自費出版をする際に気になる点の1つがISBNコードです。本記事では自費出版におけるISBNコードの必要性とコードの取得方法について解説します。

ISBNコードとは

ISBNコードとは国際標準図書番号のことです。書籍出版物に固有のコードとして発行されます。このためISBNコードをもとにして書籍の情報を特定できます。2022年時点ではISBNコードは合計13桁の番号として構成されています。(2006年までは10桁でした。)

ISBNコードによって、以下の5つの情報が表されているのが特徴です。

  • 接頭記号
  • 国記号
  • 出版者記号
  • 書名記号
  • チェックデジット

通常は本の裏表紙にISBNコードの記載があります。

自費出版本ならISBNコードは必要ない?

書店で本を流通させたいならば、ISBNコードを取得しなければいけません。個人で楽しむだけであれば、自費出版本にISBNコードは必要ないです。

ただし、自費出版サービスを提供する出版社では、個人で楽しむ目的の書籍にもISBNコードを発行してくれる場合があります。

ISBNコードの取得方法

ISBNコードの取得方法は日本図書コード管理センターへの申請です。出版社に依頼して出版する場合は、出版社がISBNコードを割り当てるため著者による申請は不要です。

ここでは個人でISBNコードを取得する場合の方法について詳しく解説しましょう。

(個人で申請)日本図書コード管理センターに申請をする

日本図書コード管理センターはISBNコードの管理を行っています。日本図書コード管理センターのサイト上で申請をしましょう。

指定のフォームから必要事項を入力し送信します。正常に手続きが終わると数営業中にセンターより電話が入ります。

いくつか質問に答えて問題がなければ、決済用のURLが送信されるため、申請料を支払いましょう。

1つのISBNコードを発行する場合、費用は8,800円です。

加えて書籍JANコードの発行にかかる手数料が11,000円です。書籍JANコードの使用は3年毎に使用料を支払い更新する必要があります。(書籍を3年以上継続して売り続ける場合、更新が必要になり、都度11,000円を支払います。)

決済が確認されれば、ISBNコードが発行されます。

すべての手続きは最短で2週間程度かかるため注意しましょう。

出版社に取得してもらう

出版社から自費出版のサポートを受ける場合は、大半のプランでISBNコードがついてきます。このためご自身で行うべきことは何もありません。出版社がISBNコードを取得してくれるのを待ちましょう。

出版社にISBNの発番だけを依頼する

理屈上はISBNの発番だけ出版社が行い、組版や印刷製本は著者自身で対応することが可能です。
問題点は、書籍の在庫確認や書籍に関する問い合わせがISBN発番の出版社に寄せられるため、実務上難しさはあります。(AmazonPODに代表される受注毎に1冊ずつ印刷するサービスであれば、この問題は起きません。)

ISBN発番と流通管理のみのご相談は内容によりお引き受け可能な場合がございます。当サイトのお問い合わせフォームよりご相談ください。

ISBNコードの取得費用

前述の通り、ISBNコードを取得するには費用がかかります。取得料金は1コードであれば、8,000円と消費税がかかります。10コードであれば2万円に消費税、100コードであれば37,000円に消費税を足した料金が請求されます。

(初回と2回目以降で若干費用が変わります。)

発行形態が変わると別のコードが必要になる

ISBNコードは発行形態が変われば別のコードが必要になります。たとえば、単行本と文庫は異なる発行形態であり、同じ本でも新たにISBNコードを申請しなければいけません。また、電子書籍の場合にもファイル形式ごとにISBNコードを付与します。

電子書籍にもISBNコードが必要?

電子書籍を出版する際、ISBNコードは必須ではありません。ISBNコードを割り当てる場合、異なるファイル形式の電子書籍を出版する場合は、それぞれの形式ごとにISBNコードを取得します。たとえば、EPUBやPDF,MOBIなどそれぞれのフォーマットごとにISBNコードを取得します。

これは紙の書籍と電子書籍両方を発売する場合でも、それぞれ異なるISBNコードを設定します。

JANコードとは?

JANコード(書籍JANコード)とは、いわゆるバーコードのことです。商品を識別するためにJANコードを設定します。書籍を販売する場合は、背表紙にJANコードをつける必要があります。

JANコードの取得方法

JANコードを取得するためには一般財団法人流通システム開発センターに申請をしなければいけません。登録申請をして完了すると登録通知書が送付されて、JANコードが発行されます。

流通も請け負える出版社であれば、JANコードも同時に対応しますから著者は任せるだけでOKです。

自費出版したら国立国会図書館への納本も必要

自費出版をした本は国立国会図書館への納本義務があります。国会国立図書館法により、国内で発行された出版物はすべて国会図書館に納本することが義務付けられています。国民が共有する文化的資産として永久的に保存することを目的とした制度です。

納本義務があるのはISBNコードのある本だけではなく、コードがない本も対象に含まれます。ただし、実際には流通されていない本は見逃される場合が多いです。

納本するのは1部のみで問題ありません。納本は国立国会図書館へ持参するか、送付します。納入出版物代償金という制度があり、小売価格の5割と郵送にかかる最低料金に相当する費用を受け取ることが可能です。

自費出版サービスを利用する場合、出版社が納本に必要な書面作成、発送等を対応します。著者による作業は通常ありません。

同人誌にもISBNコードは必要?

たとえば、即売会でのみ販売する同人誌に関してISBNコードは不要です。ただし、書店に流通させたいと考えているならば、コードを取得しなければいけません。

また、ISDNというサービスが存在します。ISDNとは国際標準同人誌番号であり、同人作品に割り当てられるコードのことです。あくまでも一般書籍のようにバーコードをつけたい場合のサービスとなっています。ISDNのコードをつけても一般書店での流通はできません。

まとめ

自費出版する際にISBNコードの取得が必要になると覚えておきましょう。取得のためには費用もかかります。出版社に依頼すれば、ISBNコードの取得も任せられるため便利です。ISBNコードについて把握した上で自費出版に取り組みましょう。