自費出版をするにはどうすればいいのでしょうか。やり方や費用など気になる点は多いでしょう。本記事では自費出版本を制作する方法や制作費用について解説します。

自費出版とは

自費出版とは、ご自身の創作物をご自身の費用負担で本にすることです。
一般的に出版社のサポート受け作成されるものを自費出版と言い、ご自身で印刷製本し、流通させない場合を私家本と言います。

自費出版の制作方法、流れ

出版社に依頼し、自費出版本を作成する場合の流れは次の通りです。

打ち合わせ

出版社と打ち合わせを行い、どのような本にしたいのか話し合いをします。本の内容だけではなく、装丁や挿絵、サイズ、紙の質などさまざまな点について細かく決めていく工程です。しっかりと打ち合わせを行うことで、質の高い本を出版できます。

作品の執筆

打ち合わせを終えたならば、実際に本にしたい作品の執筆を進めます。最近は打ち合わせ前に執筆が済んでいるケースも多いです。作品がおおよそ完成していることで出版社との相談が具体的かつ現実的に進められる点がメリットです。
(原稿の文字数や書名の案などが分かっていると、デザインの相談も具体的になりますし、印刷製本費用の見積もりも精緻に出せたりします。)

編集・校正

作品の誤字脱字など誤りを修正していきます。原稿の修正が進むと本文のレイアウト作成に進みます。ゲラの確認、ミス等の修正を経て、表紙やカバーのデザイン作成へ進みます。最終は著者により確認(著者校正)を経て、印刷用データの完成です。

印刷・製本

校正で問題がなければ、実際に印刷をして製本を行います。事前に打ち合わせをした仕様で印刷が行われ、最終チェックを行い、問題がなければ納品を受けて自費出版本の完成です。書店での販売を予定している場合(流通)は、出版社倉庫から取次店倉庫、書店へと書籍が配られます。

自費出版の制作費用

自費出版にかかる費用は本のページ数や部数、サイズなどにより大きく異なります。
一例として、下記ケースで20万円~60万円ほどと出版社により費用は様々です。

  • 四六判(128×188mm)
  • 小説
  • 100ページ
  • 100部印刷
  • 流通なし

次のような書店へ流通させるケースで、100万円~500万円ほどと費用の差はひらきます。

  • 四六判(128×188mm)
  • ビジネス書
  • 200ページ
  • 2000部印刷
  • 流通あり

出版社により費用が違う理由

高くても希望に合致する出版社もあれば、安くても十分満足できる出版社もあり、費用だけを見ても選ぶことはできません。

費用の違いを理解するには、次の点を確認すると良いでしょう。

出版社のブランド力

該当ジャンルで雑誌を持つ企業など、知名度の高い出版社はブランドがある分、費用も高い傾向です。

編集やデザインの程度

編集をどの程度行うか、デザインはオリジナルに作成するか文字をあてるだけか等、作業量に応じて費用に差が出ます。

営業や広告費が含まれるか

書店への案内やWEB広告、新聞広告などの費用が含まれているプランの場合、その分費用は高額になります。

対面、非対面の違い

営業や編集者が出張し、相談にのってくれるケースや、出版社オフィスで対面打ち合わせを複数回行う出版社では、その分費用が高額になります。

ここでは挙げませんでしたが、当然各社利益の取り方に違いがあります。システム化が進んでおり、出版点数の多い出版社の中には、薄利多売型のケースもありますが、外から見ても違いは分かりづらいでしょう。

制作期間はどれくらいになる?

自費出版は、出版社に依頼してから納本までさまざまな工程が存在します。平均すると自費出版の本が納本されるまでに6か月程度の時間がかかるでしょう。ただし、6か月という数字はあくまでも目安です。期間への影響が大きい点は、原稿への修正回数と著者の確認に要する期間です。誤字が多く、著者が対応する作業を抱えて工程を止めてしまうと制作期間は長くなります。

また、時期によって通常より時間がかかるケースもあります。ゴールデンウィークやお盆や年末年始を挟む場合には、休暇期間中、作業が止まることも考慮しましょう。

出版社はどこでも同じ?

出版社によって得意とするジャンルは異なります。また、自費出版のサポート範囲、費用なども違うため、出版社選びにこだわることは大切です。それぞれの希望を満たした条件で依頼できる出版社を探しましょう。

出版社の選び方

出版社を選ぶ際の基準を紹介します。

扱うジャンルから選ぶ

自費出版したいジャンルを得意とする出版社に依頼することをおすすめします。詩や小説、絵、写真、エッセイなどさまざまなジャンルが存在します。出版社のウェブサイトをチェックし、どのジャンルについてサポートしているか確認できるでしょう。また、その出版社がこれまでに出版してきた書籍をチェックすれば、得意ジャンルを確認できます。

サポート体制から選ぶ

自費出版についてどこまでサポートしてくれるのかにこだわって選ぶ方法があります。たとえば、プロが校正や編集を担当してくれて、製本後の流通・販売まで担当する出版社があります。また、本の代筆まで対応する出版社もあります。サポートが豊富なほど高額になりますが、ご自身の望むサポートを提供しているか確認しましょう。

費用から選ぶ

自費出版にかかる費用を基準にして出版社を選ぶという方法があります。同じ条件で複数の出版社から見積もりをもらい比較することが大切です。見積もりをもらうだけであれば、出版社の多くは無料で対応してくれます。見積もりをもらう際に、ページ数をいくつかのパターンでもらうと良いでしょう。

評判や口コミから選ぶ

出版社に寄せられた評判や口コミを参考にすると良いでしょう。実際にその出版社で自費出版をしたことのある人の意見は参考になります。ただし、評判や口コミの中には真偽が怪しいものも含まれるため、あくまでも参考意見として受け止めましょう。

自費出版本は書店やアマゾンで販売できる?

出版社によっては、自費出版した本を書店で販売したり、アマゾンに直接卸してくれる場合があります。また、ご自身でアマゾンに登録をして販売することも可能です。アマゾンでは電子書籍サービスとしてKindleを提供しています。Kindleで販売すると印刷費がかからず在庫を抱える心配がないなどメリットが多いです。紙の本と同時に、電子書籍を利用することも検討しましょう。

まとめ

出版社に依頼し制作する流れや費用について見てきました。
安価な出版社から高額な出版社まで多様なため、事前に見積もりをもらい、出版社同士で比較をすることをおすすめします。