自費出版の方法としてオンデマンド出版があります。オンデマンド出版とはどのような方法なのか気になる人は多いでしょう。本記事ではオンデマンド出版で自費出版するメリットから出版にかかる費用、流れまで解説します。

オンデマンド出版とは

オンデマンド出版とは版を利用せずに印刷し書籍を制作する方法です。データを入稿するとすぐに印刷を進められます。一方、オフセット印刷という方法があり、印刷する際に製版・刷版するのが特徴です。

より簡単に説明すると、消しゴムはんこをイメージしてください。消しゴムを彫刻刀で彫り、インクをつけて紙にハンを押します。この形式はオフセットです。

パソコンにプリンターを接続し、Wordのデータを印刷したことがあるかと思います。この形式がオンデマンドです。

実際の書籍づくりでは消しゴムは使いませんし、家庭用プリンターは使いません。おおよそのイメージとしては上記の説明でご理解いただけたかと思います。

それぞれに時間や費用、プリント品質についてメリット・デメリットがあります。自費出版する際に何を重視するかによって、オンデマンド出版が最適な選択かどうかが変わります。

オンデマンド出版のメリット

オンデマンド出版にはどのようなメリットがあるのか、自費出版する際の選択肢としてのメリットを紹介します。

少数から印刷可能

自費出版で少数だけ印刷したい場合はオンデマンド出版が適しています。オンデマンド出版の場合は1部からの印刷にも対応しています。必要なときに必要な部数だけ印刷できるため費用を抑えることができます。たとえば、思い出作りに少数だけ自費出版したいならばオンデマンド出版が最適です。

(厳密にはオフセットも1部から印刷可能です。ただし非常に高額な1冊になります。現実的には1部の印刷でオフセットを採用するケースは稀です。)

在庫を抱える心配が少ない

オンデマンド出版では必要な部数だけ印刷するため在庫を抱える心配は軽減します。多めに印刷しないといけないわけではなく、最小限の部数だけ印刷できます。自費出版で多くの在庫を抱えて困るリスクを避けられるのです。

当然ながら印刷製本の制作日数が印刷の都度かかります。

(オンデマンドでも少部数で都度印刷製本に対応していない出版社もあるため注意が必要です。)

内容の修正がしやすい

オンデマンド出版は版を作らずに出版する方法のため、版代が再度かからない点はメリットです。

印刷用データそのものの修正はいずれの方法でも必要になります。原稿修正、組版修正、再校正の工程は発生します。

絶版になりにくい

オンデマンド出版の場合は版を作らずデータから印刷する方式です。そのため、入稿データさえ残っていれば半永久的に本を出版可能な状態が維持されます。

オフセットは版そのものを保管する必要性、一度に一定数量まとめて刷る必要性から品切れ絶版になりやすいと言えるでしょう。

オンデマンド出版のデメリット

自費出版でオンデマンド出版を選択するデメリットを紹介します。

大量印刷には向かない

大量印刷したいときにオンデマンド出版は向いていません。印刷枚数が増えるほどコストがかかるからです。費用を抑えて大量出版したい場合は、版を作成するオフセット印刷の方が適しています。

オフセット印刷よりも質が低い

一般的にはオフセット印刷よりもオンデマンド印刷の方が印刷の質は低くなります。印刷の粗さやテカリがあるなど低品質な本になりやすいです。ただし、近年は印刷技術が向上したことにより、オンデマンド印刷でも質の高い本を印刷できるケースは増えています。昔ほど品質に違いがなくなってきています。

オンデマンド印刷の費用

オンデマンド印刷にかかる費用は業者によって大きく異なります。少数部数の場合はオンデマンド印刷を選ぶとオフセット印刷の半分以下の費用で印刷できるケースが多いです。

オンデマンド印刷で48ページの本を100部印刷する場合、印刷会社で3万円程度の費用です。一方、同じ条件でオフセット印刷の場合は、10万円近くの費用がかかるケースもあります。

大量印刷する場合、具体的には500~1,000部を上回る部数でコストが逆転します。

絵本や写真集でもオンデマンド印刷は可能?

絵本や写真などをオンデマンド印刷で出版することは可能です。最近はオンデマンド印刷の品質が向上しているため、絵本や写真集の印刷にも対応できる業者が増えています。ただし、プロの出した一般的な書籍と同品質を求めるならば、オフセット印刷の方が満足できるでしょう。

オンデマンド印刷ができる出版社

たとえば、以下の出版社ではオンデマンド印刷に対応しています。

  • せせらぎ出版
  • 青山ライフ出版
  • 三恵社
  • 書籍づくり本舗

せせらぎ出版はこれまでさまざまなオンデマンド出版に対応してきました。Amazonや楽天での書籍販売をサポートしてくれます。

青山ライフ出版は自費出版を総合的にサポートしている業者です。紙本と電子書籍の同時製作に対応しています。

三恵社はオンデマンド出版システムを用意していて、低価格で自費出版可能です。内容の変更にはスピーディーに対応してくれます。

書籍づくり本舗(当サイト)もオンデマンド印刷、オンデマンド出版に対応しています。ネット書店だけでなく通常の書店にオンデマンド出版書籍を流通させることも可能です。

オンデマンド印刷した書籍が手元に届くまでの流れ

オンデマンド印刷の流れをまとめると以下の通りです。

  1. データ作成
  2. 校正刷り
  3. 印刷
  4. 製本
  5. 検品
  6. 納品

まずは、デザインやデータ作成をします。次の工程は校正刷りです。オンデマンド印刷機による校正出力のチェックを行います。そして、印刷を行い、製本をして、検品してから納品されるという流れです。

オンデマンド印刷ではフィルム出力や刷版といった工程がありません。スムーズに手元に届けられます。

まとめ

オンデマンド印刷は低価格で少数部数を自費出版したいときにおすすめの方法です。オンデマンド印刷でも最近は高品質の本を出版できて絵本や写真集も作れます。自費出版の仕方で悩んでいる方はオンデマンド印刷を検討してみましょう。