自費出版の定義から基本情報を網羅的に紹介します。

自費出版するのにかかる費用や依頼できる業者、詳しいやり方など事前に理解しておくべきことはたくさんあります。本記事では自費出版のやり方や利益などについても詳しく紹介します。

自費出版とは

自費出版とは自分で費用を出して出版することです。対義語は商業出版です。
書店での販売に代表される流通有無は自費出版の定義として問われないことが一般的です。
家族や親戚内でのみ楽しむ書籍においても自費出版サービスを用いることがあります。
具体的な自費出版の例としては、趣味で描いた絵本、作詞した歌集などが挙げられます。

自費出版は出版社を利用することで簡単にできるようになりました。最近は電子書籍も普及し、本を紙ではなく電子データで出版する方法もあります。
自費出版は著者と出版社が直接契約し進めるものであるため、契約に関しトラブルが起きるケースもあります。

どのようなジャンルが自費出版できる

さまざまなジャンルで自費出版が行われています。自費出版できるジャンルの主なものを以下にまとめました。

  • 小説
  • 画集
  • 写真集
  • 歌集
  • 漫画
  • 自伝
  • 専門書

どのようなジャンルの書籍でも自費出版可能です。自分で原稿を用意できれば、校正や印刷、出版などは業者に任せられます。写真付きの書籍などを出すことも可能です。
法令違反の疑いがある内容、成人向けコンテンツの場合には引き受けしていない会社が多くあります。

自費出版に必要な費用は?

相場としては、印刷会社に依頼する場合は、数十ページから100ページの本を100部~300部程度印刷する場合に数万円から10万円程度の費用がかかります。出版社に依頼する場合は、40ページの本を10部印刷で10万円以上かかるケースが多いです。

自費出版の費用は含まれるサービスの範囲、印刷部数やページ数により異なるものです。また、カラーか白黒か、写真を掲載するかなども料金に影響を与えます。印刷会社と出版社でそれぞれ提供するサービス内容が異なり、費用も違う点に注意しましょう。

費用の内訳としては、取材・執筆、編集、組版・校正、図版制作・イラスト制作、装丁デザイン、印刷製本、配送・在庫管理、流通が主要な項目です。

自費出版はどこでできる?

自費出版は印刷会社や出版社、新聞社などに依頼できます。実際にはサービスの充実度や料金の点から出版社と印刷会社のいずれかに依頼するケースが多いです。自費出版を依頼できる業者の種類について詳しく解説しましょう。

出版社や印刷会社から自費出版できる

出版社や印刷会社の多くは自費出版をサポートするサービスを提供しています。編集から製本・印刷、流通まで幅広く対応してくれるのです。ただし、実際にどの工程まで担当してくれるかは出版社と印刷会社でそれぞれ異なります。

出版社と印刷会社は何が違う?

出版社と印刷会社はサービスの範囲や料金などが異なります。

基本的に出版社の方がサービスの範囲は広く、専門性が高いです。出版社は書籍を出版するプロであり、印刷会社とのつながりもあるため、自費出版を総合的にサポートできます。編集や校正、デザインといった作業はプロのスタッフが対応可能です。製本や印刷は印刷会社へ依頼してくれます。出版した本の販売ルートの確保まで任せられます。サービスが充実しているため、印刷会社よりも料金は高いです。

印刷会社は印刷のプロであり、製本や印刷は幅広いニーズに応えてくれます。さらに、校正や出版などを担当してくれるケースもあるのですが、これらのサービスの多くでは編集作業には対応していなかったり、書店への配本ルートがなかったりと充実度で劣ることが多いです。料金は印刷会社の方が出版社よりも安くなっています。

自費出版の方法

自費出版をするための方法や流れを簡単に紹介します。

出版社・印刷所を選ぶ

業者ごとにサービス内容の詳細や得意ジャンルに違いがあります。料金も異なるため、それぞれの業者から見積もりをもらい、よく検討してから選びましょう。

自費出版の打ち合わせ

業者を選んだならば、自費出版の打ち合わせをします。料金やサポート内容などの詳細を話し合いましょう。デザイン面などで希望や要望をしっかりと伝えて、疑問点はきちんと説明を求めてください。打ち合わせで不明点をなくしていくことが、納得できる自費出版の実現には欠かせません。

原稿の提出

打ち合わせを終えたならば、原稿を完成させて提出しましょう。提出する際のフォーマットやファイル形式などは事前に確認してください。特に電子データ入稿する場合のファイル形式に注意しましょう。

出版社の多くはマイクロソフトのWord形式です。印刷会社はアドビのInDesign形式を求められる場合が多いです。

校閲・校正

多くのサービスでは選択制となっている校閲の工程です。原稿提出後、業者のスタッフが校閲を進めてくれます。誤字脱字や内容の真偽などについて細かくチェックをして指摘してくれるのです。校閲の段階でしっかり修正しておきましょう。印刷用データのレイアウトを作成し文字組版を進めます。製本・印刷まで進むと修正できません。この段階で必要な修正は全て実施しましょう。

