出版業界用語である「事故伝」を取り上げます。
事故伝の意味、発生原因、対応方法について紹介します。

事故伝とは

事故伝とは、事故伝票の略称で、書店が書籍を注文するも出版社から書籍が納入されず、帰ってきた伝票を言います。

書店は書籍の追加仕入れをする際に、スリップと呼ばれる本に挟んである短冊状の紙(片面が売上カード、もう片面が補充注文カード)を取次店経由で送ります。

通常であれば指定した書籍が書店へ納入されますが、在庫がない等の理由で納入できない場合、このスリップに理由を記載し書店へ逆送されます。
この書店に戻されたスリップ(伝票)が事故伝(事故伝票)です。

事故伝の原因は?

出版社や取次に本の補充注文をしても事故伝が返ってくるのは、いくつか原因が考えられます。主な原因を以下にまとめました。

  • 品物が無い
  • 伝票の記入漏れ
  • 絶版
  • 判読不能

事故伝が返ってくるケースで多いのは先にも触れた品切れ(在庫切れ)です。注文した書籍が出版社や取次になければ注文に対応できないため、事故伝が返ってきます。

次いでスリップの記入漏れや文字が判別できないケースです。手書きでスリップに記入したけれども、必要な情報が漏れていれば注文に対応できないため事故伝として戻ってきます。

絶版本は、追加で刷られることがなく、在庫がなくなり次第、販売が終了する書籍です。当然、在庫がなければ注文にも対応できません。絶版に関する詳細は、絶版とは?の記事をご覧ください。

事故伝の対応方法

事故伝が届いた場合は、原因を確認しましょう。出版社や取次に品が無い場合は、対処のしようがありません。出版社が増刷するのを待つか、出版社への返品待ちになるでしょう。

書店に納入された書籍は、一定期間内に売れなければ出版社へ返本されます。そのため、現時点で在庫がなくても、将来的に返本され仕入れ可能となることも少なくありません。

事故伝の理由として記入漏れや判読不能になったケースであれば、改めて発注しましょう。

出版社や取次に在庫がない絶版本については、補充注文が困難です。

取次不在庫と品切れの違い

取次不在庫と品切れは別の意味です。取次不在庫とは、取次に在庫がないことを指します。しかし、一般的には本の在庫は取次と出版社の両方でストックしているものです。そのため、取次に在庫がなくても、出版社にストックがある場合は少なくありません。

通常、読者が書店に本を注文すると、書店は取次と出版社へ確認をいれます。取次と出版社のいずれからも注文できない場合は、品切れであると理解しましょう。

まとめ

本の補充注文ができない場合に、書店へ送付される伝票が事故伝です。事故伝の原因を確認した上で対処を考えることが大切です。事故伝の意味や原因について理解しておきましょう。