本記事では自費出版をした際に国立国会図書館への納本義務についてご紹介します。

また国立国会図書館とはどんな図書館か、その目的や特徴などについても解説します。

国立国会図書館とは

国立国会図書館とは、国の立法機関である国会に付属する図書館のことです。

国立国会図書館法と呼ばれる法律によって、1948年に設立された歴史のある図書館です。

その蔵書の多さと利便性を高めることから分舎され、東京本館の他に、関西館、国際子ども図書館があります。その他、最高裁判所図書館、支部図書館などの分館もあります。

国立国会図書館に行けば、通常の販売ルートで売られている本の中で手に入らない本はありません。

国立国会図書館の目的

国立国会図書館の目的は、立法活動の補佐をすることです。

国会の最大の存在意義である立法機関として機能させるためには、莫大な情報や正確なリサーチが必要となります。

立法機能を正常に執り行うために必要となる正確で豊富な情報を、国立国会図書館では擁しています。

納本の対象

納本制度とは、図書等の出版物をその国の責任ある機関に納入することを言います。

ここで言う、責任ある機関は立法機関である国会を意味します。

国立国会図書館で納本対象となるのは、相当程度出版されている、図書、雑誌・新聞あるいは、CD、DVD、ブルーレイ、レコード、楽譜、地図なども対象となり、幅広く納本対象となっています。

相当程度出版されている図書の定義としては100部以上を印刷製本された書籍と考えると良いでしょう。

納本しない場合の罰則

民間出版の場合、納本対象であるにも関わらず、正当な理由もなく国立国会図書館への納本を怠った場合には罰則を科せられます。

罰則内容は、その出版物の小売価格の5倍程度に相当する金額以下の罰金です。

自費出版本も納本する必要がある?

自費出版でも、ISBNコードがある一般的な販売流通を目的とした図書の場合は、納本義務が発生します。

ISBNコードとは「International Standard Book Number」の頭文字を取ったもので、世界共通で利用されている、国際的に書籍を特定するための番号です。

ISBNによって図書の在庫管理を国際標準で行うことができるようになりました。

納本の期限

納本期限も設けられています。

ただ、出版元がどこかによって、納本期限は変わります。

国の機関、地方公共団体、国公立大学等の場合は、発行後直ちに納本しなければなりません。

その他の民間出版の場合は、発行してから30日以内に納本しなければならないとされています。

国立国会図書館への納め方

国立国会図書館の納本方法は、3通りあります。

一つは国立国会図書館へ直接持ち込む、一つは国立国会図書館へ郵送する、一つは取次から国立国会図書館へ納本するパターンです。

自費出版の場合、出版社が国立国会図書館へ郵送するか取次を通じて納本します。

出版社に委託せず個人で編集、印刷をした書籍の場合には著者本人が郵送し納本することが一般的です。

原則1部の納本ですが、東京と大阪の国立国会図書館用で2部納本する場合もあります。

納入出版物代償金とは

納入出版物代償金とは、民間の出版社から納本された本に対して払われる対価のことで、通常は、その小売価格の5割程度と、郵送における最低金額を合算した料金を国費から支払います。

つまり、国立国会図書館への納本の場合でも、無料で納本されるものではなく、小売価格の5割程度は支払います、という仕組みです。

納入出版物代償金を受け取る納本は申請が必要です。事前に国立国会図書館に電話で問い合わせし指示に従いましょう。その際、対象となる図書の頒布状況を確認されます。刷った部数や流通させた部数を事前にまとめておくと良いでしょう。

寄贈という形で、図書を納本することもできます。その場合は、代償金は支払われません。

一般的に出版社から国立国会図書館へ納本する場合、事務手続き・発送作業・納入出版物代償金の受け取りは出版社が行い、著作権使用料(印税)や売上分配金は支払われないケースが多いかと思います。

電子書籍にも納本の義務がある

たとえ電子書籍であっても、納本する義務はあります。

平成25年から、納本制度に従い、民間で出版された電子書籍、電子雑誌も収集することが開始されました。

電子書籍や電子雑誌であっても、後世に残すべき文化遺産として認識されてきたことが、その背景としてあげられます。

同人誌にも納本の義務はあるの?

同人誌の場合でも、相当数の部数を発行しており、条件に当てはまれば、基本的には国立国会図書館への納本を行う必要があります。

これは、国立国会図書館法によって定められた義務であり、同人誌であっても、国内で発行していれば、当該の法律に従わなければなりません。

納本制度の現状

上記の通り、同人誌や自費出版であっても、基本的には国立国会図書館に納本する義務を負っていると考えるべきでしょう。

なぜなら、その義務を怠った場合、国立国会図書館法に抵触してしまうからです。

実態としては同人誌等の納本は少なく、発行の実態も不明瞭な状態です。

今後、制度のあり方については議論がなされることでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまで、国立国会図書館とは何か、国立国会図書館への納本義務とはどんなものかを解説してきました。

この記事のポイントを整理すると以下の通りです。

  • 国立国会図書館とは、国の立法機関である国会に付属する図書館のこと。
  • 納本制度とは、図書等の出版物を国立国会図書館に納入すること。
  • 自費出版でも、原則納本義務が発生する。