自費出版本を製本する際に、和綴じという選択肢があります。和綴じにはさまざまなメリットがあるため、特に歌集などにおすすめです。本記事では和綴じの特徴や注意点などを紹介します。

和綴じとは

和綴じとは日本の伝統的な製本技術のひとつで、糸によって紙を綴じる方法をとり、細かくはいくつかの種類があります。

和綴じの主な種類は以下の通りです。

  • 四つ目綴じ
  • 亀甲綴じ
  • 麻の葉綴じ
  • 康煕(こうき)綴じ

和綴じの中でも特によく用いられるものは四つ目綴じです。糸を4本通す方法であり、和綴じの基本型とされています。

和綴じに用いられる紙は和紙であり、保存性が良いです。ただし、最近の和紙はパルプなどが入っているケースがあるため、和紙であれば必ずしも良質であるとは限りません。

和綴じを選ぶメリット

自費出版本で和綴じを選ぶメリットを紹介しましょう。

古風なデザイン

和綴じにすることで古風なデザインの本を作れます。見た目の良さが和綴じのメリットといえるでしょう。特に歌集などを作る際には、雰囲気作りとして和綴じを選ぶのがおすすめです。小説やイラスト集なども和風の内容であれば、和綴じを選ぶことで雰囲気を高めることができます。最近は和綴じの本が珍しくなっているため、本をアピールする際にも効果的です。

丈夫

和綴じは耐久性に優れた製本手法です。紐をばらし再度綴じることで修復できます。長く愛用できるのが和綴じであり、いつまでも長く保有しておきたい場合におすすめです。

室町時代の和綴じの本も現代にまで残されています。本文の和紙がきれいな状態で残されていれば、他の部分は入れ替えることが可能です。そのため、かなり古い和綴じの本であっても、現在まで残されているケースがあります。

開きやすい

和綴じは紐だけで綴じているのが特徴の本であり、開きやすい点がメリットです。のりを使っておらず、繰り返し開いたとしても本の背が縮まることはありません。平たく開けることができるため、ページを簡単に開いたままにしておけます。

ここまでのメリットは、本式和綴じと呼ばれる昔ながらの手法を前提に記載しています。略式和綴じと呼ばれる製本方法は安価ですが、ホチキス芯をうつため一部メリットは発揮されない点に注意してください。

和綴じを選ぶデメリット

和綴じを選ぶとどのようなデメリットがあるのか紹介します。

背表紙がない

和綴じには背表紙がない点に注意しましょう。棚にしまったときには、本の内容がわからない点が欠点になります。背まで含めて紙でくるむ方法もありますが、取り扱いが少ない製本方法です。

虫食いに弱い

和綴じは虫食いに弱いというデメリットがあります。これは紙の性質によるものであり、和紙は虫食いの被害が起きやすいとされています。障子紙の虫食い被害も同じ理由です。

紙魚という害虫がいて、和紙を好みます。高温多湿の環境を好むため、和綴じの本を保管する場所には注意しなければいけません。一般家庭にも生息している虫であり、体長は1cm程度と小さいです。気がついたら和綴じの本がボロボロになっていたというケースがあります。

防ぐには、こまめに掃除をして、見かけたらしっかり駆除すれば虫食いの被害は避けられるでしょう。和綴じの本は天気の良い日に日焼けに注意し干すと効果的です。

和綴じで絵本や写真集は作れる?

さまざまなジャンルで和綴じの本を作れます。たとえば、絵本や写真集を和綴じの本で作ることも可能です。ただし、本文カラーや和紙へのカラー印刷に対応している出版社は少ないため、事前に確認しておきましょう。

和紙で絵本や写真集をつくると一般的な紙に印刷したときと比べて、狙い通りの仕上がりにならない場合があります。試し刷りが可能であれば、どのような見た目になるのかチェックすると良いでしょう。

和綴じの自費出版が可能な出版社は?

和綴じの自費出版に対応している主な出版社は以下の通りです。

  • トウキョウワホン
  • 櫂歌書房
  • サンプリント

トウキョウワホンは墨田区両国にある和綴じを専門的に取り扱っている会社です。自費出版の注文を受け付けており、和綴じの本を作れます。さらに和綴じの修復や綴じ直しのサービスにも対応しているのが特徴です。伝統を大事にしながらも新しさも追求しており、実験的な手法を取り入れた和綴じの本も製作しています。

櫂歌書房は自費出版に対応している出版社です。和綴じの本にも対応しています。書店などへの流通については和綴じ本も対応可能か確認する必要があります。

サンプリントは自費出版に対応してきた専門会社です。和綴じ本の自費出版にも対応できます。和綴じ本の見本を用意しているため、事前に確認可能です。数多くの和綴じ本の製作をしてきた実績があるため、質に期待できるでしょう。

まとめ

保存性に優れていて、古風なデザインが魅力の和綴じで自費出版が可能です。ただし、和綴じにはメリットだけではなくデメリットもあるため注意しましょう。本記事を参考にして和綴じに挑戦してください。