自費出版本を図書館に置いて欲しいと考える人がいるかもしれません。自分の本が図書館に置かれれば、多くの人に読んでもらえる可能性があります。本記事では自費出版本を図書館に置くための方法について紹介しましょう。

自費出版本を図書館に置くことはできる?

図書館に自費出版本を置くことは可能です。図書館に寄贈して受理されれば、実際に図書館の本棚に自分の本が並ぶようになります。ただし、寄贈した本が貸出されるか蔵書されるかは審査を受けた結果によるため注意しましょう。

図書館には毎日数多くの本が寄贈されています。しかし、図書館のスペースには限りがあるため、すべての本を蔵書にするわけにはいきません。そのため、審査を行った上で寄贈された本の扱いを決めます。

一部図書館では自費出版書籍を受付していない場合があります。または自費出版書籍であっても、図書館の所在地と縁あるテーマの場合にのみ受け付けている場合があります。事前に確認をとると良いでしょう。

図書館に寄贈するには?

図書館に本を寄贈したいならば、図書館に問合せをしてみましょう。寄贈の場合は購入と違ってお金がかからないため、受け入れ先の図書館の判断で寄贈を受理するかどうか決められます。図書館が認めてくれれば、寄贈することができ、実際に貸出される可能性も出てくるのです。

寄贈に関するルールはそれぞれの図書館ごとに独自に定めています。事前にホームページをチェックするか、細かなルールについて問い合わせてください。特定の思想や学説、信条などを支持して公平性や平等性を欠くようなものは断られる場合があります。社会通念上特に問題のない一般的な内容の本であれば、寄贈できる可能性が高いでしょう。

寄贈申込書などの書類が用意されていることが多いです。書類を記入して、直接図書館に自費出版本を持ち込みましょう。

※図書館の指定カウンターへの持ち込みのみ受け付けている場合や、郵送での扱いのみの場合など、図書館により違いがあります。

寄贈する際の注意点

すべての図書館が本の寄贈を受け付けているわけではありません。寄贈を受付するかどうかは、それぞれの図書館の判断に任せられています。たとえば、スペースの問題で寄贈を受ける余裕がない図書館もあるのです。寄贈したい図書館があるならば、事前に確認しておきましょう。

自費出版本を全国の図書館に広めるには

特定の図書館だけではなく全国の図書館に自費出版本を置いて欲しいならば、図書館流通センターに販売しましょう。

図書館流通センターとは全国の図書館の窓口のような機関です。図書館流通センターは本の在庫を抱えていて、全国の図書館に本を納品しています。図書館流通センターに相談すれば、自費出版本の購入を認めてくれる可能性があるのです。図書館流通センターが購入すれば、全国各地の図書館に納品されます。

ただし、図書館流通センターが本を購入する際のお金は税金です。公共のお金を扱う立場のため、図書館流通センターは本の購入を慎重に検討します。審査を受けることになるため注意しましょう。

※実態として非常に難しいルートです。個人で連絡せず出版社に相談するようにしましょう。

自費出版本は国会図書館に納本すべき?

自費出版本を国会図書館に納本するべきかどうか解説します。

国会図書館とは

国会図書館とは日本に存在する唯一の国立図書館です。国会図書館は国内で出版されたすべての出版物を収集・保存することを目的としています。そのために、国会図書館は国内の官公庁や団体、個人に対して出版物の納本を義務づけているのです。図書だけではなく小冊子や雑誌、楽譜、地図、電子出版物などあらゆるものが対象になっています。

原則として頒布を目的として相当部数が作成された出版物は国会図書館に納本しなければいけません。自費出版物については、100部程度が基準とされています。また、100部以上刊行されている場合は、納入出版物代償金支払いの対象となり、国会図書館へ納本すると当該出版物の出版や納入にかかる費用に相当する金額を受け取れます。

※代償金はおおよそ書籍の定価の半額です。

一冊からでも納本できる

国会図書館への納入義務があるのは1部のみです。2部目を寄贈した場合は、1部が東京本館、2部目が関西館で所蔵されます。

国会図書館への納入方法は日本出版取次協会等の一括代行機関を経由する方法と直接国会図書館へ持参する方法の2種類です。郵送や宅配便で国会図書館に送付することもできます。

通常は出版社が対応します。著者は印刷製本したうちの一部(一冊または二冊)を出版社へ納本用として渡しましょう。

納入出版物代償金が貰える場合も

100部以上刊行した本の場合は、納入出版物代償金を貰えるケースがあります。受け取れる金額は小売価格の5割と郵送にかかる最低料金に相当する金額です。基本的に納入出版物代償金の支払いは1冊分のみであり、2部納品したとしても増えません。

また高額な書籍は代償金が支払われない可能性があります。過去に非常に高額な代償金が支払われ問題になった例があります。数万円の定価設定の場合、該当する可能性があります。

出版社により対応に差がありますが、自費出版書籍の場合、国会図書館への送付用書面の作成、梱包、発送事務経費と相殺する扱いで代償金支払いは無い場合が多いです。

同人誌も図書館に置くことはできる?

図書館に同人誌を置いてもらうことはできません。同人誌とは自分で原稿を作成して、デザインや装丁、校正、製本・印刷を行った本のことです。そのため、基本的に自費出版本と同人誌にほとんど違いはありません。同人誌を図書館に購入してもらうことは難しく、寄贈であれば審査に通れば受け取ってもらえる可能性はあります。ただし、内容に公共性があり、不特定多数の人に閲覧してもらう価値があることが重要です。アニメや漫画の二次創作の同人誌などは図書館に置いてもらえないでしょう。

一方、国会図書館は同人誌も含めてすべての出版物の所蔵を目的として活動しています。そのため、どのような内容の同人誌であっても、国会図書館に置ける可能性があるのです。100部以上刊行して実際に売れた実績があるならば、同人誌にも納本義務が生じるため、国会図書館が受け取ってくれます。

自費出版本を図書館向けに作ることもできる

図書館に自費出版本を寄贈する際に重要な点が「ISBN」と「日本図書コード」です。ISBNは書籍の識別番号であり、コードによって国や出版社、書名がわかります。日本図書コードはISBNに日本独自の図書分類記号や価格コードを加えたものです。「ISBN」と「日本図書コード」をバーコード化したものが「書籍JANコード」となっています。

図書館に寄贈するだけならば、「書籍JANコード」は必須ではありません。しかし、図書館への寄贈が受理される可能性を高めたいならば、「書籍JANコード」をつけると良いでしょう。業者に依頼して自費出版本を作成した場合は、ISBNや日本図書コードをつけてくれる企業もあります。

まとめ

自費出版した本は図書館に寄贈すれば、貸出・所蔵してもらえる可能性があります。また、ある程度の部数を発行した場合は、国会図書館への納本が義務になるため注意しましょう。これから自費出版本を作り図書館に置いてもらいたいならば、ISBN・日本図書コードをつけてくれる業者に依頼することをおすすめします。