本を出版する方法には自費出版と商業出版の2種類があります。これから自費出版をしたいならば、出版方法の種類について知っておくことは大切です。本記事では自費出版と商業出版の違いや見分け方などを解説します。

自費出版と商業出版の違い

自費出版と商業出版にはどのような点に違いがあるのか解説します。

費用による違い

自費出版は出版にかかる費用を著者負担とする点が特徴です。一方、商業出版は出版社がすべての費用を負担する点が違いといえます。

印税率による違い

商業出版は出版社がビジネスとして出版にかかる費用を負担して本を出版するため、出版社の取り分が大きいです。商業出版の場合は著者の印税率が3~10%程度に設定されています。

一方、自費出版は個人が費用を負担して出版する形式のため、印税率は40~50%と高いです。そのため、多く売れた場合には、自費出版の方が著者に大きな利益が発生します。

目的による違い

原則は自費出版も商業出版も本の売り上げを得ることが目的である点は共通しています。ただし、自費出版の場合は、記念や記録などのために出版すること自体が目的となることもあり、自費出版は利益が出なくても当初の目的を果たせたというケースがあります。

企画の通りやすさ

商業出版は出版社が費用を負担するため、きちんと売れる見込みのある企画しか通しません。

一方、自費出版は著者が費用を負担して出版する形式のため、出版費用さえ負担できれば企画は通ります。自費出版であれば、売上を見込めない作品でも自由に作れるのが特徴です。

自費出版だと書店や図書館に並ばない?

商業出版の本だけではなく、自費出版の本でも流通に載せることは可能です。たとえば、出版社が流通ルートの確保をサポートしてくれます。自費出版した本が全国の書店に並ぶケースもあるのです。

また、自費出版した本が図書館に置かれることもあります。図書館が本を買うケースや本を寄贈して、実際に棚に並べてもらえたりします。

自費出版と商業出版の見分け方

自費出版と商業出版をどのように見分けられるのか方法を紹介します。

出版社から見分ける

出版社の中には自費出版しか手がけていない会社があります。自費出版に特化した出版社から出されている本であれば、自費出版本とみなせるでしょう。

ISBNコードの有無

商業出版では必ずISBNコードを取得しています。ISBNコードとは、各本の固有の番号であり、1つの書籍に必ず1つの番号が付与されます。同じコードが重複することはなく、書籍を特定できる番号です。

本を流通させる際にISBNコードは必須となります。一方、自費出版の場合は必ずしもISBNコードを取得する必要はありません。書店での販売や図書館への寄贈の予定がないならば、ISBNコードをつけなくても良いです。

したがって、ISBNコードがあるかどうかで商業出版と自費出版を見分けられます。ISBNコードがない本は自費出版で出された本と考えましょう。

結論

商業出版と自費出版にはさまざまな違いがあります。ただし、出版社によっては商業出版と自費出版の両方を扱うケースは珍しくありません。また、自費出版でもISBNコードの取得は可能であり、実際に自費出版本にISBNコードが記載されているケースもあります。

そのため、商業出版と自費出版を確実に見分ける方法はありません。本を見ただけで判別するのは困難です。

自費出版と商業出版以外の出版方法

自費出版と商業出版以外にどのような出版形式があるのか紹介します。

企業出版

企業出版とはブランディング手法の1つです。会社が書籍を出して、企業イメージの向上やターゲット顧客の獲得などを図ります。経営課題を解決して販路を拡大するための手法として企業出版は効果的です。

企業出版が上手くいくと集客効果を高められます。商品やサービスだけではなく、創業ストーリーや経営理念なども詳しく伝えられる点もメリットです。会社について深く理解してもらい、ブランディングを実現できます。

企画出版

企画出版は、出版社が企画をして本を出版することです。そのため、企画出版の本来の意味は商業出版とほとんど変わりません。ただし、最近は自費出版と同じ意味で企画出版という言葉が使われるケースもあります。企画出版がどういう意味で使われているのかに注意しましょう。

共同出版

共同出版は自費出版と商業出版の中間に位置する出版形式です。著者と出版社とで出版にかかる費用を分け合います。契約内容によって、それぞれがどの費用をどの程度負担するのかは違うため注意しましょう。そのため、共同出版では出版社との間でトラブルに発展することがあります。

電子出版

電子出版とは、電子的データで出版をすることです。デジタル出版と呼ばれることもあります。インターネット上で配信を行い、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などから閲覧可能です。

電子出版は出版社に依頼するだけではなく、著者自身で手続きを進めて出版することもできます。電子出版を配信するサイトに登録をして審査に通れば電子書籍の販売が可能です。

まとめ

自費出版と商業出版は誰が費用を出すのかという点で異なっています。両方を手がける出版社が少なくなく、自費出版でもISBNコードを取得するケースがあることから見分けるのは困難です。