今回は自費出版の著作権についてです。
相当特殊な出版契約を結ばない限り、著作権は当然に執筆した著者に属します。
本記事では自費出版の著作権や著作物の利用方法などについて広範に説明します。

著作権とは

著作権とは著作物を書いた人が持つ権利です。これは法律で認められた権利で、勝手にコピーすることや改変を加えることなどを制限し著作者を保護します。

これは著作者を守り、文化を発展させることを目的にしています。著作物の対象は幅広く、言葉や文字だけではなく色や形、音楽などで表現したものにも認められる権利です。著作権を持っていれば、他人が著作物を利用した際には使用料を得ることができます。著作者の利益を守るための制度が著作権です。

自費出版本にも著作権は存在するの?

著作権の対象になるのは商業出版されたものに限らず個人が趣味で作ったものにも認められます。自費出版した本にも当然著作権は存在するのです。内容の拙さなどは一切考慮せず、個人が自分の考えや気持ちを表現したものはすべて著作権の対象に含まれます。

著作権を取得するにどうすれば良い?

著作権は自動的に与えられる権利であり、取得の手続きが必要なものではありません。何かを表現したその瞬間に表現物に対して自動的に著作権が付与されます。著作権の登録制度は、あくまでも権利を明確にするためのものであり、登録しなくても著作権を主張することは可能です。

著作権の期間

著作権の期間は著作者の死後70年まで原則として認められます。かつては死後50年だったのが、2018年から70年に変わりました。期間計算は死亡した翌年の1月1日から起算します。

※一部の国では期間の定めが異なる場合があります。

著作権が該当する範囲

著作権はどの範囲まで該当する権利なのか説明します。

著作権の種類一覧

著作権の種類を簡単にまとめると以下の3つに分類できます。

著作者人格権公表権氏名表示権同一性保持権
著作財産権複製権上映権公衆送信権口述権譲渡権貸与権など
著作隣接権著作物の伝達で重要な役割を果たしたものに認められる権利
(実演家、放送事業者、レコード製作者、有線放送事業者)

著作者人格権は著作者のみに認められる権利であり、他者に譲渡や相続させることはできません。著作財産権は、一般的に著作権で想起される権利のことです。著作隣接権は著作物の創作者ではないけれども、著作物の伝達で大きな役割を果たしたものに認められる権利です。

著作物の引用

著作物を引用することは認められています。ただし、引用する際にはルールをきちんと守らなければいけません。第三者の著作物であることを明示することが求められます。他者の著作物を自分の創作物のように扱うのは違法です。

引用の使い方

著作物を引用する際のルールは、著作物の出所と著作者名の明示をしなければいけません。著作物のタイトルや著作者の名前は必ず記載する必要があります。他にも、出版社や書籍・雑誌名、掲載ページなどの記載も必要です。

著作権の利用申請をするには

著作権の利用申請をするための方法を紹介します。

申請方法

著作物を利用したい場合は著作者に許可をもらう必要があります。無許可で著作物を利用すると著作権侵害として罰則があるため注意しましょう。場合によっては損害賠償を請求されるケースもあります。

著作権の利用申請は著作権者に行うのが原則です。ただし、著作権管理団体から許諾を得られるケースもあります。また、実際に著作権者の連絡先を特定して著作物の利用許諾を行うことは難しいため、出版社などに利用申請をするのが一般的です。

著作者が複数人いる場合もある

著作者が複数人いるケースは珍しくありません。たとえば、専門書などで複数の著者が共同で執筆するケースです。著作者が複数人いる著作物を利用したい場合は、すべての著作者から利用許諾を得る必要があります。各人が寄与した部分を分離して個別に利用することはできません。

海外の作品にも著作権は存在する?

海外作品の著作権について説明します。

海外作品の利用も許可が必要

海外の作品にも当然著作権は存在します。基本的にどの国にも著作権の制度は存在するからです。ただし、著作権の制度の詳細については国ごとに違いがあります。日本とは著作権の保護期間に違いがあるケースがあるのです。たとえば、中国や韓国では著作権の保護期間が死後50年とされています。それぞれの国の著作権制度について詳しく調べておきましょう。

翻訳には翻訳権が必要

海外作品を翻訳するためには翻訳権が必要になります。ただし、個人で翻訳権の交渉をするのは困難です。出版社に翻訳企画を持ち込むと、出版社が交渉を代行してくれます。翻訳権を得られなければ、翻訳作品を出版することはできません。

※正確には海外の出版物に強い著作権エージェントを仲介者にし、諸条件をまとめます。場合より先方のエージェントと当方エージェントを介して・・・といった複雑なやり取りになるケースもあります。

他にも知っておきたい権利

著作権以外にも自費出版する際に知っておきたい権利はあります。その中でも肖像権と著作者人格権について紹介しましょう。

肖像権とは

肖像権とは容姿やその画像を無断で公表や使用をされない権利のことです。正当な理由がなければ、他人の肖像や写真、彫刻などを本人の承諾なしに公開してはいけません。プライバシー権や人格権の1つとして認められています。たとえば、街中の写真を撮影して、他人の顔がはっきりと写っていた場合に写真集を出版するのは注意しましょう。

著作者人格権とは

著作者人格権には、公表権や氏名表示権、同一性保持権などが含まれます。公表権とは、著作者が未公表の著作物を本人が公表するかどうか決めることができる権利のことです。氏名表示権は、著作物に著作者の名前を表示するかどうか本人が決められる権利です。著作物を無断で修正されない権利として同一性保持権も著作者には認められています。

上記の権利はすべて著作権法によって定められた権利です。自費出版する際には、著作者人格権が著作者に認められていることを理解しておきましょう。

二次創作作品にも著作権は存在するの?

基本的に二次創作作品についても著作権は発生します。ただし、原作者の許可を得ていない二次創作作品は法的にはNGな存在のため注意しましょう。原作者が黙認しているために存在が許されているグレーな状態もありますが、原作者がNGを出せば二次創作品を発表することはできなくなります。自費出版で二次創作作品を出す場合は原作者の許可をとるようにしましょう。

まとめ

自費出版であっても著作権は発生し、著作者の権利は法的にしっかりと守られます。ただし、自費出版で他者の著作物を扱う際には注意が必要です。また、二次創作に関しては扱いが難しいです。これから自費出版をする場合は著作権に気を使いましょう。