「自費出版において、発行者や発行元って誰に該当するのだろうか?」
「そもそも書籍における発行者や発行元の定義がわからない。」
実際にこのような疑問を抱えている方も多いことでしょう。今回は自費出版における発行者・発行元・発売元に関して解説していきます。
基本的にこの3つは、書籍の奥付に記載するものとして認知されています。
では、自費出版においてその扱いはどのようなものとなるのでしょうか。
そのあたりに関して深堀していきたいと思います。では見ていきましょう。
自費出版の発行者とは?
自費出版において発行者(発行人とも言う)は通常、著者本人になります。奥付においては省略されることもあります。商業出版の場合では、出版社または出版社の人間となることが一般的です。
また、発行者は企画決定者であります。書籍を出すかどうか、企画自体を決定し、資金を出すものが著者自身の場合はもちろん自費出版となります。一方で資金を出すものが出版社となる場合は商業出版となります。多くの場合はこの資金を出すものが発行者となる場合が多いですが、必ずではありません。
発行者を奥付に記載する明確なルールはありません。そのため、どのような記載とすべきか(ここでは誰が発行者であるべきか)にもルールはありません。
書籍によって特定の人を傷つけたり、名誉を毀損してしまったケース等で、発行者に責任が伴うと説明されるケースもありますが、そういった法律等はありません。
現代の奥付では、発行者や発行元出版社は「書籍の問い合わせ先」として取り扱われると考えると十分でしょう。
自費出版の発行元とは?
一般的に、発行元(発行所とも言う)とは本を作って発行する会社を指します。
自費出版における発行元として、自費出版会社が奥付に記載されます。また別の場合で発行元ではなく、発行所と呼ぶケースもあります。
一般的には書籍の問い合わせ先に該当するイメージでよろしいです。
自費出版の発売元とは?
一般的に発売元とは、取次との口座を持っている会社を指します。
発行元と発売元が異なる場合がある点に注意しましょう。
例えば、出版社が発行元となり、取次口座を発売元の口座で書籍を流通させる場合にそのケースが該当することが多いです。これは口座貸しと呼ばれるものです。
口座貸しは、取次との契約で使用している口座を他の出版社に貸してあげることを指します。中小規模の出版社や新設出版社は口座貸しを用いている場合が多いです。(月間数十タイトルを発行する大きな規模の会社でも口座貸しを用いる場合があります。)
まとめると、取次口座を持っている出版社を発売元、口座を借りて書籍を出版する出版社を発行元とし、それぞれ区別する場合があるということです。
発売元として有名な会社に「星雲社」があります。
「星雲社」は自社編集をせずに、取次会社との口座を保有していない出版社から流通を委託されて、業務代行を行っています。本記事・コラムを運営する弊社も星雲社との委託契約を結んでおり、弊社発売の書籍も発売元は「星雲社」となります。
口座貸しをする会社は一般的に、取次との交渉や折衝を行ってくれたり、書店からのオーダーが入った時に、取次に本を出荷してくれます。それ以外にも、返品本の管理や、取次・書店への営業活動・販促活動をしてくれるなど様々な役割を担っています。
こうした機能があるので、様々な形態の出版社から多様な出版物が日々生まれていると言えるでしょう。
まとめ
これまで自費出版における発行者・発行元・発売元に関して深堀してきました。
これらは耳馴染みのある人もいるかと思いますが、その実態に関して正しく理解できていなかった人も多かったのではないでしょうか。特に自費出版における発行元と発売元に関しては、わかりにくい側面があったかと思います。口座貸し自体知らない方には「なるほど!」と思うような仕組みや成り立ちが多かったのではないでしょうか。
以上、「自費出版の発行者・発行元とは?」でした。