自費出版を出版社に依頼する場合は原稿を入稿しなければいけません。原稿の入稿方法は複数あるため注意しましょう。本記事では自費出版の入稿方法や完全データ入稿などについて説明します。

自費出版の入稿方法

自費出版の入稿方法について詳しく解説しましょう。

ここでの入稿とは、著者が出版社へ原稿を送ることを指しています。

データでの入稿

データ入稿とはテキストデータをメールなどで送ることです。データ入稿の場合はファイルの形式が指定されているため注意しましょう。たとえば、WordやInDesignで作成したファイルなどです。複数のファイル形式に対応している場合もあります。

ファイル形式を変換して入稿することも可能です。ただし、変換したことでルビの位置がズレる、太字などの情報が消えるといった問題が起きるケースもあります。基本的には指定されたファイル形式で最初から原稿データを作成すると良いでしょう。

手書きでの入稿

手書き原稿を入稿する場合は、原稿のコピーを郵送するか、スキャンしたPDFデータを送付するかの2パターンです。

スキャンしたPDFデータを送る場合、ファイルサイズが大きいためメール添付では送れないケースが大半です。USBメモリに保存し郵送するケースやクラウドサービスを利用する場合など出版社により異なります。

手書き原稿は出版作業を始める前にデータ化されます。ここでのデータ化とは、Wordなどのワープロソフトで編集できるデータに変換する作業です。

データ化の処理そのものは出版社が対応してくれることが多いです。ただし、データ化作業に伴う費用がかかるため、出版費用の総額は高くなります。

画像や写真の場合

絵本や写真集、書籍の挿絵などに画像や写真を用いる場合は、入稿方法に注意しましょう。こちらも手書き原稿と同様に、デジタルデータのまま送る(例:デジカメで撮影した写真)、紙に描いたイラスト等をスキャンしPDFデータで送る、原本を郵送で送るパターンです。

原本を送る場合、郵送事故等で紛失する可能性があるため、あまりおすすめしません。

入稿用のツール

原稿や画像データの入稿はメール添付が基本です。ファイルサイズが大きい場合には、オンラインストレージやファイル転送サービスを利用する場合もあります。

CD-RやUSBメモリを郵送するケースはだいぶ減ってきましたが、まずは依頼先の出版社に方法を相談することが大切です。

入稿前の確認事項

入稿前に以下の点について確認することが大切です。

  • フォントの確認
  • 文字や数字の統一確認
  • 用紙設定について

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

フォントの確認

原稿のフォント設定について事前に確認しましょう。フォントにはたくさんの種類があります。印刷用ではなく出版社へ送る原稿段階では、標準的なフォントを指定すると良いでしょう。独特なフォントを選択すると文字化けや文字が抜ける等のトラブルのもととなります。

文字や数字の統一確認

文字や数字を入力する際には半角と全角の違いに注意しなければいけません。基本的に半角と全角は混合させずに統一することが大切です。特に数字については、半角と全角を混合するケースが少なくないため注意しましょう。数字の1など見た目だけでは半角と全角の見分けがつきにくい場合があります。

同じ文言について漢字とひらがなが混在しているケースも多いです。基本的に同じ原稿の中では、漢字やひらがなの使い方を統一した方が良いでしょう。

用紙設定について

出版社へ送る原稿段階では用紙サイズの設定や余白の設定等はA4の初期設定のままとすることが推奨です。

事前に文字組レイアウトの方法が定まっている場合では、同様の行数・文字数で作成しページ数の見当をつけながら作成することも良いですが、通常は初期値のままとすることが良いでしょう。

完全データ入稿とは

出版社にデータ入稿する方法の1つが完全データ入稿です。完全データ入稿とは、そのまま印刷できる状態の原稿のことであり、出版社の編集作業・組版作業がなくなります。完全データ入稿にはメリット・デメリットがあるため、それぞれ詳しく解説しましょう。

完全データ入稿のメリット

完全データ入稿のメリットをまとめると以下の通りです。

  • 費用削減
  • 納期短縮

完全データ入稿の場合は出版社を利用する際の料金が安くなるのがメリットです。編集作用を自身で担当することで契約内容から省けます。その分だけ出版社の料金が安くなります。

また、完全データ入稿は入稿してすぐに印刷してもらえるため、納期を短縮できる点もメリットです。出版社がデータをチェックしたらすぐに印刷・製本をしてもらえます。

完全データ入稿のデメリット

完全データ入稿のデメリットは以下の通りです。

  • 作業を自分で担当する必要がある
  • ソフトの使い方を学ぶ必要がある
  • 質が低くなる可能性がある

完全データ入稿では自身ですべての作業を担当しなければいけません。ソフトを用意して、基本的な操作方法を覚える必要があります。そのため、慣れていないと質が低下して、完成する本の質を下げる可能性がある点に注意しましょう。

完全データ作成におすすめのソフト

会社により使われるソフトはいくつかあります。自費出版本の作成でよく使われるソフトは以下の通りです。

  • InDesign
  • Illustrator
  • QuarkXPress

InDesignはDTPソフトであり、原稿データの組版をする際によく使われます。InDesignを利用することでページのレイアウトや組版、書式設定などが可能です。ページ数の多い自費出版本を製作する際にはInDesignを利用すると効率よく作業を進められます。

Illustratorはイラストやグラフィックなどの作成をするのに使われるソフトです。パンフレットやポスター、チラシなどの製作に適しています。ページ管理の機能はありません。表紙のデータ作成や、写真・イラストなどの多い本の製作では、Illustratorが活躍するでしょう。

QuarkXPressはQuark社の提供するDTPソフトです。編集のための基本的な機能が搭載されています。細かな調整ができる点が特徴です。かつてはDTPソフトとしてトップシェアを誇っていたのですが、現在はInDesignがシェアでトップになっています。

まとめ

自費出版の入稿はWordなどのデータをメールで送信して行います。ただし、手書きの原稿を送り、出版社にデータへの変換を頼むことも可能です。自身で編集をすれば、費用を削減して節約できます。本記事で紹介したソフトを活用すれば、完全データでの入稿が可能なため、試してみてください。