製本・印刷

製本・印刷では校正済みの原稿を実際に印刷して本の形でまとめてくれます。事前に伝えた希望通りに製本してくれるでしょう。本の仕様や紙材などにこだわりたい場合は契約前に相談しておきましょう。

一般的な自費出版サービスの標準仕様はよく用いられる書籍用紙のソフトカバー(並製本)です。高級な紙材を指定する、ハードカバー仕上げにするなどは価格が大きく変わります。

完成物をチェックして問題がなければ納品されます。

流通

完成した本の流通ルートの確保まで対応してくれる業者があります。書店やECサイトなどで実際に本を買える状態にしてくれるのです。本が売れた後は売上を受け取れます。

自費出版をするメリット

自費出版をする主なメリットは以下の通りです。

  • 誰でも簡単に出版できる
  • 利益を目標にする必要がなく希望通りの作品を出版できる
  • 書籍の著者を名乗れる

自費出版は業者のサポートを受ければ誰でも簡単にできます。商業ベースに載らない作品の発表が可能であり、第三者に自分のスキルや経験、気持ちなどを伝えることができるのです。

自費出版をした場合のデメリット

自費出版をするデメリットは以下の通りです。

  • 費用がかかる
  • 自費出版は評価されない
  • トラブルが起きる可能性がある

自費出版は上記の点に注意してください。

そもそも自費出版は儲かるの?

自費出版で売れた本の売上を受け取ることができます。ただし、自費出版にかかった費用を売上から差し引いたものが利益です。大量に出版して売れない限り基本的に自費出版は儲からないと考えましょう。

数冊だけ自費出版することはできる?

自費出版は何冊から出版できるのか紹介します。

一冊からでも自費出版はできる

多くの業者は一冊からでも自費出版に対応してくれます。自伝など自分で楽しむことを目的に一冊だけ出版したいケースがあるからです。ただし、冊数が少ないと一冊あたりにかかる費用は割高になります。

少数なら同人誌やフォトブックもおすすめ

少数だけ出版したいならば、同人誌やフォトブックといった方法があります。

同人誌は業者を利用せずに自分で編集からデザイン、装丁、印刷、製本などを行う方法です。自分でするならば、費用を抑えることができます。また、印刷だけ印刷会社に依頼することも可能です。

フォトブックは個人で写真をまとめて作成した書籍のことです。フォトブックは写真集よりもライトなものであり、事前にレイアウトやフォーマットなどが決まっています。自由度が低いですが、安く作成できるのがフォトブックの魅力といえます。

商業出版と自費出版をともに扱う会社

このサイトを運営する会社もそうですが、商業出版と自費出版をともに扱う会社で出版することで外部から見たい際に自費か商業かが分からない会社を選ぶことも一つの方法です。

自費出版におけるトラブル

自費出版で生じやすいトラブルを解説します。

契約に関するトラブル

業者によって自費出版の費用は異なります。中には相場を遥かに超える費用を請求してくる業者もあるため注意しましょう。事前に聞いていないオプションを追加されたという事例もあります。売れたときの権利が出版社もちになり、依頼者に利益が入ってこないケースもあるため気をつけてください。

製本に関するトラブル

製本する際に希望通りの装丁になっていないケースや校正ミスで誤字脱字などが多数残っていたといったケースがあります。事前にしっかりと打ち合わせをして、装丁や校正などで途中の確認をしっかり行うことが大切です。すべてを業者に丸投げすると製本に関するトラブルが起きやすいでしょう。

流通に関するトラブル

出版社が流通まで担当してくれる場合でも、少数しか書店に並ばなかったというケースがあります。また、売れなくてすぐに書店から引き下げられるケースもあります。流通のサポートについて、どの程度まで対応してくれるのか詳細を確認しておきましょう。

自費出版本の書店流通は配本部数で数百冊から1000冊程度が現実的な目安です。それを超えての流通を期待する場合、特殊な販路を持っているか事前確認しましょう。

返本率も9割程度となる場合がままあります。保証の有無は確認すると良いでしょう。

トラブルを回避するためには

出版社の提供するサービスに丸投げするのではなく、打ち合わせを入念に行い細かな点も確認しておくことが大切です。自費出版詐欺の被害を受けるケースもあるため、信頼できる業者に依頼しましょう。実績のある出版社であれば信頼できます。

ご不安あれば弊社含め複数社で比較をしてください。ご相談いただければ良い点ばかりでなく、起きうるマイナス点もしっかりお伝えいたします。

「最悪のケースを教えてください」とお伝えいただければ、非常に厳しいケースをベースにお話させていただきます。

まとめ

自費出版は簡単に自分の作品を出版して流通させることができます。ただし、製本や契約、流通などでトラブルが起きるケースもあるため注意しましょう。実績があり信頼できる出版社に依頼できるよう情報収集をしっかり行ってください。