「自費出版したいけど、赤字になるのがあたりまえのなのだろうか?」
「自費出版する場合、どのようにしたら黒字になるだろうか。」
「そもそも赤字と黒字のラインってどこにあるの?」
自費出版に興味がある人や、すでにその予定がある人の中には、こうした疑問を抱えている人は多いことでしょう。
今回は「自費出版は赤字があたりまえ?」について解説していきます。
実際に自費出版は赤字になりやすいのかどうか?や出版社や書店の事情、従来型以外の販路について、赤字と黒字のライン、売上分配率が極端に低いサービスについて、などを深堀していきます。
自費出版で書籍を出したい人にとっては、赤字になるか黒字になるかは重要なテーマだと言えます。本記事を読んで、それらについて正しく理解しておくことをおすすめします。では、早速見ていきましょう。
自費出版は赤字になりやすい?
「自費出版は赤字になりやすい?」という問いに答えるとすると
結論として、赤字になりやすいと言えます。
中には「書籍を作ってしまえば書店や出版社がより売れるように動いてくれる」、あるいは「販促プロモ―ションを積極的にやってくれる」、というように考えている方も多いでしょう。
しかし、書店の立場から考えると書店もビジネスをやっているため、書店に置くスペースというのは限られているわけで、売れる可能性が高い本を優先的に並べるのが一般的です。
知っている方も多いかと思いますが、書店には毎日約100点を超える新刊が届きます、ゆえに、それらすべてを並べることができるスペースはないのです。
そう考えれば、売れるかどうかが予測不能の著者の本は、すでに売れ行きの良い本や過去に実績がある著者の本が並べ終わった後のわずかなスペースに置くかどうかの判断となります。
そのわずかなスペースに置いてもらえるように働きかけるのが出版社です。出版社の方がその本の良さをアピールするなど、営業セールスをかけます。
その際に、多くの出版社では1か月の間に複数の新刊が発売されることとなるので、営業セールスをかける本は、その中でも「売れそうだな」と思う本から優先的に営業をかけていくこととなります。
出版社もビジネスをやっています。また、セールスは「売れるものを、それを求めている人に届けること」が基本となります。そう考えると上記のような営業スタイルになるのは、ごく自然なことと言えるでしょう。
また、自費出版というのは出版前のフェーズで、著者から原価回収を行っています。そう考えると、出版社の立場としては自費出版をする際の赤字リスクはないと言えます。
赤字になることがない書籍と赤字の可能性がある書籍、どちらの方を優先的に売らなければならないかに関しては、言わずもがなかと思います。
まずそうした背景があることを、自費出版をする方は頭に入れておく必要があります。
出版社や書店にもそうした事情がありますが、現在様々な販路の拡大によって、自費出版においても赤字にならないような策はあると言えます。
例えば、SNSの運用によってポジティブな使い方をすれば多くの自著を売ることができるでしょう。また、自身がセミナーや講演会に呼ばれたり、自らで開くとなった際に、手売りする場所と時間を設けるなどの売り方も存在します。
それ以外にも書評ブログに献本し、紹介やレビューをしてもらうというのもより良い方法でしょう。
従来のやり方に固執せずに、新たな販路を見つけることで、自費出版自体、赤字になりやすいという傾向があっても、赤字を回避し黒字化させることは不可能ではありません。
ですので、自費出版をすることが決定した際には、販路についても考えておくことをおすすめします。もちろん、出版物である書籍の内容を疎かにできないのは当たり前ですが、セールスに関してもしっかりと考えておかないと、せっかく自費で本を出版するのに、多くの人に見てもらえない結果となってしまいます。
次に赤字と黒字のラインはどこにあるかについて解説していきます。
赤字と黒字のラインは?
結論から申しますと、
売価×部数×50%が原価と同等になるラインのどちらに傾くかによって赤字になるか、黒字になるかが変わっていきます。
安価な自費出版サービスを利用した場合を考えましょう。
1300円のビジネス書を1000部印刷し、売り切れば計算上は僅かに黒字になります。
基本的に書籍を売り切るというのは、書店流通を前提にすると現実的ではありません。
ですので、2500部刷り、1500円定価で1500部販売し、1000部残ると仮定すると、僅かに黒字のラインに乗ります。
この例では単価を上げて算出しましたが、定価を上げにくい小説などのジャンルでは、ほかのジャンルよりも黒字にする難易度は高いと考えられています。
それ以外の方法として、200部程度の小ロットで、全て手売りで黒字化する方法もあります。
売上金の分配率が極端に低いサービスには注意
一般的に自費出版では、売上金(定価×販売された部数)のうち、書店や取次、出版社の手数料を差し引いて50%前後が著者の取り分になります。
一部の出版社では10%程度と非常に低い設定になっているケースがあります。このケースでは、黒字化ラインが大きく変わっていくので注意が必要となります。通常のケースよりも黒字化ラインが高くなってしまうので、そもそも売上金の分配率が極端に低いサービスを利用することはあまりおすすめできないと言えるでしょう。
まとめ
これまで自費出版は赤字になりやすいのかどうかについて解説してきました。
もちろん、多くの出版社や書店は書籍を売るように日々努力しているのは間違いないことです。しかし、日々新刊が生まれる実情があることを考えると、どうしても売れやすいものを優先的に良い棚においたり、ピックアップしたりすることは、ビジネスをやっている以上ごく自然なことと言えます。
それを踏まえて、あなた自身が販路の拡大のために尽力すれば、黒字化の可能性が高まり、多くの人に自著を読んでもらえることとなるでしょう。書籍を作って終わりではなく、どうやって売っていくか、どうやって知ってもらえるか、について考えつくすことも、自費出版においては重要な要素と言えます。
以上、「自費出版は赤字があたりまえ?」でした。