自費出版をする際には製本の種類を選ぶ必要があります。製本にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なるからです。そこで製本の種類と選び方について詳しく紹介します。

製本作業とは

製本作業とは紙面を束ねて、本の形状を整える作業のことです。印刷をするだけではなく、本を綴じることによって初めて書籍としての形になります。そして、綴じ方にはさまざまな種類があるため、特徴と選び方を理解しておくことが大切です。

製本にはどのような種類があるの?

製本には大きく分けて上製本と並製本の2種類があります。ぞれそれの特徴を詳しく紹介します。

上製本(ハードカバー)

上製本とはいわゆるハードカバーのことです。本文を丸めて裁断をした後で背を補強し、別途作成した表紙によってくるみます。本文と表紙が分かれているのが特徴であり、本文より表紙の方が3ミリほど大きいです。接着剤はボンドとニカワが使われます。綴じ方は糸かがり綴じとアジロ綴じ、中ミシン綴じの3種類です。

並製本(ソフトカバー)

並製本とはいわゆるソフトカバーの本であり、本文と表紙を同時に固めてくるんだ後で裁断します。接着剤はホットメルトが使われます。厚めで1枚ものの紙が表紙になるのが特徴です。本文と表紙は同寸法になっています。

綴じ方の種類

本の綴じ方の種類について、それぞれ詳しく解説します。

無線綴じ

無線綴じとは本文の背を接着剤で固めてから表紙用紙によってくるむ綴じ方のことです。長期的に保管をするのに向いている綴じ方であり、文庫本や辞書、カタログなどで利用されます。ページ数が24ページ以下の場合は背表紙を作って固定できないため対応できません。

中綴じ

中綴じは背綴じとも呼ばれます。表紙と本文のすべてのページを開いて重ねた状態で折り目部分を針金によって綴じる方法です。ページは根元の部分まで開くことができます。そのため、イラストや写真などを見開きにしたい場合に向いています。同人誌などページ数の少ない冊子に向いている綴じ方です。週刊誌やパンフレット、楽譜、会社案内、説明書などでも採用されています。

平綴じ

平綴じは針金(ホッチキス芯)によって綴じる方法です。表紙と本文のすべてのページを開いた状態で重ねてから折り、あるいは2つ折りにした紙を重ねて針金で綴じます。綴じる位置はノドから数ミリです。ページ数が多くなると強度が落ちるため、ページ数の少ない冊子に向いている方法です。企画書や配布資料などで採用されます。

アジロ綴じ

アジロ綴じは本の背に切込みを入れて接着剤がより浸透しやすい状態にする無線綴じの改良版と呼ぶと分かりやすいでしょう。無線綴じよりも強度を上げることができます。月刊誌や辞典、カタログなどで採用されることが多いです。

ミシン綴じ

ミシン綴じは表紙と本文のすべてのページを開いた状態で中心を糸で綴じる方法です。ページを180度開けるのがメリットですが、耐久性の問題から40ページ以下までしか対応できません。アルバムや写真集、絵本などで採用されることが多い綴じ方です。

糸かがり綴じ

糸かがり綴じはページを折って重ねたものを1本の糸で綴じる方法です。最後に背を平らにしてから糊で固めます。ミシン綴じよりも強度が増すのが特徴であり、40ページを超える上製本にも対応可能です。辞書や百科事典、写真集などで採用されます。

和綴じ

和紙を2つ折にして表紙をつけて、右側を糸で綴じる方法です。8~36ページを綴じるケースが多いです。接着剤や針金を使わず耐久性に優れています。俳句集や御朱印帳、経本などで採用されることが多いです。

PUR綴じ

PUR綴じとは無線綴じの接着剤としてPUR系のホットメルト接着剤を用いる方法です。無線綴じよりもページが開きやすくなっています。耐久性や耐熱性にも優れているのがメリットです。写真集やパンフレット、レシピ本などで採用されます。

自費出版で主に使われる製本方法

自費出版でよく使われる製本方法は無線綴じか中綴じです。少ないページ数だと中綴じ、ページ数が多いと無線綴じが選ばれます。ただし、出版社によっては他の製本方法に対応している場合があるため確認しましょう。

製本方法は何を基準にして選べば良い?

製本方法を選ぶ際の基準を紹介します。

見た目

製本方法は本の見た目に大きな影響を与えます。たとえば、針金で綴じるか、糸で綴じるかによって見た目がかなり変わるでしょう。そのため、本のイメージに合った綴じ方を選ぶことをおすすめします。和の雰囲気を出したいのであれば和綴じにするといった選び方をしましょう。

ページ数

ページ数によっては特定の綴じ方でないと対応できない場合があります。たとえば、ページ数が多い場合は、ページ数に制限のない無線綴じなどを選びます。反対にページ数が少ない場合は、費用の安い中綴じにすると良いでしょう。

用途

本の用途によって製本方法を選びましょう。耐久性が求められるのか、屋外で利用するのかといった点を確認してください。針金が使われていると太陽の熱で劣化するため、屋外で利用する場合は耐熱性に優れたPUR綴じなどの綴じ方をおすすめします。

費用

製本方法によって費用は異なっています。基本、高性能な方法ほど費用は高くなります。たとえば、PUR綴じは通常の無線綴じよりもコストが上がります。安価に仕上げたいのであれば中綴じが良いでしょう。

製本を自分ですることも可能?

自分で印刷と製本を行い自己出版することは可能です。そこで、製本を自分でする方法を紹介しましょう。

無線綴じの作り方

無線綴じは糸や針金を用いず糊で固めて綴じる方法です。以下の手順で無線綴じ製本ができます。

  1. 紙に印刷する
  2. 用紙をカットする
  3. 中紙を揃えてクリップで固定する
  4. 背に接着剤を塗る
  5. 表紙を貼る
  6. 乾かす
  7. 表紙の余分な部分をカットする

中紙とは表紙以外の本文が印刷されたページのことです。接着剤は紙の断面だけではなく側面にもつくようにします。表紙は束ねた厚み(背幅)を考えてサイズを合わせましょう。

中綴じの作り方

中綴じとは本の背の中央部分を針金で綴じる方法です。ホッチキスを使用すれば自分でも作れます。表紙と本文は2つ折りにして綴じるため、ページ数が必ず4の倍数になるのが特徴です。

紙を2つ折りにしてから重ね、最後に真ん中をホッチキスで綴じましょう。中綴じ用のホッチキスとしてステープラーを使います。基本的には2箇所だけ留めておけば良いでしょう。

まとめ

自費出版では本の製本方法にこだわる方も多いです。本の用途や機能性、費用、見た目などを基準にして製本方法を選びます。出版社に相談をしてアドバイスをもらいながら最適な製本方法を選んでください。