスムーズに進めることができ、書店の売上向上につながると言われています。

たとえば、紀伊國屋書店では「SCM欠本補充」というサービスを提供しています。出版社が紀伊國屋書店の店頭欠本状態を確認でき、即時送品を可能にします。(前提として、出版社と書店間で即時送品をする対象タイトルなどの取り決めがなされていることが必要です。)

くまざわ書店でも欠本補充システムの導入を進めています。このシステムでは棚だけではなく平積みされている銘柄も、常に一定冊数になるように補充できるのが特徴です。くまざわ書店では「地球の歩き方」の銘柄について欠本補充システムを活用したことで、売上が伸びました。

先に挙げたシステムの系列外店舗への導入や個々の書店における欠本カバー施策も進んでおり、少しずつ効率的な欠本カバーの仕組みが整ってきています。

まとめ

書店の書棚から本が欠けている状態を欠本といいます。欠本や欠品が長引けば、売る機会を損失し、書店の売上を下げることにつながるでしょう。多くの書店で欠本をカバーするシステムの導入が進められており、書店の売上改善につながっています。