購入した本に「売上カード」が挟まれていたことはありますか?
この売上カードとは、どのような役割でしょうか。本記事では売上カードの役割や記載内容などについて説明します。

売上カードとは

売上カードとは、二つ折りの短冊状で、片面に売上カード、もう一方の面に補充注文カードと書かれた長さ13cm程度の用紙です。いずれも書店が本の管理を行うために利用します。

この両面を総称して「スリップ」と言い、スリップに関する詳細は、本のスリップ(短冊)とは?で説明しています。

売上カードの役割

売上カードには、書店にとっての役割と出版社にとっての役割の2種類があります。売上カードの各役割について説明します。

書店にとっての役割

もともと書店では売上カードを用いて書籍の売上を管理していました。一昔前までは本を購入する際、書店員が売上カードを抜き取っていました。見たことのある方も多いはずです。現在では本の売上をPOSレジやシステムによって管理しています。そのため、売上カードの役割はほぼなく、一部のPOSレジ未導入点などで使用される程度です。

出版社にとっての役割

出版社にとって売上カードは、総額と税率を表示する役割があります。消費税率が変動した場合にカバーや帯を変更するのはコストがかかります。そこで売上カードに総額や税率表示をすることで、消費税率の変動の際のコストを抑えることができます。

売上カードの記載内容

売上カードには主に本体価格や著者名といった情報が記載されています。

補充注文カード面は、日本図書コード管理センターの規定した印刷事項を守らなければいけません。補充注文カード面には書籍用のバーコードと文字のISBN、Cコード、定価の総額表示と税率や本体価格、発行所、著者名などが印刷されています。

売上カード面にも文字のISBNやCコード、定価の総額表示と税率、本体価格、発行所、著者名といった内容が記載されているケースが多いです。

色による違い

通常の売上カードは、白用紙に印刷している場合が多いです。
一部の出版社では売上カードの色に意味を持たせている場合があるそうです。
たとえば、ある出版社では赤色であれば責任販売制で返品不可、青色は委託販売制で返品可能、緑色は常時返品可能という意味が与えられていました。
あくまで個々の出版社が独自に定めた意味であり、業界指定のルールではありません。

売上カードの抜き忘れ

書店はPOSシステムによって売上や在庫を管理することが主流になりました。そのため、売上カードを抜き取る理由がなく、売上カードを付けたまま販売することが増えています。読者は購入書籍に売上カードが残っている場合、捨てても問題ありません。

近年の売上カードについて

POSシステムが普及したことにより、売上カードは不要になりつつあります。

版元から直接販売される書籍には売上カードが不要ですし、オンライン書店で販売される本でも売上カードは不要です。EC比率が高まっていることもPOSレジ同様に売上カード不要を推し進めています。

売上カードを用意するのにコストがかかるため、近年は売上カードそのものを作成しない出版社が増えています。

まとめ

売上カードは本の売上を管理するために重要な役割を果たしてきました。しかし、現在ではPOSレジ(システム)がバーコードを読み込み、売上や在庫個数を管理しているため、売上カードの役割は失われつつあります。将来的には、売上カードがなくなる可能性が高いでしょう。