著者自身が費用を負担し出版することを自費出版といいます。自費出版を行う際、出版社と契約をしてサポートを受けるのが一般的です。その際には契約内容に注意しなければいけません。本記事では出版社との契約で注意するべき点と安全な契約方法について解説します。

自費出版とは

自費出版とは著者自身が費用を負担し、書籍を出版することです。商業出版とは異なり少部数を印刷、出版することが多いです。たとえば、趣味の作品を形として残したいケースや授業で使う教科書を出版したいケースなどです。

また、自費出版を進めるためには、校正やデザイン、印刷、流通といった工程が発生するため、出版社のサポートを求めるケースが多いです。出版社の中には自費出版のサポートサービスを提供する会社が多くあります。

契約書の必要性

自費出版サービスを受ける出版社と契約する際には契約書を作成することが大切です。契約書を作成することで、さまざまなトラブルを避けられます。
著作権や出版権を誰が持つのか、売上の分配割合や費用などについて、細かな取り決めを契約書に盛り込んでおきます。口約束ではなく契約書という書面で残すことで契約内容を示す客観的な証拠となるでしょう。

出版社により、ウェブ上で申し込み情報を送信をする場合や、電子契約書を使用する場合があります。契約書の控えを受け取ることができるか、事前に確認すると良いでしょう。

契約書の主な内容

出版社との契約書に含める主な項目は以下の通りです。

  • 著作権と出版権
  • 売上の分配
  • 仕様
  • 費用
  • 完成書籍の所有権
  • 内容の保証

著作権は著者が持ち、出版権は出版社が持つ契約が一般的です。
売上の分配は、書籍の売上総額のうち、何割が著者に払われるかの設定です。2割程度から5割程度と幅があるため、確認しましょう。出版社により第1刷と第2刷以降で異なる設定になる場合があります。
費用はサービス内容と総額に誤りがないか確認します。
所有権は、大半の場合に依頼する著者に属しますが、稀に出版社が書籍の所有権を持つケースがあるため、注意が必要です。(依頼者に所有権があることが当たり前であるため、契約書に書いていない出版社も多いと思います。文具店でペンを買った際、あなたに所有権が移りましたとは言わないことと同様です。)
内容の保証とは、他者の権利侵害がないことを著者が宣言することです。盗作か否かを出版社は判断できないため、他者から盗作だと言われた際は、著者が責任もってくださいとの内容になります。

契約書の確認ポイント

出版社との契約書について確認しておくべき重要点を説明します。

費用の総額

出版社に自費出版のサポートをしてもらう際には、作業範囲や期間などを相談し、事前に見積りをもらいます。たとえば、何ページの書籍で何部印刷するのか、帯はつけるかつけないか、その結果、費用はいくらとなるかです。

書籍の仕様

見返しの有無や紙材など、書籍の仕様を定めておきましょう。

著作権や出版権

前述の通り、著作権や出版権、所有権などをチェックしておきましょう。相談をした際に決めた通りの内容になっていることが大切です。

本の管理について

印刷した本の管理方法について契約書で確認しましょう。出版社が倉庫で管理してくれる場合もあれば、著者が管理するケースもあります。倉庫での保管・管理は1年や2年といった期間が定められています。未来永劫という契約は現実的ではないため、(数百年先まで依頼した出版社が存在するかわかりませんから)ご自身の希望にあわせて、確認すると良いでしょう。

キャンセルした場合について

さまざまな事情から自費出版をやめるケースがあります。もしキャンセルした場合には、キャンセル料を請求されることが多いです。契約書ではキャンセルに関する細かな取り決めをしておきましょう。

キャンセル料はどのタイミングでキャンセルするかによって変わるケースが多いです。早めにキャンセルした方がキャンセル料は安くなります。キャンセル料が変動する条件について確認しましょう。

本の売り上げについて

本の売り上げに関する取り決めは重要です。売り上げ分配について明確にしましょう。本の売り上げは著者と出版社で分配するのが一般的です。売り上げの分配の方法は出版社によって異なります。

安全に契約するためのポイント

出版社と安全に契約するためのポイントを紹介します。

分からないことは質問する

契約の話をする際に、分からない点は素直に質問することが大切です。細かなことでも自分が納得できるまで説明を求めましょう。ここで大切なことは、各社異なる内容、料金でサービス提供をしています。契約の条件や内容、料金を正しく把握することが重要であり、価格交渉などとは分けて考えましょう。

第三者にも相談する

自身の判断のみで決めるのではなく、第三者にも相談してみましょう。親や友人知人などに相談してみて、意見を求めるのも一つです。ご自身にとって不利な条件が含まれていることを理解できていないまま、契約するリスクを軽減できるでしょう。また第三者の意見をもらうことで、契約内容を冷静に判断できます。

契約する際には即決するのではなく、一度持ち帰って落ち着いた状態で内容を確認しましょう。

評判を確認する

評判の良い出版社かどうかを調べておくことが大切です。評判の悪い出版社を利用するのは避けるべきです。過去にトラブルは起きていないか、詐欺まがいの営業だと非難されていないか等、情報収集をしてみましょう。実際にその出版社で自費出版をしたことのある人からの評判は参考になります。

まとめ

自費出版の契約は慎重に行いましょう。契約内容によってはトラブルに発展するケースがあるため、事前にしっかりと内容を確認することが大切です。出版社の評判についても調べておきましょう。