自費出版で小説を出したいと考える方は多いです。しかし、自費出版をするための費用や印税などがわからず不安になる方もいるかもしれません。本記事では自費出版で小説を出すための方法や費用などについて解説しましょう。

自費出版とは

自費出版とは自分で費用を出して本を出版することです。出版社が費用を出す商業出版とは区別されます。

自費出版は商業出版と比較し自由度が高く、自分の作った作品を発表したい方やイベントなどの記念に利用したい方が行うことが多いです。

自費出版の小説は売れるの?

自費出版から小説を出してベストセラーになった作品は過去にいくつも存在します。たとえば、「リアル鬼ごっこ」や「氷の華」は有名です。

山田悠介が自費出版本として出した「リアル鬼ごっこ」は人気を集めて、100万部を超えるヒット作となりました。「氷の華」は天野節子による自費出版小説であり、ベストセラーとなりました。「氷の華」はドラマ化もされています。

ただし、これは全体のごく一部の成功例であり売れなかった作品がこの数以上に存在します。多くの自費出版書籍は少部数印刷製本されるケースが多く、そもそも大量に売ることを前提にしていない点も考慮が必要です。

数十万部売ることを目指すのであれば、その前提の製本や値付け、宣伝や営業を計画する必要があります。売れなかった場合の著者持ち出しも大きな金額になるため、早い段階で出版社と目指す姿を相談できると良いでしょう。

小説を自費出版する方法

小説を自費出版したいならば、出版社に相談するのが一般的です。出版社が全面的に自費出版をサポートしてくれます。相談をして契約した後は、原稿を渡しましょう。そうすれば、校正や編集をし、印刷から製本、流通まで対応してくれます。

自費出版の費用相場

自費出版にかかる費用は本のサイズやページ数、装丁のこだわりなどで大きく異なります。また、出版社ごとに自費出版の料金も違うため注意しましょう。

100ページの本を100冊作る場合は20万円程度の費用がかかります。ハードカバーやカラー印刷、写真掲載などの条件がつくと費用は高くなるでしょう。

当サイト「書籍づくり本舗」の場合、100ページ100冊で約18万4千円(税抜)です。組版~オリジナル装丁デザイン・ISBN発番~印刷製本~流通・管理を含む合計費用の例です。

文庫サイズでも四六版でも料金は同一です。

流通させるには図書コードも必要

日本国内で本を書店販売するには図書コードが必要になります。図書コードとはISBNコードやJANコードなどそれぞれの本に固有に付与された番号のことです。書籍の裏表紙にある数字とバーコードと言われるとイメージしやすいでしょう。

ISBNコードは世界で共通に使用される番号であり、各書籍に固有の番号が使用されます。JANコードは発行形態・書籍の内容・価格などを数字にしたものです。いずれも登録を済ませることでコードが付与されます。

自費出版の印税はいくら?

自費出版による印税は出版社との契約によって大きく異なります。また、自費出版の場合は厳密に言えば印税ではなく、本の売上から経費を除いた分を指し、「分配金」「売上分配金」などと呼ばれます。

印税率(分配率)は一般的には50%程度になります。商業出版とは異なり自費出版では出版にかかる費用を著者が出しているため、印税率は高くなります。

自費出版は儲からない?

自費出版は一見すると印税率が高く設定されていて、著者の取り分が多いため利益を得やすいと考えられます。しかし、自費出版では出版にかかる費用の大部分を著者が負担しなければいけません。そのため、利益が生じにくく、赤字になりやすい点に注意しましょう。

たとえば、100冊の本を10万円の費用で自費出版できたとします。そして、著者への印税率が50%として1,000円で販売したとすると、100冊全部売れたとしても著者の取り分は5万円です。10万円の費用で5万円しか取り分が得られないため赤字になります。本の価格を2,000円にすれば、やっとプラスマイナス0です。

常識的な定価設定を前提にすると、安価な料金体系の自費出版サービスを利用し、3000~5000部程度を刷り、8割程度売り切ることが黒字化のラインです。

書籍は委託配本制度のもと流通する都合、100冊刷って100冊売れることは現実起きません。また返本された書籍は一定程度ダメージを受けて戻るため、再流通させるには研磨等の修復コストが追加で必要になります。

自費出版小説を売れるようにするには

自費出版した小説を売れるようにするための方法を紹介します。

小説の宣伝をする

小説の宣伝を行います。小説の宣伝方法はたくさんあり、新聞広告やWEB公告、SNS、ブログ、インフルエンサーへの依頼などです。アマゾン内広告のように売上に直結しやすい広告もあれば、新聞広告のようにそのものの効果はさほどなく、書店営業との組み合わせが重要となる広告もあります。

書店営業をする

書店内の良い位置、大きく展開をしてもらうための営業が必要です。著者自ら営業されるケースもありますが、書店と関係性のある出版社営業が行うことが一般的です。

大型店での売上は他店からの注目度も高いため、注力が必要です。

装丁を工夫する

小説を手に取ってもらえる可能性を高めたいならば、装丁を工夫しましょう。表紙や帯などを工夫することで、興味を持ってもらえます。その時々の流行りもありますが、ご自身の作品が属する小説ジャンルで売れている作品の装丁を研究しましょう。

小説投稿サイトからの出版デビュー

小説投稿サイトから出版社にオファーされて、出版社のバックアップを受けながらデビューするのが、売れるための確実な方法といえます。最近は「小説家になろう」や「カクヨム」など無料投稿サイトが多いです。これらのサイトで人気が出て、出版社のオファーを受けて小説家としてデビューを果たした人は大勢います。出版された小説がアニメ化やドラマ化、映画化されて人気作家になった人もいます。

投稿サイトへの投稿は無料で行えるため、自費出版費用が捻出しにくい方は、投稿をしてみることも一つでしょう。サイトへの投稿でファンを集めることができれば、費用負担なく出版に繋がる可能性があります。

ただし、小説投稿サイトであっても一度世に出た作品は取り扱いしない出版社もあります。トレードオフである点、注意しましょう。

まとめ

小説を自費出版で出したいならば出版社に相談しましょう。広告宣伝や販路の拡大、装丁などを工夫することで売上を上げられます。魅力的な小説を書いて、自費出版で多くの人に届けましょう。