漫画の自費出版を考えている方向けの内容です。どのようにすれば、漫画・コミックの自費出版ができるのでしょうか。本記事では自費出版をする方法やメリット・デメリットなどについて解説します。

漫画も自費出版できるの?

自費出版はどんなジャンルでも行えます。小説や写真集、絵本などだけではなく、漫画を自費出版するケースも多いです。漫画を自費出版し有名になった事例もたくさんあります。

漫画を自費出版するメリット

自費で漫画を出版するメリットを紹介します。

出版社の意見に左右されず出版できる

自費出版の場合は商業出版とは異なりどんな企画でも実現できます。自分が自由に漫画の内容を決められるため、引延しや変更などの指示を受けることはありません。ネームが没になることはなく、どんな作品でも確実に出版できます。

(暴力的な作品、成人向け作品は出版社により取り扱いができない場合があります。)

実績が残せる

自費出版で漫画を出したという実績を残せる点がメリットです。自費出版の経験があれば、出版社への持ち込みもしやすくなります。また、自分の漫画を出したという記念にもなるでしょう。

知名度を上げられる

自費出版で漫画を出すことで知名度を上げられる点がメリットです。知名度を上げることでファンを増やせば、次の作品につなげられます。知名度を上がると売上も増えるため、多くの利益を得られる可能性がでます。

自費出版するデメリット

自費出版で漫画を出すデメリットを紹介します。

自費で出版になる

自費出版の場合は出版にかかる費用をすべて自分で負担しなければいけません。特に紙の漫画を出す場合は印刷・製本の費用がかさみます。売れなければ大きな赤字を抱えるケースもあります。

自分で宣伝が必要

自費出版では宣伝に工夫をしないとなかなか売れません。商業出版とは異なり、宣伝方法は自分で工夫する必要があります。広告を出す場合は費用の負担が大きい点もデメリットです。

自費出版する方法

自費出版するための具体的な方法や流れを紹介します。

出版社に相談をする

自費出版は出版社のサポートを受けるのが一般的です。自費出版に対応している出版社に相談をしましょう。いくつか気になる出版社に相談をした上で契約先を決めることをおすすめします。

出版社と打ち合わせ

実際に出版社と契約することになったら、打ち合わせをします。具体的なスケジュールの相談や販売方法などを決めていきましょう。綿密に打ち合わせをすることでトラブルを避けられるでしょう。

漫画の執筆・提出

出版社と契約したあとは漫画の執筆をして提出します。ただし、相談前に執筆していても問題ありません。提出する際には、出版社の指定するフォーマットを守りましょう。データ入稿するのが一般的です。中には紙の原稿をスキャンしてくれる出版社もあります。

校正・編集

データ校正や編集の作業を出版社が対応してくれます。ただし、著者自身で校正することも大切です。何度か修正をすることで原稿が完成します。

装丁デザイン

表紙、背表紙などのデザインを作成します。漫画の場合、表紙用のカラーイラストを用いて作成することが多いかと思います。裏表紙のバーコード部分などもこの工程で作成されます。一般的にイラストの作成と希望をまとめる点を著者が行い、その他の作業を出版社が担当します。

印刷・製本

完成した原稿の印刷と製本を出版社が対応してくれます。出版社が印刷・製本の手配まで対応してくれるため、納品を待ちましょう。紙のサイズなどを事前に指定しておき、誤りがないか確認することは大切です。

倉庫へ納品・発売

漫画が製本されれば、実際に販売できるようになります。出版社が販売や流通まで対応してくれるケースは多いです。書店やECサイト、イベントでの販売などさまざまな形で自費出版した漫画を販売できます。

自作漫画を電子書籍で出版するには

手軽に読めることから電子書籍漫画の需要は高まっています。自作漫画を電子書籍として出版する方法を紹介しましょう。

電子書籍で出版するメリット

電子書籍で出版すれば費用を安く抑えられ赤字になりにくい点がメリットです。電子書籍は印刷費用がかかりません。在庫を抱える心配はなく、在庫管理の手間も省けます。

電子書籍で出版するデメリット

紙で読みたい層へリーチできないことや、書店という販売チャネルを利用できないことがデメリットです。

自費出版できるおすすめのサイトは?

電子書籍の自費出版が可能なおすすめのサイトは以下の通りです。

  • Amazon Kindle
  • 楽天kobo
  • BOOK☆WALKER

Kindleは電子書籍販売サービスの大手です。多くの人の目に触れる可能性がある点がメリットといえます。

楽天koboは楽天の提供する電子書籍ストアであり、Kindleの次に多くの人が利用しているサイトです。厳しい縛りがなく自由に販売できます。

BOOK☆WALKERはKADOKAWAの運営するサイトであり、漫画やラノベを中心に扱っているのが特徴です。そのため、漫画に興味のある人にアピールしやすい点がメリットといえます。

配信代行サービスを利用した出版方法

著者の代わりに電子書籍の配信や販促をしてくれるのが配信代行サービスです。配信代行サービスについて詳しく紹介しましょう。

配信代行サービスとは

配信代行サービスとは著者に代わって電子書籍サイトへの配信や販促活動をしてくれるサービスです。自費出版の際の手間を省けます。ただし、配信代行サービスを利用するのに料金がかかる点に注意が必要です。

配信代行サービスのメリット

配信代行サービスはデータを渡すだけで後の作業をすべて丸投げできます。また、配信代行サービスであれば、個人で配信できないサイトへの登録・配信も可能です。

配信代行サービスのデメリット

配信代行サービスを利用するには登録料などがかかります。自分で電子書籍出版をするよりも費用がかさむ点がデメリットです。また、データの差し替えなどをしたくても、自分で気軽にできません。

代表的な配信代行サービス企業

配信代行サービス企業の主なものは以下の通りです。

  • ナンバーナイン
  • 電書バト
  • コンパス

ナンバーナインは業界大手の配信代行サービス企業です。配信可能なストアがたくさんあり、販促活動も積極的に行ってくれる点がメリットといえます。

電書バトは漫画家の佐藤秀峰さんが運営しているサービスです。配信代行サービスとしては老舗であり、豊富な実績があります。

コンパスは白泉社の「花とゆめ」の元編集長が立ち上げた会社です。デジタル出版代行として配信代行サービスを提供しています。

自費で漫画を出版した事例紹介

過去に自費で漫画を出版して売れた事例はたくさんあります。

たとえば、岡野雄一さんが出した「ペコロスの母に会いに行く」です。長年フリーの漫画家として活動してきた方であり、「ペコロスの母に会いに行く」はベストセラーとなり、NHKによってテレビドラマ化されました。

また、日本人なら知らない人のいないサザエさんも、実は最初は自費出版の漫画としてスタートしています。その後、漫画が売れてから長谷川町子さんは姉妹社を設立して、自分たちの出版社から本を出し続けました。

まとめ

漫画を自費出版すれば、自由に作品を出版でき、知名度も上げられるなどメリットは多いです。ただし、費用がかかる点や宣伝が必要な点などに注意しましょう。電子書籍や配信代行サービスを利用するのも一つの案です。