自費出版する際には注意すべきことがいくつかあります。自費出版が期待通りとならない、トラブルに巻き込まれるといったケースを防ぐためにも、自費出版する際に気をつけておくべき注意点をご確認ください。

自費出版で注意することは?

自費出版で注意すべきことを各工程ごとに詳しく紹介します。

見積もりに関する注意点

事前に見積もりをもらっておくことは大前提です。それに加えて、形式を変更したときの費用の変化に注意しましょう。制作途中で形式が変われば費用が変わるため、形式変更ごとに見積もりをもらうことをおすすめします。また、見積もりの内容について不明点があれば、質問して解決しておきましょう。

(形式変更とは、用紙のサイズや組版の方法、ルビの有無などです。当然ですが、ページ数が増えたり、高級紙に紙材を変更する場合、書店営業を追加する場合などは費用が上がります。)

契約に関する注意点

契約の際には後でトラブルが起きないように説明を受けましょう。単に説明を受けるだけではなく、説明されていない部分についても気になる点は確認しておきます。契約に関して疑問点や不安点は事前にすべて解決しましょう。

別の記事で「自費出版の契約書の確認ポイントは?」が契約書、契約内容の確認すべき点を説明しています。詳細はこの記事をご確認ください。

執筆に関する注意点

執筆時に書籍や新聞などを引用する場合は、引用元を記載しましょう。

引用か転載かの判断基準の原則は主従関係です。あなたが書く意見が主、つまり中心であり、引用する対象の文章は、その考えの部分的な補助をする関係性である必要があります。

ただし、引用する量が多い場合は転載として扱われる場合があります。転載するには著作権者の許可を取る必要があり、許可を取らずに転載するのは違法行為です。引用と転載の違いは曖昧な部分があるため、不安があれば出版社に相談しましょう。

(多くの新聞社は記事の引用時、事前承諾をとるよう指示する場合が多いです。新聞紙面を写真撮影した画像であっても、許可をとることを推奨します。)

編集に関する注意点

自費出版を出版社に依頼する場合は編集をどの程度、編集者に依頼するか事前に決めることになります。ただし、この「程度」というのは感覚によりズレる場合もあるため、具体的な例を挙げながら認識齟齬のないよう注意が必要です。

また、編集者に任せきりにするのではなく、ご自身の希望を初めに伝えておくことが大切です。打ち合わせの際には十分な意見交換し、自分が納得できる編集作業が行われるようにしましょう。

製本に関する注意点

上製本・並製本の選択を誤るケースはないかと思います。判型については、用語がわからない場合には、mmで説明を受けると良いでしょう。

(文庫判、四六版など、普段馴染みのない単語が登場しますが、mm=ミリメートルで説明を受ければ、お手元の定規などで実寸をイメージできるでしょう。)

小説などを並製本で印刷する場合に、イメージと異なる出来上がりになることは非常に稀です。

写真集、絵本などのフルカラー印刷の場合は発色が期待とずれるケースはままあります。

上製本においても、ボール紙の厚さや、くるみ方が想像と異なるケースはあるでしょう。

費用よりも発色など出来上がりの細部までこだわりたい方は、多くの出版社では追加費用が数千円かかりますが、実際に試し刷りをしてもらい、完成状態を見て確認することが良いでしょう。

流通に関する注意点

流通に対応する出版社は多いですが、サポートの内容に注意しましょう。

多くの出版社は主要な取次に対し、著者が希望する部数の配本依頼を出します。

(当然、実現がほぼ不可能な部数を希望する場合には、事前にアドバイスなどをすると思います。)

2024年物流問題もあり、希望数で部決されないケースは増えています。状況に応じた書店営業などに対応が可能か、可能な場合の費用はいくらか、事前に確認できると良いでしょう。

(希望数で部決されない=たとえば、1000部書店へ本を配ってほしいと依頼したが、取次は500部を書店へ配ると決めた。このようなケースです。)

出版詐欺にも要注意

自費出版で出版詐欺の被害にあうケースがあるため注意しましょう。出版社に費用を支払った後で持ち逃げされるケースがあります。他にも、事前に説明されていたサポートをまったく受けられなかったケースなど多くの被害が報告されているため気をつけましょう。

(見抜くことは難しい面もありますが、最低でも直近1年間程度でどの程度のタイトル数が発売されたかを聞いてみると良いでしょう。)

自費出版で大切なこと

自費出版する上で特に大切なことは以下の3点です。

  • 出版社を比較すること
  • 契約書はしっかり確認すること
  • 細かなコミュニケーションをとること

自費出版する上で大切なことを詳しく紹介しましょう。

出版社を比較すること

自費出版のサポートをする出版社は多くあるため、出版社をそれぞれ比較することが大切です。

出版社を比較する際には単に費用の安さのみにこだわることはおすすめしません。出版社によって得意ジャンルや販促ルートなどが異なります。自費出版に関してノウハウがあるかどうかも重要です。

(とはいえ、当サイトを運営する書籍づくり本舗は、費用の安さも強みであるため、費用を抑えることは大切だとの立ち位置です。)

ご自身がこれから自費出版したい書籍のジャンルを得意としている出版社を選びましょう。また、希望する販促ルートについてノウハウを持っているかどうかも確認してください。その他にも、希望する内容のサポートを受けられるのか調べておきましょう。

契約書はしっかり確認すること

出版社と契約する際には契約書の内容をしっかり確認することが大切です。その際には、その場で契約書にサインするのではなく、必ず自宅に持ち帰りましょう。そして、翌日など時間を置いてから内容を再度確認します。そうすれば、契約書の内容について問題点や疑問点が生じるものです。また、家族や友人など第三者に契約書の内容をチェックしてもらうこともおすすめします。ご自身では気づかなかった問題点がわかるかもしれません。

契約書に関して分からない点があれば、必ず出版社に質問しましょう。納得できるまで説明を求めることが大切です。

契約書の確認点については、この記事の前半で触れた通りです。

細かなコミュニケーションをとること

出版社とは細かなコミュニケーションをとることを心がけましょう。編集や製本だけではなく、どんな些細なことでも質問をすることをおすすめします。少しでも疑問点や不安点があれば、その都度質問をして納得できるまで確認することが大切です。そうすれば、相違点をなくすことができます。

まとめ

自費出版はさまざまなトラブルが起きる可能性があるため、事前にしっかりと知識を持っておきましょう。契約書の内容は十分確認し、担当者とは頻繁に細かくコミュニケーションをとることをおすすめします。そうすればトラブルなく自費出版を成功させられるでしょう。