同じ本でも初版本には人気があります。それでは初版とはどのような本を指すのでしょうか。本記事では初版とは何か、第1刷りとは何が違うのかを紹介します。

初版とは

初版とは出版された書物の中で一番最初の版を使って印刷をされたものを指します。最初に印刷をされた1冊ではなく、一度に印刷をした書籍すべてが初版と呼ばれます。一番最初の版で印刷をされた書籍なので、初版は第1版と表現されることもあります。

版とは本の原版を指します。同じ版を用いて印刷された本は、内容が同じになります。版は内容に変更があれば別物になるため、内容が変更される度に版の数字が更新されていきます。つまり、初版とは内容の変更が行われる前の書物ということができます。

版と刷の違い

版と混同されることが多いのが刷です。版と刷の違いについてみていきます。

版とは

版とは書物を印刷する元になるものを指します。そのため、版は原版とも呼ばれ、原版にインクをのせて書籍の印刷を行います。同じ版の本は、基本的にはまったく同じ内容となり、版が変われば内容も変わります。

そのため、第1版(初版)と第2版の内容は変わってきます。

刷とは

刷とは、同じ版を用いて印刷された回数を指します。たとえば、初版で最初に印刷されたものは初版初刷です。初版が同じ版を使って増刷された場合は、初版第2刷と呼びます。刷の数字が異なれば印刷された時期が異なると考えましょう。

初版にプレミアが付く理由

初版本にはプレミア価値が付くことがあり、高値で取引されているケースもあります。なぜ初版にプレミアが付くのでしょうか。

印刷数が少ないため

初版は印刷数が少なく設定される傾向があります。売れるかどうかの見込みがつかないケースなどは初版の印刷数を少なくして様子を見るためです。このように数が少ないため、プレミア価値がつくことに繋がります。

初版の印刷数は本の種類や著者、内容、出版社などにより異なってはきますが、目安としては、新書の場合の初版の印刷数が5,000部程度とされています。

修正がされていないため

初版本には加筆がされておらず、内容に一切修正が入っていません。帯なども初版用のものであり、修正は含まれていないです。初版本は、その本の一番最初の状態が保たれているため、オリジナルの文章を楽しめます。

特に何度も版を重ねた本の中には、初版本と内容に大きな変化が生じているケースもあります。そのため、初版本の内容が本来の作者の書きたかったものであると考える人もいます。

初版特有の付加価値がつく場合がある

初版本ならではの付加価値が付いてプレミアが価格になる場合があります。

初版本ならではの付加価値とはなんでしょうか。たとえば、出版記念で初版本にだけ作者がサインをしているケースなどがそれにあたります。初版ならではの特典や要素があることで、初版本の付加価値が高まりプレミアが付きます。

初版本でもプレミアがつかない場合もある

必ずしも初版本にプレミアが付くわけではありません。初版本にプレミアが付かない場合の理由を紹介します。

本の質が悪い

初版本は内容だけではなく、本の質も評価基準とされます。たとえば、管理状態が悪いため、初版本がボロボロになっている場合です。本の状態が悪いと、初版本でもプレミアが付かない可能性があります。

初版が大量に刷られている

人気作家の新作や人気漫画の続編などは多くの売上を見込めるため、初版本が大量に刷られています。初版が大量に刷られていると、初版本を持つ人の数は増え、当然初版本のプレミア価値がなくなります。

初版本の見分け方

書籍の巻末にある奥付と呼ばれる発行情報を確認して、初版第1刷と記載されていれば、初版本であると判断できます。

重版と増刷とは

第2版と第2刷で意味が変わるように、重版と増刷でも意味が異なります。以下では重版と増刷の意味の違いについて紹介します。

重版とは

重版とは版を新しくして印刷をしたことを指します。そのため、表現の誤りの修正や表記の変更、追記などが行われている可能性が高くなります。

増刷とは

増刷とは前回と同じ版を使用して印刷をすることです、そのため内容に変更はありません。同じ内容で何度も印刷をすれば、その回数分だけ版の数字も大きくなります。

まとめ

初版本は内容に修正が加えられていないオリジナルの版で印刷された本を指します。初版本は印刷数が少なくプレミア価値が付きやすくなります。初版本を持っている方は大切に保管しておきましょう。