自費出版をする際に発行者は誰になるのか疑問に感じる人がいるかもしれません。また、奥付をどのように書けばいいのかわからない人も多いでしょう。本記事では自費出版をする際に重要になる発行者や奥付について解説します。

発行者とは?

発行者とは出版物を発行する際の責任者のことです。また、本の所有者という意味で発行者という言葉が使われるケースもあります。したがって、発行者と著者が別になるケースも珍しくありません。

発行者は誰になる?記載は必須?

自費出版をする際に発行者は誰になるのか、記載が必要なのか解説します。

自費出版の場合は著者になる

自費出版をする場合の発行者は通常著者です。自費出版は著者が費用を出して、著者の責任で本を出版します。一方、商業出版の場合は、本の編集や印刷、流通などに対応するのは出版社であり、出版社の編集者などが発行者となるのが一般的です。

記載必須ではない

出版物に発行者を記載するのは必須ではありません。そのため、自費出版でも、商業出版でも、発行者が記載されていないことは珍しくないです。出版社によっては発行者の記載をしないケースもあります。

発行元や発売元との違いは?

発行元とは、本の制作を担った出版社を言います。一般的な商業出版や自費出版であれば、発行元は該当の出版社です。

(出版社を介さず、個人で制作した自家本の場合は、発行元も著者名になります。)

一方、発売元とは、書籍の流通窓口を言います。発行元と発売元が異なる会社の場合、制作と流通を分担していることを示します。

奥付とは

奥付(おくづけ)とは、書籍の最終ページに記載される「その本に関する基本情報」やそのページ自体を奥付と呼びます。

奥付の必要性

本の奥付は重要なものです。出版物に対して責任の所在を明確にすることを目的として記載されます。たとえば、本に内容の不備や落丁があった場合には、奥付を確認すれば問い合わせ先がわかる仕組みです。奥付には発行元や発売元が記載されており、出版社や著者、編集者などを確認できます。そのため、商業出版であれば、奥付が記載されているのが一般的です。奥付は法的な義務ではないのですが、慣習として奥付を記載するのがルールとされています。

自費出版にも奥付は必要?

個人で所有する目的であれば、自費出版物に奥付は不要です。ただし、書店で流通させたいのであれば、奥付は記載しなければいけません。奥付のない本を書店に扱っていただくのは難しいでしょう。

奥付で記載すること

奥付に何を記載すればいいのか、一般的な項目や書き方、注意点などを紹介します。

主な項目

奥付に主に記載するべき項目は執筆者や発行者に関する情報と、書籍名など書籍に関する情報です。以下の情報を記載しましょう。

  • 著者
  • 発行者
  • 書籍名(タイトル)
  • 書籍の発行年月日
  • 刷数
  • コピーライト

まず、奥付には著者と発行者など出版に携わった人や会社の名前を記載しましょう。自費出版で出版社に依頼をして本を出す場合には、奥付の記載項目を出版社が確認してくれます。それでも、自身で奥付に必要な項目が記載されているかチェックしましょう。

書籍名や書籍の発行日、刷数などの情報も奥付に記載します。たとえ表紙に書籍名が記載されていたとしても、誤解を防ぐために奥付にも正確な書籍名を記載しておくとよいです。

奥付の書き方

奥付の書き方に決まったルールはないですが、見やすいように工夫することは大切です。

基本的には一行目に書籍名を大きく記載することをおすすめします。その方が奥付の見た目のバランスを整えられるからです。次に発行日や著者名、発行者名などを記載していきましょう。

奥付は縦書きでも横書きでもどちらでも構いません。多くは書籍本文に合わせます。

奥付も書籍の雰囲気作りに影響を与える要素であり、デザインにこだわることが可能です。たとえば、用紙を変える、おしゃれな枠で囲うといった工夫を盛り込めます。

記載NGな項目

法規制はないため、奥付にどのような項目を記載しても問題ありません。しかし、多くの場合で記載しない方がよい項目はあります。

たとえば、定価は記載しないほうがよいでしょう。将来的に価格改定の可能性があるからです。また、消費税率が変更される可能性もあるため、記載は原則、本のカバーにのみ記載します。(カバーだけ刷り直せば、消費税率変更などに対応ができ、コストが安価です。)

著者に関する個人情報は記載しないように注意しましょう。落丁乱丁があった際の、不良品送付先住所の記載は必要ですが、著者の自宅住所等を記載することは避けるべきです。

近年は奥付に検印を記載しないのが一般的です。代わりに著作権者名(コピーライト)を記載するケースがあります。

(著者検印は昭和40年頃までのお話で、今では一切見なくなりました。現在も印税という言葉が残っているのはこの”印”からです。)

発行者の記載位置

奥付に記載する項目や記載位置などの法規制はありません。そのため、あくまでもそれぞれが自由に奥付を記載できます。

基本的には著者名の下に発行者が記載されていることが多いです。

まとめ

自費出版をする際には発行者は著者本人とするのが一般的です。奥付には発行者をはじめ必要な項目をきちんと記載しましょう。奥付の記載の仕方にまでこだわることで、自費出版本の完成度を高めることができます。