出版業界はどのくらいの市場規模なのでしょうか。出版業界への就職を考える方や作家を目指している方などは気になるものです。本記事では出版業界の市場規模について、さまざまなデータを紹介します。

2022年上半期の出版市場規模

2022年の上半期の出版市場規模は紙と電子を合わせて8,334億円でした。出版業界の調査機関である全国出版協会・出版科学研究所による調査結果です。

出版市場規模の内訳では、紙の書籍と雑誌を合計すると5,961億円でした。紙の書籍は3,526億円、雑誌は2,434億円が推定販売金額です。一方、電子書籍は、電子コミックが2,097億円、電子書籍が230億円、電子雑誌が46億円でした。

1年間の市場規模は約2倍の金額ととらえられます。

出版市場規模のうち、紙の書籍が占める割合は42.3%です。次に高いのは紙の雑誌の29.2%、そして、電子コミックの占有率は25.2%でした。今でも紙の書籍と雑誌が出版市場において売上の中心を占めているのですが、電子コミックもかなりの割合に達しています。日本の出版業界を語る上で電子コミックは無視できない存在であることがわかります。

 2022年上半期の推定販売金額
紙の書籍3,526億円
紙の雑誌2,434億円
紙合計5,961億円
電子コミック2,097億円
電子書籍230億円
電子雑誌46億円
電子合計2,373億円
紙と電子の合計8,334億円

2021年度との比較

2021年度の上半期は紙の書籍で3,686億円、紙の雑誌は2,759億円売れました。電子コミックは1,903億円、電子書籍は231億円、電子雑誌は53億円の販売金額です。合計すると、2021年度の上半期は紙本が6,445億円、電子本は2,187億円、合わせて8,632億円売れました。

2022年度は2021年度と比較すると紙本の売上が減ったのですが、逆に電子本の売上が伸びたという結果になっています。特に電子コミックの売上が伸びている傾向にあります。

種類2022年上半期の推定販売金額2021年の上半期の推定販売金額
紙の書籍3,526億円3,686億円
紙の雑誌2,434億円2,759億円
紙合計5,961億円6,445億円
電子コミック2,097億円1,903億円
電子書籍230億円231億円
電子雑誌46億円53億円
電子合計2,373億円2,187億円
紙と電子の合計8,334億円8,632億円

電子書籍の出版規模

電子書籍の出版規模について紹介します。

2022年上半期の推定販売金額

2022年上半期の電子書籍の出版規模は電子コミックが1,903億円、電子書籍が231億円、電子雑誌は53億円でした。電子書籍の推定販売金額を合計すると、2022年上半期は2,187億円という結果になっています。

 2022年上半期の電子書籍推定販売金額
電子コミック2,097億円
電子書籍230億円
電子雑誌46億円
電子合計2,373億円

2021年度との比較

2021年度の電子書籍の推定販売金額は、電子コミックが2,097億円、電子書籍が230億円、電子雑誌が46億円でした。2021年度と比較すると2022年度は電子書籍の売上が伸びていることがわかります。特に電子コミックの売上が約200億円も上がりました。電子コミックの売上が好調なことから、電子書籍の市場規模は拡大しています。

 2022年上半期の推定販売金額2021年の上半期の推定販売金額
電子コミック2,097億円1,903億円
電子書籍230億円231億円
電子雑誌46億円53億円
電子合計2,373億円2,187億円

出版業界の推移・動向

出版業界の推移や動向について解説します。

紙本の推移

紙本の売上は減少傾向にあります。2021年には紙本の推定販売金額が1兆2,080億円でした。紙本全体の売上は2020年度より落ちたのですが、紙の書籍の販売金額は15年ぶりに増加となりました。コロナ禍による巣ごもり需要により紙の書籍の売れ行きが増えました。中でも文芸書や児童書、語学・資格書などが好調です。

ただし、2022年の上半期の時点で紙の書籍の推定販売金額は2021年を下回りました。コロナ禍による巣ごもり需要が落ち着いたことで売上が再び右肩下がりになったと考えられるでしょう。

紙本の売上は2014年が1兆6,064億円だったのが2021年には1兆2,080億円にまで下がっています。1996年は紙本の売上が2兆6,564億円でピークを迎えて、そこから右肩下がりを続けているのが現状です。現在は電子書籍が普及しているため、紙本の売上はさらに減り続けるでしょう。

電子書籍の推移

電子書籍の売上は紙本とは逆に年々増えています。2021年には、売上が4,662億円に達しました。電子書籍の市場は2014年に1,144億円を記録して、その後はプラス成長を続けています。特に2019年の3,072億円から2020年の3,931億円、そして2021年の4,662億円と近年は急成長を遂げている分野です。コロナ禍による巣ごもり需要で電子書籍の需要が高まりました。また、電子コミックは2021年に市場占有率が88.2%に達しており、電子コミックが市場を牽引しています。

全体の推移

出版物の売上は1996年に2兆6,564億円となりました。それまでは出版業界は右肩上がりの成長を続けていたのです。その後、1997年には消費税が増税して個人消費は低迷し、出版市場も初めて前年割れとなりました。その後、出版市場は右肩下がりを続けています。

出版物の中でも特に雑誌市場は需要が激減していて、休刊誌が相次ぎました。2016年には書籍と雑誌の売上が初めて逆転しました。紙の書籍市場は1996年に1兆931億円だったのが、2021年には6804億円と減少しているのですが、近年は比較的健闘しています。

電子書籍は登場してから常にプラス成長を続けており、2021年には4,662億円の売上を記録して出版業界を支える存在です。特に電子コミックの売上は急激に成長しており、紙のコミックと合わせて日本の出版市場を支えています。

まとめ

出版業界の市場規模は右肩下がりの傾向にあります。特に紙の雑誌の売上が落ちているのが顕著な状態です。一方で電子書籍の売上は好調であり、特に電子コミックの売上が伸びています。今後も紙本よりも電子本の方が注目されていくでしょう。