自費出版の言葉の定義
自費出版とは、著者が自ら出版にかかる費用を負担する出版形式です。この場合、出版社にとって、著者がお客様となります。
出版社は、著者が持ち込んだ原稿を基に、本の形にするまでのデザインや装丁、印刷などを行い、必要に応じて、出来上がった本を全国の書店やAmazonなどのインターネット書店へ配本を行います。
自費出版の場合、著者が費用を負担することから、どのような内容であっても出版することが出来るため、自分の思い通りの内容の本を作り上げることが出来ます。(出版社により、一部ジャンルを取り扱っていない場合もあります。)
共同出版の言葉の定義
また、共同出版という出版形式があります。共同出版とは、自費出版と商業出版の中間に位置するもので、著者と出版社が出版費用を分け合う出版形式です。
出版社は、著者が持ち込んだ原稿や〇〇賞といった賞に応募した作品の中から、本の宣伝をすることで売上を上げる可能性がある作品の著者に、このような出版形式を持ちかけることがあります。
著者と出版社は、それぞれどの程度の費用負担をするのでしょうか。
出版をする際に必要となる費用には、編集、校正、組版、デザイン、印刷、流通、在庫管理、広告・宣伝といった作業が必要となり、それぞれに費用が発生します。
一般的には、出版社が流通、在庫管理の費用を負担し、著者がそれ以外を負担することが多いようです。著者と出版社の費用負担は、契約内容により負担割合が変わります。
共同出版は著者と出版社間でトラブルに発展するケースが多いようです。リスクが高い契約ですのでご注意ください。
両者の違いは?
自費出版と共同出版の一番の違いは、自費出版の場合、出版社はいかなる費用も負担しないことが挙げられます。
共同出版の場合は、本を売りたいターゲット層に本を買ってもらうために、出版社から本の内容について修正を求められることがあります。自費出版では、出版にかかる費用を全て著者が負担しているため、著者の思い通りの本を出版することが出来ます。
一方で、自費出版の場合は広告・宣伝を自分で行う必要がありますが、共同出版の場合は出版社が広告・宣伝を行います。(宣伝等を出版社が行わない契約もあるそうです。)
このように、自費出版と共同出版には費用面以外にも違いがあります。
過去に発生した共同出版のトラブル
しかし、共同出版をもちかけて言葉巧みに契約を結んだものの、実は自費出版よりも高い金額で契約してしまっていたことなど、著者と出版社の間でのトラブルが多発しています。
例えば、出版社から共同出版を持ちかけられて契約し、費用は著者と出版社で折半すると思っていたが、実は出版にかかる費用全てを著者が負担していたという事例があります。
共同出版の場合、相場が必ずしもあるわけではありませんので、出版社が正確な説明をせず、本来必要となる費用よりも過大に費用を請求する場合があります。
また、原稿を預けたものの、見出しなどのデザインがされずに印刷されてしまったことや、全国の書店への配本を行うと話をされていたが、実際は50件に1件あるかどうかといった状況であった等、契約内容には書かれないことにおいてもトラブルが発生した事例もあります。
こうしたトラブルを起こしがちな出版社としては、出版業界に疎い方やはじめて出版する方に対して「素晴らしい作品だ」、「間違いなく売れます」などと言った、著者となる方に対して都合の良い言葉を並べます。
出版業界は、全体的に不況にあり、本を出せば売れるといった時代ではありませんので、著者に都合の良い言葉だけを並べられた場合は、出版社の名前で口コミ調査などを行うと良いでしょう。
まとめ
こうした問題は、出版業界に限らず、業界事情に疎い方を対象とした商売をする際には、起こりがちな問題です。
出版業界には、独自の用語やルールが多くあります。打ち合わせで意思疎通がうまく出来なかったり、契約内容をきちんと確認しなかったりと、理解しないままで進めると、思いもよらない状況になってしまうことがあります。
これから自費出版や共同出版を考えている方が、過去に発生したような問題を生じさせないようにするためには、契約書をしっかりと読み込み、分からないことがあれば、納得するまで担当者の方に質問をすることを徹底するようにします。契約書を交わさない、交わそうとしない出版社には要注意です。
また、見積金額と内訳が明瞭に出されていることも重要です。見積と契約書を比較して、契約内容に記載されている内容と見積り金額に齟齬が無いかも確認すると良いでしょう。
本の内容も大事ですが、安心して出版までをサポートしてもらえる出版社を探すことも、納得いく本とするための大事な要素です。