「自費出版におけるトラブル事例があれば事前に知っておきたい。」

「いま契約前の段階で、契約する際に気を付けておくことは何かあるだろうか?」

自費出版を検討している人の中には、こういったトラブルについて事前に知っておきたいと考える人も多いのではないでしょうか。

今回は自費出版におけるトラブル事例とその予防策について深堀していきます。

本記事を読めば、トラブルを未然に防ぐことに役立つかと思います。

よくあるトラブル事例

この記事では、よくあるトラブル事例に関して5パターン紹介します。

A社の場合

わたなべさん(仮名)はA社から本の編集を中途半端な状態で仕上げられ、書店流通に乗る形で自費出版しました。

「全国にある書店へ配本される」という話を聞いていたのに、実際に置かれたのは全国の書店の中で、大体100店探して1店の割合だったと言います。

書籍は棚の隅に追いやられているので売り上げも伸びず、1,2か月置かれた後には書店から皆消えてしまいました。

B社の場合

少しでも置いてもらえる書店を増やすために、たなかさん(仮名)は自身で営業をしようと決意します。しかし、B社に止められてしまいました。たなかさんの書籍が書店に置かれていないことを悟られないようにするためのストップだったのです。

また、さとうさん(仮名)の場合は「書店に自ら連絡して探さないでください。あなたの印象が悪くなりますよ。」と言われたそうです。B社の言い分は、「自費出版の著者が自分で営業することは非常識である」と言い張ったそうです。

C社の場合

自著を自費出版して3年過ぎたころに、C社からやまぐちさん(仮名)の自宅に9万円の「倉庫使用料の請求書」が届いたそうです。契約書には月々の倉庫使用料が記載されていたと言います。在庫数に対応して、倉庫使用料というのも高額になることもあり、痛い出費だったそうです。

D社の場合

ないとうさん(仮名)は販売委託期間終了後に、「これからは自身で書籍を販売したいので、在庫分を返品してほしい。」とD社に言いました。

しかし、D社は「在庫分も弊社の財産です。著者への返品分は割引価格にて販売します。」と言われたそうです。

E社の場合

E社である本を出版した、はかまださん(仮名)。

「今出版している本を諦め、次はもっと安い出版社のところで改訂版を出そう。」とはかまださんは考えました。

E社に確認するため連絡したところ、版権はE社側にあり、他社からは出せないという契約になっていたそうです。

出版権は著者のものと考えていたはかまださんは、その作品の改訂版を出すことをあきらめたと言います。

予防策

この章では、予防策に関して解説していきます。

A社の事例の予防策

このA社のパターンは、書店に書籍がほとんど置かれないというトラブル事例でした。

一般的に自費出版会社は、書店に配本される冊数の過去データを持っています。出版社側から適切な印刷部数や流通方法の助言を得るべきだったと言えるでしょう。

実際のところ、実績のない作家作品が良い棚に平積みされることは稀です。残念ながら、本を刷り、流通させたら売れる時代ではないことを前提に、販売計画を作る必要があったでしょう。

B社の事例の予防策

B社のパターンは、部数を伸ばすために自らで営業活動をしようとしたのですが、それ自体を止められるという事例でした。

自費出版は著者自身がお金を出した本ですから、営業をしたいと思うことは当然でしょう。

書店側が興味関心を抱けば、あなたの書籍を良い棚や場所においてくれる可能性もあるので、営業活動を行うメリットがある場合もあります。

営業をする際のマナーと、注文を出してくださる場合の対応、即時配本ができる十分な在庫があるかを確認しながら進めることが良いでしょう。

C社の事例の予防策

C社のパターンは見積もり金額外の知らない請求が来るというトラブルでした。

基本的には、倉庫使用料というのは見積もり金額に含まれていることがほとんどです。見積もり外の費用がかかるという出版社は少ないですが、ゼロではありません。

これは、やまぐちさんにもミスがある事例だと考えられます。

契約書等に記載のあった費用ですから、保管を終了するなり、事前に支払いの準備をする必要があったでしょう。

契約を結ぶときは最善の注意を払わなければなりません。契約書を一字一句まで読み込み、疑問がある際は必ず出版社側に聞くとよいでしょう。

D社の事例の予防策

D社のパターンは販売委託期間が終了した後に、在庫を返品してもらえないという事例でした。

本来は、販売委託期間が終わった時点で、在庫の返品が行われます。

契約の段階で、自費出版書籍の所有権が誰にあるのかを確認することが大切です。

E社の事例の予防策

E社のパターンは、版権がE社側にあるということをはかまださんが認識していなかった事例でした。

このケースでは著者であるはかまださんの確認ミスと言えるでしょう。契約前の段階で、書籍を作った後の版権(出版権など)が著者と出版社のどちら側にあるのかを確認する必要があります。

ですので、版権についてしっかり把握しておくことは著者にとって非常に重要なことと言えます。

まとめ

これまで自費出版におけるトラブル事例や予防策に関してご紹介してきました。

自分の作品が世に出せるということで、気分が高揚してしまうこともあるでしょう。

しかし、契約前、契約時、契約後のそれぞれの段階で抜け目がないように確認作業を行うことは非常に重要なことであると思います。

受動的に進めていくのではなく、ある種能動的に、チェック機能を働かせて進めていく必要があるでしょう。

以上、「自費出版のトラブル事例・予防策」でした。