本に挟み込まれたスリップ(短冊)が今回のテーマです。
スリップ(短冊)は邪魔だと感じる方もいれば、しおり代わりに使用する方もいるでしょう。この必要なのか議論されているスリップ(短冊)の意味や目的、必要性を説明します。
スリップ(短冊)とは
スリップとは、本を購入した際、挟み込まれている短冊状の伝票を言います。
サイズに定めはありませんが、多くの場合で45mm×260mmで印刷・制作されています。別称は短冊や売上カード、注文カードです。
スリップの目的
スリップ(短冊)は売上の集計や店舗側が再注文する際に利用されます。
二つ折りされたスリップ(短冊)のうち片面が売上カードです。売上カードは書店から取次店を経由して回収され、出版社が売上を集計するために利用します。
スリップ(短冊)のもう一方が注文カードです。注文カードは書店が売れた本を補充する際に(注文する際に)利用します。
購入した本にスリップが残っていた。いいの?
なぜ用途のあるスリップ(短冊)が付いたままになっているのでしょうか。
答えは、書店が抜き忘れたか、抜き取る必要がないためです。仮に抜き忘れであっても、書店に届ける必要はありません。そのまま捨てて構いません。
本の売上や在庫を、POSや専用システムで管理する書店が非常に増えました。チェーンであれば、ほぼ100%ではないでしょうか。
本の売上や補充注文などはシステムで管理、対応されるため、スリップ(短冊)を使うことはありません。そのためスリップ(短冊)を回収する必要がなく、スリップ(短冊)を入れたまま、お客様にお渡しするケースが増えています。
スリップを集めると報奨金がもらえる?
スリップ 報奨金と呼ばれる制度があります。これは書店が売れた冊数分のスリップを出版社に送り、出版社は書店に報奨金を支払う仕組みです。
出版社が実施する販売促進活動の一種で、書店にとっては積極的に売ろうと考えるインセンティブです。
出版社は自由にスリップ報奨金を設定することができますが、昨今はスリップ報奨金を扱う社は非常に少なくなりました。
書店は1年に1回程度、売上スリップを出版社にまとめて送付し、送付したスリップの数に応じたお金を受け取ります。
売上スリップ1枚につき数円~10円程度の報奨金が設定されていることが多いです。
近年におけるスリップの必要性
システムで書籍の売上や補充注文などを管理できる現在、スリップ(短冊)の必要性は薄れています。実際にスリップ(短冊)を回収せずに書籍を販売しているケースが大半ではないでしょうか。
スリップ(短冊)を廃止する出版社も出てきており、スリップを挟まずに出荷される本も増えています。スリップ(短冊)を印刷するにもコストがかかり、無駄であるためです。
スリップは自作しても良い?
スリップ(短冊)は自作することも可能です。ただし、書店に流通する書籍に挟む場合には、出版社と相談の上、必要な項目を抑えたスリップにします。
手売りの書籍にジョークとして挟むのであれば、商用書籍らしさを演出することができ、面白いかもしれません。ただし、実在する社名やISBNを使用し他者に迷惑がかかることは避ける必要があるでしょう。
まとめ
スリップ(短冊)は売上の集計や書籍の補充注文で書店が活用していました。そのため、かつては本を販売する際にスリップ(短冊)を回収していましたが、最近はスリップ(短冊)が不要になり、回収せず本に挟んだまま販売するケースが増えています。スリップ(短冊)の廃止は今後も進んでいくことでしょう。
