自費出版を検討中の方は、どのようなスケジュールで本が出版されるのか気になる方も多いでしょう。本記事では、自費出版で納本、発売されるまでの流れやスケジュールを詳しく紹介します。
自費出版の制作着手から発売までの期間は?
出版社の自費出版サービスを利用し、製作開始から著者へ納本されるまでの期間は、依頼する本の内容や出版社、依頼時期により異なります。
早い場合で1ヶ月半程度、遅い場合で1年程度、平均は半年程度です。
これは、原稿の入稿、編集、修正、レイアウト、デザイン、印刷製本まで含めた期間です。
出版するまでには多くのプロセスを経る必要があります。特に期間へ影響を与える点は修正です。初稿に誤字脱字が多い場合や組版後データの著者確認に時間がかかる場合などは完成までの期間が伸びる傾向です。
自費出版の一般的なスケジュール
出版社の自費出版サービスを利用し、出版する場合のスケジュールを紹介します。
打ち合わせ・契約(数日~1週間)
まずは打ち合わせを行います。打ち合わせではどのような本を作りたいのか、どういった本の造作にしたいか、その他どのサポートを受けたいのか希望を伝えましょう。打ち合わせで詳細について話し合いを行い、出版社から見積もり等をもらいます。条件に納得できたならば契約をします。
実績の多い出版社では、標準的なプランがあったり、資料があったりしますから、事前に確認しておくとスムーズでしょう。
原稿の入稿(数日)
契約後は、まず原稿を提出します。原稿の入稿時、フォーマットに指定がある場合は指示にしたがいましょう。
執筆の代行から依頼する場合は企画の相談に進みます。文章力に自信がない場合は、プロのライターに取材をしてもらい代筆を依頼できます。
編集・レイアウト(1か月~2か月)
原稿の入稿をした後は、編集者が原稿の確認作業を進めます。依頼内容により編集の範囲や程度は異なります。情報の正確性を確認する作業が含まれる場合には、編集と同じ工程で進めることになるでしょう。
次に本文レイアウトの作業があります。印刷用データを作成する作業で、本文ページと表紙(カバー)の2工程に分かれます。
本文、表紙ともに事前に希望を伝えておけば、希望に近い状態で仕上げてくれるでしょう。
自分で編集からレイアウトまで行うことも可能です。その場合は、印刷のみを依頼することになります。
(本文レイアウトはかなり出来上がりに差が出るため、デザインの専門家でない限り、出版社に任せることを推奨します。)
初校(2週間)
編集やレイアウトを終えれば、初稿が完成します。初稿の段階で著者自身が確認をしましょう。確認の中で誤字やミス、不満点が出てくることがあります。初稿の確認をした上で、修正箇所をまとめ、編集者に戻します。
修正(1週間~3か月)
初稿のチェック結果を受け、修正を進めます。校正を出版社や校正専門会社に依頼することもできます。この段階で十分なチェックをしないと、誤字などが残った状態で印刷・製本が行われます。印刷工程に進んだあとの修正は難しいため、しっかりとチェックして問題を解決しておきましょう。
修正の指示を出したとしても、正しく意図が伝わっていないケースがあります。修正漏れが生じる可能性があるため、最終チェックは必ず著者自身が行いましょう。
印刷・製本(3週間~1か月)
修正を終えて最終チェックが完了した後は、印刷・製本のプロセスへと進みます。印刷から製本までは、出版社がすべて担当してくれるでしょう。出版社が印刷まで担う場合もあれば、提携している印刷会社に印刷・製本を依頼する場合もあります。
納品・出版(5日~1か月)
製本を終え完成した本は著者のもとに納品されます。書店等で販売を予定している場合には、印刷会社から出版社の倉庫へ納品されるケースが大半でしょう。
(出版社が自費出版本の流通まで担当するケースは多く、書店に並べて販売したい等の希望に対応しています。)
出版社の倉庫に到着後、取次店に見本出しをし、取次の指定日に取次店倉庫に搬入します。
その後、取次店から書店へ配送し、店頭陳列、販売となります。(見本出しから発売までが約2週間です。)
オフセット印刷よりオンデマンド印刷の方が早い
自費出版本を印刷する際の選択肢として、オフセット印刷とオンデマンド印刷があります。
オフセット印刷とは版を用いた印刷方法です。商業出版ではオフセット印刷がよく利用されています。大量印刷に向いており、品質が高いのが特徴です。
一方、オンデマンド印刷とは版を用いない印刷方法であり、直接データを出力して印刷できます。昨今のオンデマンド印刷は、かなり品質が高まったためオフセットと比較し遜色ない出来上がりになってきました。機械の都合、少部数では印刷費用の総額を抑えやすく、大量部数の印刷では、総額が高くなります。
オンデマンド印刷は工程がシンプルな分、少部数の場合には短納期が叶えやすい点が挙げられます。
時期による注意点
自費出版を依頼する際には発売時期に注意しましょう。ゴールデンウィーク前や年始年末、年度末(3月末)といった時期には出版社や印刷業者への依頼が多くなります。
特に1000部を超える部数で、書店へ配本を考えている場合には2月後半から3月末の発売を避けることが懸命です。
世の出版社の多くが、年度末に駆け込みで出版することがあり、取次の物流はパンパンになり、印刷所もフル稼働になります。3月末に発売した場合には、事前に枠を抑える必要があり、万が一制作遅延等が発生した際に枠に穴を空けるリスクを把握しておきましょう。
まとめ
自費出版を行う際にはスケジュールを理解しておきましょう。流れを理解していれば、事前にしっかりと準備をして備えることができます。半年程度かかるのが一般的なため、余裕を持ったスケジュールを組んで自費出版を進めましょう。