自費出版を考えている人は昔からたくさんいます。そのため、自費出版の制作サポートをする専門家を認定する目的で自費出版アドバイザー制度が誕生しました。自費出版アドバイザーを取得すれば、自費出版の知識と技術を習得することができます。本記事ではNPO法人日本自費出版ネットワークが認定する自費出版アドバイザーについて、役割や試験内容、応募方法などを解説します。

自費出版アドバイザーとは

自費出版アドバイザーはNPO法人日本自費出版ネットワークの創設した認定資格です。自費出版アドバイザーには1級と2級があり、合格すれば自費出版アドバイザーとして必要な知識を持つことを証明できます。

昨今、自費出版や自分史がブームになっており、自費出版の需要が高まっています。しかし、どうすれば自費出版できるのかわからず困っている人が多いため、自費出版のアドバイザーを育成する目的で自費出版アドバイザー試験が生まれました。

自費出版アドバイザーの役割

自費出版アドバイザーは自費出版の裏方としての役割を求められます。自費出版について適切な助言業務を行える知識を持ったアドバイザーを育成するための試験です。自費出版アドバイザーに合格した者には、自費出版の世界でエキスパートとして活躍することが期待されています。具体的には自費出版をしたい人の依頼に応じて、自費出版の担当者としてさまざまなサポートや助言を行うのです。最終的には良質な自費出版を実現して、依頼者に満足してもらうことを目指します。

自費出版アドバイザーの試験内容

自費出版アドバイザーの試験は大部分が指定テキストからの出題です。自費出版アドバイザー2級試験の2022年現在における指定テキストを以下にまとめます。

  • 本の知識
  • 原稿編集ルールブック第2版
  • 日本語表記ルールブック第2版
  • 文字の組方ルールブック(ヨコ組編)
  • 文字の組方ルールブック(タテ組編)
  • 自費出版アドバイザーの心得

上記のテキストはすべて日本エディタースクールが編集したものです。すべて本体定価は500円となっています。

1級には指定テキストがありませんが、合格者のほとんどは上記のテキストを読んで勉強しています。

実際の試験では、自費出版の初期対応から提案対応、見積もり、契約、入稿、編集・制作、校正、造本設計、製本・加工、著作権、流通販売、電子出版など自費出版に関わるすべての項目について満遍なく出題されるのが特徴です。

自費出版アドバイザーの応募方法

自費出版アドバイザーに応募するための方法を紹介します。

応募方法

自費出版アドバイザーを受験したいならば、申込期間内に申込用紙を提出しましょう。申し込み方法はホームページまたはFAXで受け付けています。電話での申込には対応していません。

申込をして1週間ほどで確認メールが届きます。問題は郵送されるため、期限内に解答して返送するという流れです。

応募条件

自費出版アドバイザー2級は誰でも自由に応募できます。年齢や学歴、職歴、国籍などによる制限は一切ありません。

自費出版アドバイザー1級に応募する条件は以下のいずれかを満たした場合です。

  • 2級合格者
  • NPO認定自費出版アドバイザー養成講座に1回以上参加すること

受験料

自費出版アドバイザーの受験料を以下にまとめました。

 2級の受験料1級の受験料
JSN会員6,600円11,000円
JSN会員以外8,800円22,000円

JSN会員とはNPO法人日本自費出版ネットワークの会員のことです。正会員の年会費は24,000円、協力会員の年会費は3,000円です。

自費出版アドバイザーがないと自費出版に関われない?

自費出版アドバイザーを持っていなくても自費出版に関わることは可能です。実際に出版社や印刷会社などで自費出版のサービスを提供する会社はたくさんあり、自費出版アドバイザーを持っていない社員が大半でしょう。

顧客に信頼してもらうために自費出版アドバイザーを取得することは一つでしょう。また、就職をする際にも自費出版アドバイザーを持っていると有利になる可能性があります。自費出版についての知識やスキルを客観的に証明するために自費出版アドバイザーは役立つ資格です。

出版に関係する各種資格・スキル

自費出版アドバイザー以外にも出版に関連する資格やスキルはたくさんあります。具体的に紹介しましょう。

DTPエキスパート認証試験

DTPエキスパート認証試験はDTPや色、印刷技術などを習得した人材を認証する試験です。グラフィックアーツに携わるための必須知識が出題されます。公益社団法人日本印刷技術協会が主催しており、試験は年に2回です。これまでの経験は問われず誰でも受験できます。「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」という5つのカテゴリーが出題範囲であり、総合的な知識が問われる試験です。出版において重要なDTPの知識を持つことを証明できます。

校正技能検定

校正技能検定は日本エディタースクールが主催する検定試験です。校正の技能を検定します。初級と中級、上級の3つの区分があります。校正者に求められる基礎技能と基礎知識を試験されるのが特徴です。試験は実技と学科が含まれています。実技では初稿原稿引き合わせや校正刷り、校正作業を実際に行わなければいけません。合格すれば校正の仕事で必要になるスキルと知識を身に付けられます。

書籍製作技能検定

書籍製作技能検定は出版物の制作技能を検定する試験です。実技試験と学科試験で構成されています。学科試験では編集や制作、原稿指定作業の基礎知識が問われるのが特徴です。実技試験では実際に原稿指定作業を行います。

パソコン関係のスキル

出版の仕事で重要なパソコン関係のスキルを測る資格試験を紹介します。

Webライティング能力検定

Webライティング能力検定は日本WEBライティング協会の主催する検定試験です。企業HPやブログ、ネットショップなどのライティングをする際に求められるスキルや知識を検定します。試験には国語やWEBライティング、コピーライティング、SEO、倫理・法律といった内容が出題されるのが特徴です。

アドビ認定アソシエイト

アドビ認定アソシエイトはAdobe製品の知識やスキルを検定する資格です。PhotoshopやIllustratorなどに関連する知識について出題されて、ブラウザ上で受験できます。実際に操作をして解答する形式です。

マイクロソフトオフィススペシャリスト

WordやExcel、PowerPointなどマイクロソフトオフィスの利用スキルを証明できる資格です。MOSと略して呼ばれることもあります。実際にコンピュータ上で各種ソフトを操作する実技試験の形式のため、実務力を身に付けられるのが特徴です。それぞれのソフトの基本的な機能の扱い方を試験されるため、資格を取得できればマイクロソフトオフィスの各ソフトの扱い方を習得できます。

まとめ

自費出版アドバイザーは自費出版をサポートするエキスパートとしてのスキルを証明できる資格です。自費出版アドバイザーを取得すれば、自費出版のサポートができるようになり、出版社や印刷会社への就職でも役に立つでしょう。自費出版に関わる仕事をしたいならば、自費出版アドバイザーの取得を目指すと良いです。