「日本の自費出版事情はある程度理解しているけど、アメリカはどのような感じなのだろうか?」

こんな疑問を頭に思い浮かべた人もいることでしょう。

今回はアメリカの自費出版事情に関して解説していきます。

市場規模に関することや、アメリカと日本の認識の差などを詳しく深堀していきます。

アメリカにも自費出版サービスはあるのか?

日本と同様にアメリカにも自費出版サービスは存在します。

では、どの程度の市場規模があるのでしょうか。

また、日本と比べた時の自費出版の認識の差であったり、紙や電子書籍それぞれの状況に関して次の章から解説していきます。

アメリカの自費出版市場はどの程度の規模か?

アメリカの自費出版市場の正確な統計はありません。

しかし、年間で約30万タイトルもの書籍が発刊されていると言われています。電子書籍に関していえば、自費出版や自己出版の市場シェアが大手出版社シェアよりも大きいとされています。

自己出版(self-publishing)は独立の気構えがあるポジティブな言葉として「インディー出版」(indie-publishing)と言われることもあります。これは音楽業界が大手レコード会社に頼ることなく、独立した立場から曲をリリースして新たなムーブメントを起こす流れのインディーズと同じものと考えられています。

デジタル技術とインターネットの急速な拡大において、書籍の出版自体、個人が簡単に行える環境が整ってきました。大手出版社と取次に実権があった出版事業が今後どのような流れで個人に恩恵をもたらしていくかについては、アメリカだけでなく日本においても見ものであると言えるでしょう。

次にアメリカの自費出版(紙)について深堀していきます。

アメリカの自費出版(紙)は活況

表題通り、アメリカにおいて自費出版(紙)は活況となっています。

それはPODの恩恵が大きいと言えるでしょう。

PODとはプリントオンデマンド(print on demand)の略称で、必要な際に必要部数を印刷することを指します。一般的にはオンデマンド印刷と呼ばれることが多いです。従来の印刷では、印刷するための版を作って印刷機にかけます。すると小ロットの場合一冊当たりの単価が高くなってしまうという事態が起きてしまいます。

しかし、PODは従来型の印刷とは異なりデジタル処理で印刷をします。無駄な工程を省き、必要部数だけを印刷することが可能なので、小ロットでも安い金額で印刷が可能なのです、

こうした技術を背景に、アメリカでは様々なジャンルの書籍が紙で自費出版されています。日本と比較すると多種多様なプレイヤーが存在しているといってもいいでしょう。

例えば、ア―ティストが自分の作品集を紙で自費出版する例は日本と比べて多いと言えます。

PODのおかげで必要部数の制作を安価に行うことが可能なので、こうしたアート関連の書籍も豊富に存在しているのがアメリカの現状です。

次にアメリカの自費出版(電子書籍)に関して深堀していきます。

アメリカの自費出版(電子書籍)も活況

紙は活況であるとご紹介しましたが、電子書籍に関しても同様のことが言えます。

事実として、電子書籍市場の成長に関していえば、ピークに比べれば落ち着いた印象があります。しかし、自己出版点数は引き続き高い水準をキープしています。

特に最近の傾向として、オーディオブックの伸びが感じられます。

オーディオブックとは、主に書籍を朗読したものを録音した音声コンテンツを指します。

声優やナレーターが書籍を朗読した、いわば「聴く本」とも言えるでしょう。

インターネットの拡大と皆のリテラシーが向上したことにより、このオーディオブックは急速に拡大・定着していったと考えられています。

もっと細かく言えば、モバイルテクノロジーの急速な進化が購買と聴取の助けとなったと言われています。

また、ライフスタイルの変化が起こり、それに適していたのがオーディオブックだったという風に考えることもできます。

これまでの出版物とは異なるフォーマットとしてこれからも注目に値するものと言えます。

次にアメリカと日本での自費出版に対する認識の差であったり、そのもののイメージについて解説していきます。

アメリカと日本で自費出版のイメージが異なる?

基本的にアメリカでは日本のようなネガティブなイメージはないです。

これは元々、専門性に特化した書籍の流通市場が形成されていることに起因していると考えることができます。

印税に関していえば、伝統的な出版社で書籍を発刊すれば著者印税は5~10%と言われていますが、自己出版の場合はマックスで70%ほどを取れます。その上、書籍自体は低価格なので、消費者にとっても非常に喜ばしいと言えます。

まとめ

これまで、アメリカの自費出版事情に関して解説していきました。

日本に住む私たちとは認識に差があったり、状況が異なっているのは間違いないと言えます。しかし、今後「個」の時代が到来し、自費出版・自己出版の新たな流れが日本にも訪れることでしょう。その際に、今回のアメリカの状況について少しでも頭に入れておくと役に立つことと思います。

以上、「アメリカの自費出版事情」でした。