書店には不稼働在庫が存在するケースがあります。それでは不稼働在庫とはどのような在庫なのでしょうか。本記事では不稼働在庫の意味やデメリット、原因などについて紹介します。

不稼働在庫とは

不稼働在庫は長期に渡って販売や出荷されず倉庫に残っている在庫のことです。不稼働在庫は不動在庫や不良在庫とも呼ばれます。

たとえば、ブームに合わせて大量に生産したけれども、旬が過ぎたために売れ残り、倉庫に眠り続けている在庫は不稼働在庫です。不稼働在庫はあらゆる業界に存在しており、保管コストが発生し続けるのが大きな問題となります。

しかし、不稼働在庫はもう絶対に売れることがないのかというと、そういうわけではなく、将来的にはまだ売れる見込みは残っています。売るために様々な対策をして何とか売ろうとしても売れなかったものについては残念ですが処分をするしかありません。

書籍に関しては、どんどん新しいタイトルが出てくることや、再販制度で定価を変えることができないといった理由でどうしても不稼働在庫が出やすい傾向にあります。

不稼働在庫によるデメリット

不稼働在庫が生じるとさまざまなデメリットがあります。

不稼働在庫の大きなデメリットは倉庫を圧迫して無駄なコストが発生する点です。不稼働在庫があると倉庫のスペースの一部を長く専有することになります。別の本を保管するスペースがなくなり、倉庫代が無駄にかかってしまいます。また、不稼働在庫が存在することで在庫管理の作業効率が悪化して生産性の低下にもつながります。

また、もう一つ大きな問題が、不稼働在庫が会社にとっては資産になることです。

会社を運営するうえで、年に1度訪れる決算。この決算の際に一年の会計の処理をするのですが、売れずに倉庫に残っている本は会社が持っている資産となります。

そのため、会社からお金は無くなっていても、形を本に変えて残っているので本の印刷に使ったお金を経費として計上することができません。そのため、不稼働在庫は定期的に処分を行う必要があるのです。

不稼働在庫が生じる原因

書籍は出版社が書店に預け販売をしてもらいます。書店はいつでもその書籍を出版社に返すことができるため、書店で売れ残った書籍が出版社に返ってきます。更には書店は全国に1万店舗ほどあり、その中の一部の書店に置いてもらうにしても多少余裕を持って在庫を確保する必要があります。

前述の通り、新しい本がどんどん出てくる環境ですし、再販制度によって定価も変えることができませんので、上手くプロモーションをしないと不稼働在庫は発生してしまいます。

再販制度

再販制度とは出版社が書籍の定価を決めて、小売店で定価販売する制度です。再販制度があるため、日本の書店は新刊を自由に値引きしてセール販売することができません。新刊はあくまでも定価のままで販売しなければなりません。
詳しくは、再販制度とは?再販制度のメリット・デメリット

まとめ

不稼働在庫とは、長い期間で売れずに残っている在庫のことです。

書店で本が売れなければ出版社に返品され、不稼働在庫が発生します。不稼働在庫が存在すると倉庫を圧迫し無駄なコストがかかりますし、決算の際に会社の会計を圧迫してしまいます。

出版業界全体に大きな影響を与えている不稼働在庫の問題について注目しましょう。