自費出版を行い売上が発生した場合には確定申告が必要な場合があります。正しい確定申告と納税は必須です。本記事では自費出版で確定申告が必要なケースや所得の求め方について解説します。

確定申告とは

確定申告とは、1年間の所得を計算、申告し、納税をする手続きのことです。一定の所得があれば、すべての人に確定申告の義務があります。会社員の場合、給与所得のみであれば、会社が代わりに納税等をしてくれるため、ご自身の作業はありませんが、自費出版をするなどし、利益を得た場合にはご自身で申告する必要があります。

自費出版をすると確定申告が必要?

自費出版をしただけでは、確定申告は必須ではありません。一定金額以上の売上が発生した場合、確定申告をしなければいけません。この場合、本の売上と経費について申告する義務があります。確定申告をした結果、納税が必要であれば支払いを行います。

(出版し赤字の場合、繰越をする場合も申告が必要です。)

自費出版の勘定科目は?

勘定科目は費用の中身と各社の勘定科目の定め方によるところですが、法人や個人事業主(フリーランス)の人が自費出版をする場合、本の売上は雑所得として扱うことが一般的です。会社員として働いており、自費出版の売上を計上する場合も雑所得です。

(自費出版で本を売ることが主要な事業であるような特殊ケースはここでは取り扱いません。)

確定申告の対象者

確定申告の対象者となる条件について説明します。自費出版独自の考え方はなく、一般的な確定申告が必要となるケースと同様です。

確定申告が必要となる所得

法人や個人事業主はそもそも確定申告(法人確定申告)をされると思いますから、ここでは会社員のケースを取り扱います。

会社員の場合(1社からの給与所得のみの方)は雑所得が20万円を超えると確定申告する必要があります。

自費出版における所得に限定せず、他の給与所得以外の合計が20万円を超えると申告が必要です。

所得の求め方

所得とは、収入から経費を差し引いたものです。自費出版で言えば、書籍の売上分配金が収入になります。経費とは、売上を出すために支払った費用のことです。たとえば、出版社に支払った費用は経費として計上できます。ただし、期末時点(会社員であれば、12月末)の在庫は棚卸しし、資産計上する点に注意しましょう。

(売れた分、破棄した分の原価はここでいう差し引く経費になりますが、翌年以降に販売予定の在庫の原価は経費になりません。)

確定申告をしないとどうなる?

申告対象者だが申告しない、納税義務が未納の場合には罰則が課せられます。

確定申告しない場合に課せられる可能性のある罰則、罰金を以下にまとめました。

  • 無申告加算税
  • 延滞税
  • 重加算税
  • 刑事罰

確定申告をしないことへの罰則として無申告加算税があります。また、納税が遅れたことに対して延滞税が課せられます。悪質なケースでは、さらに重加算税が課せられます。

売上の隠蔽など悪質な行為については刑事罰になる場合もあります。刑事罰を課せられれば懲役刑になることもあるため注意しましょう。

出版社に源泉徴収は頼めないか?

自費出版の売り上げに対し、出版社が源泉徴収することは原則ありません。自費出版は、商業出版で言う印税とは異なり、報酬(原稿料)ではないためです。

(商業出版の印税は、出版社が源泉徴収する義務があります。)

出版社から支払われるのは、著者から預かった本の売上代金であり印税ではありません。このため、出版社が源泉徴収を行うことは考えにくいです。

確定申告の方法

確定申告は1年間の収入について、翌年の3月15日までに手続きをしなければいけません。まずは年間の売上について帳簿付けをしましょう。所得控除を適用できる場合は添付書類を準備しておきます。納税額は売上から必要経費を差し引き、さらに所得控除を差し引いて計算しましょう。

国税庁のホームページにある確定申告書作成コーナーで確定申告に必要な書類の作成ができます。画面の指示に従い正確な数字を入力すれば納税額が自動で計算されるため便利な方法です。

作成した確定申告書は窓口か郵送、電子申告のいずれかの方法で提出できます。提出するのは確定申告書に加えて本人確認書類と各種控除証明書です。

自費出版の節税対策

自費出版で確定申告する際には過不足なく必要経費を計上することが大切です。自費出版も、費用が発生したならば経費で計算できます。たとえば、取材時にかかった交通費、執筆時に使用した資料費、コピー代や切手代などは想像しやすいでしょう。

広告宣伝や代行業者に支払った費用も忘れずに計上しましょう。

消費税の課税事業者とは

年間の売上高が1000万円を超えると翌々年度から消費税を納税しなければなりません。(インボイス登録し、課税事業者を選択した場合は当年度から)

自費出版の売上が1000万円を超えるケースは稀ですが、頭の片隅に入れておきましょう。

注意点として、個人事業主の事業所得やサラリーマンの副収入などで自費出版以外の収入がある場合は注意しましょう。すべての収入を合算して1000万円を超えると消費税の課税事業者になります。

まとめ

自費出版をした場合、他の所得と合算で20万円を超えると確定申告が必要です。

確定申告をしないと重い罰則があるため、所得を把握し必要であれば申告しましょう。確定申告の際には経費を計上すれば節税することができます。分からない点がある際には、税務の専門家や税務署に相談し、正確な申告に努めましょう。