自費出版を出版社に依頼する際には編集作業を任せることができます。それでは、具体的に編集作業とは、どういった作業を含むのでしょうか。本記事では自費出版会社の行う編集の内容や費用などについて解説します。
自費出版における編集作業とは
自費出版における編集作業とは、広義には企画の調整、原稿の整理、スケジュール管理、校閲・校正、レイアウト・デザインの決定など幅広い内容が含まれます。
狭義には、原稿をより良くする構成の練り直しや文章の改善を指します。
編集作業の範囲は出版社により異なるため、依頼前に確認を取りましょう。
いずれにせよ、編集作業はより良い本を作り上げる上で大切な作業です。著者または出版社により適切に進行することが重要です。
自費出版と商業出版において編集の指す範囲に違いはありません。ただし、自費出版の場合には、著者の意見や希望に寄り添った編集が原則であることと、編集にかかる費用が著者負担となるため、あくまで著者の希望に応じて提供される点が異なります。
主な編集内容
編集作業の主な内容を紹介します。
企画や原稿の整理
編集作業には企画や原稿の整理が含まれます。企画テーマをより絞り込み、専門性を高めるような変更を加える場合や、企画に沿った構成を作成し、読みやすい流れを考える作業などが該当します。
原稿の整理は、著者から原稿を預かり内容を確認し、より膨らませるべきかや削るべきか、日本語として正しいか、読みやすくする工夫を加える作業です。著者と相談をしながら原稿内容に加筆修正を加える場合もあれば、再確認を著者に依頼する場合もあります。
スケジュール管理
本を出版するまでのスケジュールを決める工程です。出版予定日を先に決める場合、それに合わせて全体のスケジュールを作成します。多くはスケジュール管理を出版社(編集者)が担当するため、期日に間に合うように各工程を進めてくれるでしょう。
校閲・校正
原稿の正確性、誤記がないか確認して修正していくのが校閲・校正のプロセスです。著者に確認を求めて必要であれば加筆・修正をしていきます。校閲作業は程度により作業が大きく増減します。校正はベースとなる回数が事前に決まっていることが多いです。所定の回数を超える場合には追加で費用がかかるケースがあるため注意しましょう。
レイアウトやデザインの決定
デザイナーと協議しながら本文のレイアウトや表紙のデザインを制作していきます。本文に使う用紙や帯などの選定も同時に行っていくのが特徴です。自費出版であれば、著者の希望を事前にヒアリングし、その上でデザイナーとの調整に入ります。
著者ご自身で用意した挿絵やイラストを入れてもらうこともできます。
自費出版と商業出版で編集内容は異なる?
編集内容は大きく異なります。商業出版は売れることが目的です。そのため、著者が何を書きたいかではなく、読者が求めている内容に仕上げる必要があります。何より、自費出版と異なり、商業出版では編集者の意見が強く反映される点が差分でしょう。
一方、自費出版の場合は、あくまでも著者の希望に沿うことが前提です。出版社によっては、編集のサポートがついていないサービスもあるため注意しましょう。
自費出版の編集費用
出版社それぞれ費用は異なります。原稿の編集作業、校正作業は程度により料金が上下します。限定的な作業の場合で数万円~20万円程度、専任をつけて本格的に原稿の編集をし、校正の専門スタッフを入れて3~4回の校正を行うと、80万円~200万円程度の料金になるでしょう。
校閲は、引き受けていない出版社が多いかと思います。作業内容以上に原稿のジャンルによるところで、医療や法務に関するものや、学術的な内容では非常に高額になるでしょう。(引き受ける会社がほぼないですが、ある程度正解が明確な領域で10万文字原稿で70万円~くらいでしょうか。)
編集は自分でしても大丈夫?
編集はご自身で行うことも問題ありません。ご自身で編集をするメリットとデメリットを紹介します。
自分で編集をするメリット
編集作業をご自身で行うメリットは費用を抑えられる点です。自費出版を出版社に依頼する場合、編集のサポートを省くことができ、その分だけ料金が安くなります。
ご自身の希望を完全に満たすことができる点もメリットです。
自分で編集をするデメリット
デメリットは品質が低くなりやすい点です。プロの編集者が編集を担当すると品質を高めやすいです。編集作業は専門的な知識や技術が要求されるため、難しい作業である点に注意しましょう。また、小説などニュアンスを大切にしたい作品では、希望した通りの仕上がりにならない可能性があります。
自費出版会社の編集者になるには
やや脱線しますが、自費出版会社の編集者になる方法のお話です。
求人に応募して就職するのが一般的で、出版社や編集プロダクションから求人が出されています。基本的に学部や学科は不問であり、4年制の大学を卒業していれば求人への応募が可能です。文系学部の出身者が多いですが、理系学部からでも就職はできます。
編集者になるために特別な資格は不要です。ただし、本が好きであることが大切であり、これまでにたくさんの本を読んできた経験が求められます。
また、大手出版社の中途採用は、編集経験者のみが応募できるケースがほとんどです。未経験から編集者になりたいならば、中小の出版社や編集プロダクションの求人を検討するか、新卒採用で出版社に応募するのがオードソックスな方法といえます。
まとめ
自費出版本の品質を高めるために編集作業は重要です。ただし、編集を依頼すると費用が高くなる点に注意しましょう。ご自身で編集をすることもできますが、品質が落ちる可能性があります。編集はどこまで品質を高めたいか、どれだけ費用をかけるかの天秤といえるでしょう。