「自費出版をするのだが、用紙のチョイスに関してまったくわからない。」
「書籍の用紙っていっぱいあって何が何だかわからない。」

このように書籍における用紙の選び方に関してお困りの方も多いでしょう。今回は自費出版の際の用紙の選び方について解説していきます。
主に、書籍のパーツごとの役割の説明や、用紙の選び方、用紙の特徴などを説明していきます。
本記事を読めば、今抱えている悩みを解決できること間違いなしです。

では早速見ていきましょう。

書籍のパーツ別に最適な用紙を考える

書籍には各部位ごとに名称がついています。これは出版業界で常識的に知られていることですが、一般の方には馴染みが薄いものが多いです。

ここからは、各パーツの最適な用紙について解説していきたいと思います。

今回はカバー、表紙、見返し、扉、本文、帯に着目して深堀してそれぞれ見ていきましょう。

カバー用紙の選び方

カバーがどのような目的で付いているかを皆さんはご存じですか?

ソフトカバーを例に説明すると、その目的として書籍自体を保護するという役割が大きいです。カバーがないとすぐにへたってしまうということが大いに考えられます。

それ以外にもカバーが書籍についていないことで、作り自体がチープに見えてしまうというデメリットがあります。このような理由から、書籍にカバーは欠かせないものとなっています。

用紙の種類としてコート、マットコート、上質紙があります。それぞれ説明します。

コートは一番良く採用される種類です。主な特徴として光沢が出ることが挙げられます。発色がよく、フルカラーに最適な用紙として認知されています。

マットコートは光沢が若干抑えられて、しっとりとした質感を味わうことができる紙です。表面が反射することがないため、文字などが読みやすいという特徴があります。

コートは光沢ありで、マットコートは光沢なしという風に理解してもらえれば良いです。

上述した二つとは異なり、コーティングされていない紙が上質紙です。コーティングをしないことにより、紙本来的な要素が強いと言えるでしょう。そのため紙色が白ではなくややクリームとなり、色が染みこむ性質があるため、フルカラーに適さないという特徴があります。

表紙用紙の選び方

書籍における表紙の役割は、その中身を守るためという側面が大きいです。タイトルが書かれている開き始めを表表紙、反対に閉じる方を裏表紙と呼びます。

主な用紙の種類としては、コート、マットコート、上質紙(色上質含む)、アートポスト、レザック66があります。それぞれ説明していきます。

コートは、表面をコート剤によってコーティングし、滑らかかつ艶のある表面加工がなされている紙です。カラーの発色がきれいにでき、光沢のおかげで画像を鮮やかに見せる効果があるので、彩度の高い写真やイラストなどを載せるのに向いているでしょう。

マットコートは表面の光沢感を抑えた画用紙のようなマットな質感が特徴の紙です。色の発色自体はコートに近いものがありますが、艶がなく、光沢が抑えられているため彩度がやや落ちるため、上品な印象となります。

上質紙(色上質含む)は最も低コストであり、一般的なコピー用紙のような質感に近いです。コートのようにコーティングされていないので、光の反射がないため、文字が読みやすいという特性があります。しかし、インクにじみがあるので、色を多用するデザインや写真などには不向きとして考えられています。

上質紙の中でも色上質と呼ばれる、色のついた紙はデザイン的に見栄えの良いのが特徴です。その色自体の特徴も豊富にあるので、書籍の雰囲気に合わせた色を自由にチョイスできるメリットがあります。

アートポストはコートと比べて、しっかりとしていて大変厚みがあるのが特徴です。主にポストカードなどに採用されることが多いです。表面自体はコートと同様に光沢があります。そのため、紙の厚みが必要で、印刷の色が沈まないような鮮やかな色を要する場合に重宝する種類と言えるでしょう。

レザック66は、レザーライクという合成語から命名されている紙です。

カーフの皮しぼ模様にマットな質感となっているのが特徴といえます。高級感と暖かみを演出するのにはふさわしい種類でしょう。

見返しの用紙の選び方

見返しは表表紙の裏側にある、表紙の次の印刷のされていない紙のことを指します。

中身の保護や、本自体の耐久力保持という役割を果たしています。

また、本文側の紙は「遊び」と呼び、表紙の裏に糊付けされる方は「きき紙」と呼びます。

見返しには一般的に、上質紙や色上質紙が採用されることが多いです。

色上質紙を用いる場合、見た目の印象が大きく変わるため、それを狙って採用する場合も多くあります。

扉の用紙の選び方

扉とは、表紙を開いた後一番はじめに現れるページを指します。

本の構造によっては、見返しの次に扉が来る場合があります。

一般的に扉にはタイトルや出版社名、著者名などが記されています。

そういった意味では書籍の自己紹介のような役割があると言えるでしょう。

用紙には色上質紙か本文用紙と同一のものが採用されることが一般的です。

高級感を演出したい場合は、色上質紙を選択するのが良いでしょう。

本文の用紙の選び方

書籍において本文とは、その書籍における主要な文が掲載されているページのことを指します。

書籍の要と言っても言い過ぎではないでしょう。

用紙は上質紙や書籍用紙(淡クリーム琥珀)、色上質紙が採用されることが多いです。

書籍用紙とは、文字通り書籍の本文を印刷するための紙のことを指します。紙自体の分類は上質紙と同様の非塗工紙なのですが、一番の特徴は色にあります。各メーカーによって違いはありますが、クリーム色と呼べるような色をしていることが多いです。この色は長時間文字を読むときに白色の紙よりも疲れにくいという側面があります。ゆえに可読性が高い紙といえるでしょう。

それ以外の用紙として、稀にコートやマットコートで印刷するケースもあります。

帯の用紙の選び方

帯は、書籍自体の魅力をアピールし、お客様に手に取ってもらうことを目的に内容の説明やキャッチコピーなどを印刷して、カバーの上に巻く細い紙のことを指します。

帯を読んで買う人も多いなど、書籍販売においてはとても重要視されていると言えます。

また、帯は別名で「腰巻」とも呼ばれています。

用紙は、コートやマットコート、上質紙の三つがよく採用されます。

一般的にはソフトカバーと同様の用紙をチョイスするということが多いです。

そうすることで一体感がでるので、見栄えの良いスタイリッシュな印象を演出できます。

逆の発想で、帯は使用面積が少なく、カバーよりもコストがかからないということを理由に、少し贅沢をして特殊紙を選択するという人もいるようです。

まとめ

これまで、自費出版における用紙のチョイスについて深堀してきました。

これまで知らなかったことが浮き彫りになり、用紙について深く理解できたのではないでしょうか。

書籍を構築する用紙は、書籍自体の印象を大きく変えることに寄与します。そのため、正しい情報を頭に入れ、書籍の内容にあった用紙を選択していくことが、理想の書籍を実現することに大変重要になると言えます。

本記事が、あなたが出版する書籍に少しでも貢献できればうれしい限りです。

以上、「自費出版の用紙の選び方」でした。