自費出版をする際の印税についてです。本の売上のうちどのくらいの割合を得られるのかあらかじめ理解しておきましょう。本記事では自費出版の印税の割合と、紙本と電子書籍出版の場合について解説します。
本が売れた際の印税率
本が売れたとき、著者に分配される割合を印税率といいます。商業出版と自費出版の場合で、印税率はどのくらい異なるか解説しましょう。
商業出版の場合
商業出版において印税率の相場は5~10%と言われています。出版社によっては、5%未満や10%より高い印税率を設定しているケースもあります。
多くの出版社は著者ごとに異なる印税率を設定しています。著者の知名度、初版部数や本の売上の期待値によって、印税率は大きく変わります。
自費出版の場合
自費出版の場合は、それぞれの出版社ごとに印税は大きく異なっており、20~50%程度と幅があります。自費出版の場合は著者が制作費を負担しているため、商業出版よりも多くの取り分があります。多くの出版社では40~50%程度の高い印税率が設定されています。
電子書籍出版にした場合の印税率は?
紙の本とは異なり電子書籍の場合には印刷代や配送経費などがかかりません。コストがかからないため、印税率は紙の本よりも高く設定されるのが特徴です。
たとえば、Amazon Kindleの場合には印税率は35%あるいは70%と設定されています。自費出版で出版社に依頼をして電子書籍を出す場合は、上記に近い数字になるでしょう。
(セールや配信コストの負担など、Amazonが印税から一部差し引く費用もあるため、上記割合のまま出版社に入金される仕組みではありません。)
近年は電子書籍出版による自費出版も増えている
近年は自費出版をする際の選択肢として電子書籍を選ぶケースが増えています。どんなジャンルでも電子書籍が選ばれるケースは増えており、珍しいことではなくなりました。費用の安さや印税率の良さといったメリットが電子書籍の出版にはあるからです。
特に電子書籍が増えているジャンルは漫画です。漫画はシリーズものの場合は、所有するとかさばります。電子出版であれば、何冊所有していたとしても、物理的なスペースは不要になるのがメリットです。
それぞれのメリット
自費出版をする際には紙の本と電子書籍出版という2つの選択肢があります。それぞれのメリットについて詳しく解説しましょう。
紙の本のメリット
紙の本で自費出版をするメリットは以下の通りです。
- 本という形が残る
- 電子書籍が苦手な高齢者などにも売れやすい
- 装丁にこだわれる
- 店頭に並べば気軽に手に取ってもらいやすい
紙の本を出版すれば、自分の作品を本という形に残せるのがメリットです。思い出や記念の品になるでしょう。本という実体に思い入れのある方にとっては、紙の本での出版はとても嬉しい出来事になるはずです。
紙の本は電子書籍よりも幅広い年齢層に売れやすい点もメリットになります。たとえば、高齢者など電子書籍が苦手な層にも紙の本であれば売れやすいです。
装丁にこだわれる点もメリットといえます。カバーや表紙、扉絵、帯など本の外見的な部分のデザインにこだわることができ、本のタイプも文庫や新書、ハードカバーなどから選べます。本の見た目を徹底的にこだわり、自分が満足できる外見に仕上げられるのは魅力です。
紙の本は店頭に並べることができ、気軽に手に取ってもらいやすい点もメリットになります。たとえば、装丁にこだわることで人目につきやすくなり、手に取ってもらえる可能性を高められます。書店を訪れた多くの人の目に触れれば、誰かが興味を持って買ってくれるかもしれません。
電子書籍出版のメリット
電子書籍で出版するメリットは以下の通りです。
- 費用を節約できる
- 在庫が発生しない
- 全国・世界中に発信できる
- 印税率が高い
- 気軽に購入できる
電子書籍であれば、印刷代や流通費などを節約できます。自費出版にかかる費用を抑えられるのが大きなメリットです。
また、電子書籍の場合は在庫が発生しません。在庫という概念がないため、売れ残りが発生するリスクを回避できます。自費出版の場合は知名度がないため在庫が発生しやすい点がデメリットでした。電子書籍であれば、在庫の心配がないです。
電子書籍の場合はインターネット上で販売できるため、全国の人達に販売できます。自分の著作を翻訳すれば、電子書籍の販売サイトで海外の人達に向けて販売することも可能です。
印税率が高い点も電子出版のメリットといえます。紙の本よりも費用を抑えられるため、手元に売り上げを残しやすと言えるでしょう。
電子書籍は紙の本よりも価格が安いことが多く、置き場所にも困らないため、気軽に購入できます。自費出版で知名度のない著者の作品でも、電子書籍であれば気軽に買ってもらえる可能性があります。
まとめ
自費出版をする際には電子書籍出版の方が印税率の最大値は高くなります。ただし、紙の本にも多くのメリットがありますから、紙の本と電子書籍のそれぞれの良さを比較した上でどちらで自費出版をするのか決めましょう。