書店では売れ残った商品を出版社に返品します。返品する際には返品伝票を作成します。本記事では返品伝票の書き方や返品処理の流れなどについて紹介します。
返品伝票とは
返品伝票とは、書店で売れ残った商品を取次に返品する際に作成する伝票を指します。返品伝票は赤伝とも呼ばれ、書店で頻繁に作成される伝票です。市販の返品伝票の罫などが赤色で印刷されていることから、赤伝と呼ばれるようになりました。返品するために伝票を作成することを「赤伝を切る」と呼びます。(書店により独自の用紙を用いており、赤色ではない場合もあります。)
本を仕入れたときには黒伝で処理を行い、仕入れ実績として計上します。しかし、返品をする場合は、仕入れ実績として計上したものを取り消さなければいけません。そのため、返品の際には赤伝を作成し、仕入れ実績から取り除くという処理を行います。
返品処理の方法
書店が返品処理をする方法を紹介します。
返品伝票の書き方
書店が本を返品する際には返品伝票を書きます。基本は返品伝票の各項目を記載するのみです。
返品伝票には書籍のコードと書籍名、部数、本体価格、正味率、正味金額などを記載します。正味とは定価を基準とした卸率のことです。出版社と取次、書店間の卸価格は、定価に対するパーセンテージで表示します。たとえば、正味率が70%であれば定価の70%の卸価格であるとわかります。
返品伝票のフォーマットは各取次ごとに異なっている場合があります。また、特定の商品で特別な返品伝票を使うこともあるため注意しましょう。
返品処理の流れ
書店が本を返品する場合、伝票を記載し取次に渡します。取次に返品された本は、取次から出版社へと返品処理の手続きが行われ、最終的に出版社が返品された本を受け取るという流れです。
返品処理はいつ行われる?
それぞれの本の種類ごとに返品の期限が定められています。そのため、返品処理が実際に実施されるのは、本の種類ごとにさまざまです。
雑誌であれば、一般的には週刊誌は発売日から45日、月刊誌は発売日から60日が返品の期限とされています。期限までに返品処理を行えば、問題なく手続きが進み返品を行えるという仕組みです。
また、通常の書籍については、新刊委託は返品期日が105日、常備委託(常備寄託)は1年から2年、長期委託は4~12ヶ月とされています。
ムックやコミックについては返品期限が定められていない場合があり、いつでも返品可能となる場合があります。そのため、書店に古いコミック本が置かれているケースは珍しくありません。
書棚のスペースは有限なため、バックナンバーが溜まってしまうと新刊を置けなくなります。そのため、多くの書店は次々とバックナンバーを返品して、新刊を並べようとします。
近年における返品伝票
近年は返品処理の手続きは電子化されており、無伝返品が一般的になっています。そのため、紙の返品伝票が使われることは減りました。取次には返品処理システムが用意されており、伝票がなくてもスムーズに返品の処理が進められます。
出版業界の返品率
出版業界は返品率が約40%の状態で長年推移しています。かつては出版業界の売上が好調であり、返品率が高くても問題ありませんでした。しかし、ここ20年以上、出版業界の売上は低迷が続いており、返品率の高さが問題視されています。返品には輸送コストがかかるため、書店・取次・出版社の負担は大きいです。今後は返品率の問題を解決するための対策が求められます。
まとめ
返品伝票を作成することで書店は取次に本を返品できます。ただし、現在は実際に伝票が作成されることはなく、システム上の処理で返品の手続きが完結できます。返品率の高さが問題視されているため、今後も出版業界において返品の話題は尽きないでしょう。